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異世界魔王は世界を壊したい  作者: spiegel
2章
93/103

まずお前が死ね


 剥き出しの感情に溢れたリップの言葉にゼータが一瞬立ち竦む。

 追い打ちをかけるように、リップの怒りの爆炎が立て続けに炸裂する。


 ゼータはシールドで受けつつも吹き飛ばされた。


 しかし、立ち上がる。


「そうだな……。エリアルは決して諦めず、最後まで足掻く」


 ゼータはシールドを捨て、剣を構える。

 その瞳は諦めていない。何かを狙っている。


 夏央も大剣を構える。


(夏央、お兄ちゃんは必ず隙を見せる。見逃さないでね)


 わかった。


 スープラが髪留めを外す。


 軽く頭を振るとシルバーブロンドの髪が金髪へと変化し、サラサラと舞う。きっとブラウドラッハの力だろう。


 スープラはゼータへと歩を進め、刀を構える。


 ゼータが苦しそうに表情を歪める。シャルロットと対峙した時と同じように。


「何をしている! 早く殺れ!」


 ラファエラが焦りを滲ませて叫んだ。


 スープラが小さく呟く。


「もう分かってるよ。お兄ちゃんはエリアルさんを連想させる女性に剣を向けられない。夏央」


 夏央は剣技を発動しゼータに向け大剣を振るう。


 ガキンッ!!


 ゼータは辛うじて受けた。


 バキンッ


 だが、酷使してきたロングソードがついに折れた。夏央の剣技の勢いでゼータは体勢を崩し、膝をつく。

 ゼータはうつむき、苦しそうに浅い息を繰り返している。


(気を抜くなッ! 夏央!)


「この役立たずがッ!」


 ブラウドラッハの声と重なるように、激高したラファエラの声がすぐ後ろで聞こえた。


 急接近していたラファエラが夏央を殴り飛ばす。

 立て続けにスープラとリップも吹き飛ばされ、体をくの字に曲げて倒れ伏した。


 目がちかちかする。体が重くて起き上がれない。


(焦るでない! まずはこのまま息を整えよ。スープラもじゃ)


 ラファエラが肩を怒らせてゼータに向かって仁王立ちしている。


「さあ、わざわざ私が手伝ってやったんだ! 今すぐこいつらを殺せ! お前は動くなよ……は?」


 怒りに溢れた言葉の勢いに動揺が滲む。


 夏央はラファエラの視線を追う。


 ラファエラの目を盗んでロキシーが動いていた。

 エーテルのエリアルに手をかざしている。


 ここまで粘った甲斐があった。


「ふざけるな! こいつらを殺すぞ!」


 ラファエラが夏央が取り落とした大剣を拾い、スープラとリップを見る。


 やばいやばいやばい。体がまだ動かない。


「また私はこんな役回りか」


 ボソリと呟く、聞き慣れた声。


 かさねがラファエラの前に立っていた。


「どけ! 小娘!!」


 かさねは大剣とは打ち合わず、懐に入りラファエラを翻弄する。


 しかし、やはりラファエラは強い。


 ついにかさねは大剣をさばき損ねて小太刀を取り落とした。小太刀はゼータの前へと落ちる。


 ラファエラは大剣を捨て、かさねの小太刀を握る。


「もういい。まずお前が死ね」


ラファエラはゼータに向かって小太刀を振り下ろした。



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