幕間
ここからようやく2章スタートです。
幕間だけど。
「うーん」
マキナは大きく伸びをして空を仰ぐ。
朝から照りつける強い陽射し。
でも嫌いじゃない。
「うん、いい天気。ピークは過ぎたとはいえ、今日も暑くなりそうね」
比較的涼しい朝のうちに店の前を掃除する。
ひと段落したところで、海の方からサーフボードを抱えた男が歩いてくるのが見えた。
年齢を感じさせない、引き締まった体。
夫のカールだ。
「おはよう、カール。波はどうだった?」
「おはよう、マキナ。今朝はとても良かったぞ。君にも見せたかった」
満足気な夫の笑顔に、マキナもつられて微笑む。
「よかったわね」
カールの腕を取り、そっと手の甲を自分の頬に当てる。
「カール、私は幸せよ」
昔のことは思い出せないけど、それを気にすることもほとんどなくなった。
夫のカールがいて、娘のゲルプがいて。
今が幸せだからそれでいい。
冬でも暖かいここは暮らしやすくて、近所の人たちもみんな親切だ。
お店も自分たちが食べるのには困らない程度にはお客さんが来てくれている……。いえ、ちょっと忙しすぎかも。まあ、ありがたいことね。
そう言えば最近時々来てくれる、あの体の大きい人。
金色の髪をこの当たりでは珍しい総髪にしていて、話に聞くサムライみたい。
年は離れているみたいだけど、夫の古い知り合いらしい。
初めて来た時は妙な感じてやり取りしていたけど、今ではなんとなく親しげな様子に見える。
「シャワーを浴びて着替えてきて。ゲルプもそろそろ目を覚ます頃よ。みんなで朝ごはんにしましょう」
今日も忙しくなりそうね。




