↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔王は世界を壊したい  作者: spiegel
2章
70/103

ロキシーは人使いが荒いわね

「知らん。肩書きがなければ話もできないのか? 御託はいいからさっさとかかってこい。エリアルには指一本触れさせん」


 ゼータの言葉にシャルロットの口元が一瞬緩み、それから固く結ばれる。


「まとめて私が相手をしてやる! 騎士道精神を理解せぬゲスに従いたければ従うがいい。一人残らず蹴散らしてその腐った性根を叩き直してやる!!」


 かつての部下達に向かい、大剣を振りかざしてシャルロットが吼えた。


「一人残らず無力化しろ! 鬼姫以外は殺しても構わん! 鬼姫を生け捕りにした者は、一生使い切れないほどの金と俺の次にそいつを嬲る権利を与えてやる!」


 指揮官の怒声と共に戦闘が始まった。

 足付き戦車を中央にして、兵士達は両翼に展開。フルプレートアーマーが前衛となりこちらに向かって整然と前進してくる。


「でかいのは俺が引き受ける」


 今回は刀を取り出したゼータがゆっくりと前に出てシャルロットを追う。


 ロキシーがリップを見る。


「リップはゼータの支援を。やれますか?」


「……大丈夫。あなたたちをガッカリはさせないわ」


 リップのエリアルは、普段のリップよりもどことなく優雅な動作で謎空間からロッドを取り出す。


「わかりました。ではゼータの支援をしつつ全体のフォローもお願いします。私はスープラと夏央を守りつつ遊軍として動きます。スープラはわたしの後ろからは出ない様に注意しつつ後方からの法術支援を! 夏央はスープラを守りつつ抜けてきた相手に応戦!」


「私も手伝いますよー!」


 ピンクのふわふわ。ラファエラだ。

 ロキシーが虚をつかれたような顔で尋ねる。


「あなたも戦えるのですか?」


「もちろんですー。聖病院の私を巻き込んじゃうと後が大変なんですけど、わかってないみたいですねー」


 いつもの調子で話しながら、髪を無造作に結び、ラファエラも謎空間から武器を取り出す。銀色に輝く……籠手?


「物事を解決するには時として力が必要なんですよー?」


 ラファエラは予想外の得物に驚く夏央に笑いかけ、ロングスカートの裾をバリっと破いて太腿まで晒す。


「まったく、診たい患者がいるのに」


 苛立つような微かな呟き。


 夏央を振り返ることなく、両手の籠手をガツンと打ちつけ、ラファエラはシャルロットを追いかけて敵集団に突入していく。


 エリアルが小さく笑った。


「ふふっ。相変わらずロキシーは人使いが荒いわね。でも了解よ」


「すみません、いつも通り手数が足りませんので」


「懐かしいけど確かにいつも通りね。術式を使うなんて久しぶりだわ。……ヴァッサー・ヴィルベル!」


 現れた竜巻状の水流が、右翼の敵の集団を舐めるように押し流していく。

 あ、指揮官が吹っ飛んだ。


 威力もあるが、小雪のちらつくこの状況では見てるだけで寒そう。


「すごい……属性も変わってる……」


 スープラが呟く。


 リップの属性は火。水とか無理と言っていたはず。




◇◇◇


【ゼータ視点】


 こいつと戦うのは初めてだな、と思いつつゼータは足付き戦車を見上げていた。


 山岳地帯での魔物との戦闘を考慮した兵器だろう。威圧感はあるが、対人戦には向いていない。

 器用に足を動かしてゼータに主砲を向けるが遅い。


 素早く車体の下に移動したゼータは勢いそのままに足に斬りつける。


 ガキン!


 しかし弾かれた。


「流石に硬いか」


 主砲がエリアルのエーテルやロキシー達に向くのはまずい。


 ゼータは一旦足元から出て、こちらに向かってくる兵士たちをあしらいながら足付き戦車を挑発する。


 兵士たちはシャルロットがうまく挑発しているようだが、数の差がありすぎる。二割ぐらいはゼータに向かってきている。流石に組み付かれるとまずい。


 と思っていたら絶妙なタイミングで現れた水流が兵士たちを押し流していった。


 水の術式。


 タイミングといい威力といいまるでエリアルのようだ。ゼータは息を呑み思わず振り返る。


 そこにいたのはエリアルの妹。

 しかし隙なくロッドを構えた姿勢はエリアルによく似ていた。


 一瞬目が合った。

 何故か懐かしい感覚が蘇る。


 ゼータはその感覚に従い、戦車に向かって迷わず走り出した。


「シュトゥルーデル・シュニット!」


 ゼータに向かって振り下ろされた脚先が切断されて吹き飛ぶ。


 高圧水流による切断。

 エリアルがよく使っていた術式だ。


 そんなことが起きるとは思わなかったのだろう。戸惑いを見せる兵士と戦車の隙を逃さず、ゼータは再び車体下に戻り、裂帛の気合いを持って残った脚に再度斬りつけた。


「うおおお!!!」


 今度は斬った。


「ヴァッサー・シュトラール!」


 ゼータを狙ってきた兵士達が再び水の術式で吹き飛ばされる。


 返す刀でもう一本。関節より上を斬る。


 ゼータに斬られた脚からまるで血のように黒い液体が吹き出した。油圧で動いていたらしく、姿勢を保てなくなった車体が倒れてくる。


「まだ動く! そっちに撃たせてはダメ!」


 主砲がゼータに向けて動いている。

 方角が悪い。後ろにはロキシー達がいる。


 声に応えるようにゼータは、吹き飛ばされた兵士が落としたロングソードを主砲に向かって投げつけた。


 ズドン!!


 放たれたであろう砲弾が爆発し、主砲が破壊された。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。