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異世界魔王は世界を壊したい  作者: spiegel
2章
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考え過ぎならそれでいい


◇◇◇


【夏央視点】


 シャルロットが出ていってしまった翌日。

 夏央達はラファエラと共に再びエリアルの工房に向かっていた。


 夏央はあの後ブラウドラッハと話して、あの時何が起きていたのか、シュバルツはどこに行ったのかを教えてもらった。


 リップはリップに戻っていた。

 エリアルの負荷も無くなり、一晩経って体調もある程度マシになったようで、顔色は昨日よりだいぶ良い。


 ブラウドラッハに口止めされているので、直接リップに尋ねることはしなかった。


 ラファエラは怪しいのだという。


 そうなのだろうか? どうしても疑いきれない自分がいる。街の人たちに信頼される医者。俺達がノートメアシュトラーセ軍と戦ったときも助けてくれた。シャルロットを追放したことだって何か行き違いがあるのでは? 


(いずれにしろ、これからわかることじゃ。考え過ぎならそれでいい。行き違いがあるなら訂正すればよい)


 ブラウドラッハの声が聞こえる。


 夏央は、ラファエラは良い人なのか悪い人なのか、と考えかけてやめた。

 良いものと悪いもの。単純に二つに分けることは出来ない。


 ゼータの精神を支えていたのは、安置されたエリアルの体だった。今は僅かな可能性があるとわかったからいいけど、何も知らなければ婚約者の遺体を保存している……愛の重い人。

 でもそれはゼータにとっては自分の精神を繋ぎ止めるとても大切な存在だった。エリアルを本当に失っていたら、ゼータはどうなっていたんだろう。


 ブラーシェ、魔王の種って何なんだろう? 異世界人の心の闇を育て魔王化させる種。これは本当に悪いものなのかな?


(面白い事を考えるのう。確かに、種に良いも悪いも無いのう。種に蝕まれる人が悪いのか。種を作った何者かが悪いのか。難しい問いじゃ)


 種に意思があって、意図的に人を堕とすとかでない限りは何とも言えないよね。誰がなんの為に作ったんだろうなぁ。


(……それは妾にも分からぬの)


 ブラーシェに置き換えると、乱用したロキシーが悪いのか。ロキシーがそうせざるを得なかった原因、乱用しまくっていた人たちが悪いのか。指示した人が悪いのか。

 うーん、少なくとも使われただけのブラーシェが悪いわけじゃない。そうすると、種じゃなくて飲まれる俺が一番悪いことになるなぁ。


(なぜ妾に置き換えて考えるのじゃ……。分かりやすくて良いとは思うが……デリカシーが足らんの)


 あ……ごめん。


(まあ良いわ。お主は実に色々考えるのう。そろそろ到着するぞ?)


 そうだね、気持ちを切り替えないと。

 これから備えなくてはいけないのは、ノートメアシュトラーセ軍。それからラファエラ。大丈夫、分かってる。


 コキュートスドラゴンの影響なのか、山を登るにつれ気温が下がってきたのがわかる。もはや肌寒いほどだ。

 出かけたときは晴れていたのにどんよりと曇りだした。


 先頭はラファエラとゼータが歩いている。その後ろをロキシー。


 少し離れて、スープラとリップ。

 リップは表情は暗いが足取りはしっかりしている。

 スープラはこれから先の戦いを想定したからだろうか、髪をポニーテールにしている。前の旅のときにもこの方が動きやすいのだと言っていた事を思い出す。


 リュリーがいないけど、かさねと一緒に行動しているらしい。珍しい組み合わせだ。


 少なくとも見える範囲にノートメアシュトラーセ軍はいない。


 ゼータの工房が見えてきた。



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