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異世界魔王は世界を壊したい  作者: spiegel
2章
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ここからは私も手伝うよ!


 ゼータがラファエラを睨む。


 視線だけで人を殺せそうだが、ラファエラは嬉しそうだ。


「すごくいいわ! 怒り! 憎しみ! 絶望! 最高ね! 私の感情をそのまま映しているみたい! さあ、仲間を殺して彼女を取り戻すか、彼女を救えず無様に死ぬか!」


 エリアルの首輪は何なのだろう? 定番なのは自爆的な……


 夏央は浮かびかけた妄想を振り払う。

 どうにかできるならロキシーだ。真剣な表情でエーテルのエリアルを注視している。任せよう。


「私を殺してコレを解除しようとしても無駄よ? 術式は実行済みだし、そもそもお前は私にまともに剣を向けられなくなる」


 ラファエラは嬉しそうに髪をかき上げ、自分の顔に右手を翳す。


 モヤモヤしたエフェクトと共にラファエラの髪が変化する。ふわふわしたピンクの髪は輝くような金色のストレートヘアに変わり、サラサラと流れていく。


 翳していた右手から現れたのは全く違う顔。


 エリアル??


 ラファエラはエリアルと瓜二つに変化していた。


 エーテルのエリアルの隣で、ラファエラの服を着たエリアルが微笑む。


「さあ、ゼータ。私のために戦いなさい」


 それらしい口調だが、声でラファエラだとわかる。見た目は変化させられても声は変えられないらしい。


 ゼータは苦々しい顔でラファエラを睨んだ。


 まともに剣を向けられないとはどういうことだろう?


「何もしないで一方的に負けるなんてダメよ。コレには十五分の時間制限をしてある。解除できるのは私だけ。お前が仲間達を倒さない限り私は解除しない。私が死ねば解除はできない」


 ラファエラは口元を歪めて嗤う。


『魔王。貴方はこの件、どのような結末を望むのですか?』


 夏央の脳裏にシュバルツの言葉が蘇る。


 俺は、ゼータとエリアルを救う。


「やるぞ、ブラーシェ」


「それでこそ我がマスターじゃ。存分に支援してくれよう」


 打てば響くようにブラウドラッハが答える。

 ラファエラが気づいているならもう隠す意味もない。


 ブラウドラッハが飛びつくように夏央に抱きつき、青い光を放って消えていく。


 夏央は体がムズムズして変な声が出そうになるのを全力で耐える。右手の先に別の空間を意識しながら探り、一振りの剣を掴み出す。


 夏央の手に現れたのは、シャルロットの大剣。


 練習しておいてよかった。

 ロキシーたちと同じ事ができているのかは分からないが、ブラウドラッハの協力の元で異空間に少しだがアイテムをしまう事ができるようになった。


 シャルロットに返すつもりで持っていた大剣だが、頭に浮かんだ最適解に従って借りることにした。


 そのまま大剣を無造作に振りかぶり、重量を生かしてゼータへと叩きつける。


 ガキィン!!


 ゼータはロングソードで難なく受け止める。が、表情は驚いている。夏央が迷わず剣を向けてくるとは思わなかったのか。


 一度距離を取り、刺突の構えで一息に距離を詰める。

 受け流されるが、重さと勢いを生かして回転して逆側に叩きつける。


 勝てるとは思わない。でも時間さえ稼げば、きっとロキシーがどうにかしてくれる。エリアルとシャルロットが来てくれる。


 確認する余裕はないが、まわりと自分にバフをかけつつ、ゼータの反撃を大剣を盾にして凌ぐ。

 ゼータの剣は重い。しかし大剣の重量とブラウドラッハの支援で対抗できている。


(良いぞ。落ち着いてよく動けておる。呑まれるなよ)


 ゼータのスピードが上がる。


 夏央の視界にゼータの剣筋の予測ラインが立て続けに表示される。初めての現象だが、慌てることなく受け入れ、対処する。


 大剣を盾にし、反動を利用し、連撃を凌ぎきる。

 少し掠ったが許容範囲。


 体感は長いが一分も経っていないだろう。


(さらにスピードを上げてくるぞ。お主を信じて、妾もお主の魔王の力、解放していくぞ)


 ゼータのスピードが更に上がる。


 ぐっ! 重い!

 一撃の重さが増す。大剣が押し込まれる。


 負けるか!

 力の解放をイメージしながら押し返す。


 ゼータは夏央の勢いを使って飛び退く。


 視界がゼータの新たな攻撃予測範囲で埋め尽くされる。無茶苦茶だ。


(なるほど、そう来たか。任せたぞ)


 ブラーシェ?


 視界に突然安全地帯が現れる。夏央は全力でそこに移動する。

 移動した先の地面が盛り上がり、夏央の前に岩の壁が現れる。


 ロキシー? 違う、スープラか!


 ゼータの剣戟が降り注ぐ。


「良かった、間に合って」


 声の方向に夏央が視線を向けると、青く瞳を輝かせるスープラが、シルバーブロンドのポニーテールを揺らしていた。


「ここからは私も手伝うよ!」



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