もう一度会えるから
◇◇◇
【シャルロット視点】
エアリアル様は私を突き飛ばしつつ、もう片方の手で私に何かを握らせた。
ちらりと手の中を見るとそれは指輪だった。
爬虫類の目のようなものがギョロリと動いて私を見た。
思わず声が漏れそうになって必死でこらえた。
二人で床に転がりながら、エアリアル様は私にウインクする。
これがさっき話していたグランツヴェルトなのだろう。
瞳を閉じて、先程エアリアル様が言っていた様に、強く乞い願う。
エアリアル様の魂を私の元へと引き寄せることを。
強く。ただそれだけを。懇願する。
(一途な良い魂を感じます。あなたの願い、承りましたわ。対価は後ほど請求させていただきます)
シュシュ、と呼ばれていた少女の声が頭の中に響く。
同時に誰かの感情が私の中に流れ込んで来た。
温かくて、優しくて、でもどこか寂しげな。
一瞬意識が遠のく。
暗闇の中、浮かび上がるように淡く輝く巨大なエーテル塊。
その中には少女が佇んでいる。
白い肌。
輝く金色の髪。
華やかな、深い青色のドレス。
綺麗な白い肌は瑞々しく、淡いピンク色に色づいている。
もはや見慣れた感さえある、整った面差しを持つ憧れの女性。
エーテルの中のエアリアル様が微かに微笑む。
(お姉ちゃん! 行かないで!)
リップ様の悲痛な声が聞こえた。
(大丈夫、まだいかないわ。ちょっと離れるだけだから。もう一度会えるから)
エアリアル様の穏やかな声と共に、意識が急激に覚醒する。
ロキシー様がリップ様を抱き抱えていた。
「最悪の事態になる前に間に合って良かったです。さようなら、シャルロットさん」
向こうの部屋に聞こえるように話す声は冷たく。
瞳には万感の思いを湛えて。
私はエアリアル様を託された。
(あら、かっこいいこと言うわね! それはそうと、私のことはエリアルで良いわよ。私もあなたをシャルって呼ぶわ。いいでしょ?)
もちろんです。
愛称で私を呼んでくれる人は久しぶりだ。
エアリアル様……エリアルの言葉に胸が熱くなる。
私は強い決意を持って、エリアルと家を出た。




