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異世界魔王は世界を壊したい  作者: spiegel
2章
86/103

もう一度会えるから


◇◇◇


【シャルロット視点】


 エアリアル様は私を突き飛ばしつつ、もう片方の手で私に何かを握らせた。


 ちらりと手の中を見るとそれは指輪だった。

 爬虫類の目のようなものがギョロリと動いて私を見た。


 思わず声が漏れそうになって必死でこらえた。


 二人で床に転がりながら、エアリアル様は私にウインクする。

 これがさっき話していたグランツヴェルトなのだろう。


 瞳を閉じて、先程エアリアル様が言っていた様に、強く乞い願う。


 エアリアル様の魂を私の元へと引き寄せることを。


 強く。ただそれだけを。懇願する。


(一途な良い魂を感じます。あなたの願い、承りましたわ。対価は後ほど請求させていただきます)


 シュシュ、と呼ばれていた少女の声が頭の中に響く。

 同時に誰かの感情が私の中に流れ込んで来た。


 温かくて、優しくて、でもどこか寂しげな。


 一瞬意識が遠のく。




 暗闇の中、浮かび上がるように淡く輝く巨大なエーテル塊。


 その中には少女が佇んでいる。


 白い肌。


 輝く金色の髪。


 華やかな、深い青色のドレス。


 綺麗な白い肌は瑞々しく、淡いピンク色に色づいている。


 もはや見慣れた感さえある、整った面差しを持つ憧れの女性。

 エーテルの中のエアリアル様が微かに微笑む。


(お姉ちゃん! 行かないで!)


 リップ様の悲痛な声が聞こえた。


(大丈夫、まだいかないわ。ちょっと離れるだけだから。もう一度会えるから)


 エアリアル様の穏やかな声と共に、意識が急激に覚醒する。


 ロキシー様がリップ様を抱き抱えていた。


「最悪の事態になる前に間に合って良かったです。さようなら、シャルロットさん」


 向こうの部屋に聞こえるように話す声は冷たく。

 瞳には万感の思いを湛えて。


 私はエアリアル様を託された。


(あら、かっこいいこと言うわね! それはそうと、私のことはエリアルで良いわよ。私もあなたをシャルって呼ぶわ。いいでしょ?)


 もちろんです。


 愛称で私を呼んでくれる人は久しぶりだ。

 エアリアル様……エリアルの言葉に胸が熱くなる。


 私は強い決意を持って、エリアルと家を出た。


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