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022話 同盟の調印

  安芸の国 芸州 広島城本丸御殿


 ここは広島城本丸御殿。二の丸を通り抜け本丸御殿の正門である冠木門(冠木御門ともいう)を(くぐ)ると左手に玄関式台がある。

続いて小広間、縁側を通り、鉄砲の間、左手に縁側に囲まれた広間がある。六部屋続きの大広間である。さらに奥へ進むと藩主が政務を執ったと思われる書院があった。このあたりが表御殿といわれる。

 長い渡り廊下を渡ると藩主の生活の場でる居間、座敷、寝間、台所があった。右側(玄関式台の奥にあたる)には役所がある。この部分が中奥と呼ばれる。

さらに北側には奥向きと呼ばれる女性だけの生活の場所がある。


今回の調印式は表御殿で執り行う。一応正式な調印式と言えるものである。



 元禄14年11月1日(1701年12月)、孔明の提案で浅野家と当事者の三家が最終的に合意したため、広島城本丸御殿で調印式を執り行うことになった。出席者は以下の通りである。


イワレヒコ傘下 関羽、趙雲

浅野家代表 浅野綱長、上田主水 

岡山池田家 国元の城代家老 及び次席家老

津山森家  森 (あつ)(とし)  及び国元の城代家老

姫路本多家 本多忠国 及び国元の城代家老 


以上の10名であるが今回は正式な調印であるため、当主も参加することになった。高齢で江戸在府の池田綱政は欠席である。

会議の冒頭で浅野綱長が発言する


「先日申したとおり我らの盟主はイワレヒコ様である。我々は大神様と呼んでいるが、新たに作る組織<転封反対同盟>はイワレヒコ様の傘下となる。つまり臣従である、これに異存ないだろうか」


出席者全員が頷いた、続いて関羽が現状について説明する


「現在我らの勢力範囲は安芸の国(浅野本家)、備後の一部(三原浅野家) 、備中の一部(木下家)、備前の国(池田家)、美作の国の一部(森家)、播磨の国(赤穂浅野家、脇坂家、本多家) の六か国になります。前回の打ち合わせ以降新たに足守藩領、龍野藩領を占領しました」

「おおう それは凄い! これで西国街道が封鎖できますな。さぞかし九州の大名は困ることであろう」

「いや これ幸いと参勤交代が出来ない口実にされるぞ」

「九州の諸侯は放置でよいのではないか」

「問題は討伐参加の親藩二家でしょう、この同盟で奴らは背後を絶たれる」


などと出席者は発言する。続いてて関羽は同盟の通知について述べる


「同盟結成の幕府への通知は調印後、3日のちに行います。我が配下が早や駆けで2日で届けます」

「なんと、ここから江戸まで早や駆けで2日とは想像できませぬ」


 実際は1日でも可能であるが、怖いのは衝突事故である。街道の旅人とぶっつかったら死ぬのは旅人の方である。

だいいち飛脚役のホムンクルスは休まないし、食事もしない、睡眠も必要としないのである。道中、怪我人を出さないようにと厳命してある。そのため余裕をもっての2日という訳だ。



 安芸の国、野貝原山麓(ふもと) 明石村 イワレヒコ神社にて


 いつもの会談の場所、イワレヒコ神社社殿の裏側である。

調印式の翌日、同盟に参加した各藩の代表者とイワレヒコが顔合わせをすることになった。

社殿の裏側の部屋での謁見である。

案内された部屋で各々が待っていると、イワレヒコが入ってくる。皆は頭を下げ平伏姿勢のままで挨拶した


「この度配下に加わることになりました本多忠国と申します、以後宜しく申し上げます」

「同じく、森 (あつ)(とし)でございます」

「池田綱政の代理の者でございます」

「皆の者ご苦労である、(おもて)を上げよ。お前達のことは関羽から聞いている」


 と偉そうにイワレヒコが言う。『偉そうにしろ』と孔明から釘を刺されていたのである。しかも前回よりももっと『偉そうに』と念を押された。

(おもむろ)に顔を上げる本多忠国と森 衆利、イワレヒコの顔を見ると突然固まった。驚愕に目を開き


「浅野内匠頭どの、お主生きておったのか?」

「切腹を命じられて死んだはず!」


 と言う、まるで幽霊か(あやかし)でも見たかのように驚きから恐怖に変わっていく、二人が同様に青ざめる。

一方、池田家の二人はきょとんとしている、浅野内匠頭と面識が無いからである。


「初めましてイワレヒコだ。この体としては初めてではないか? 元内匠頭はオレの依り代だ、死んでいるとも生きているとも言える。知っている者もいると思うがこっちが関羽雲長、こいつが趙雲子龍だ。おい孔明、お前も自己紹介頼む」

『おほほほ~待ってました、孔明と申します。皆さん宜しくね』


と...どこからともなく声が聞こえてくる

本多家、森家、池田家側はキョロキョロと声の主を探しているようだがイワレヒコが言う


「姿は見えねえぞ、別のところにいる...というか人の姿じゃねぇ」

「関羽様に、趙雲様とくれば孔明様がいても何ら不思議はありませんな」 


と本多忠国が言うと


「道理で討伐軍であった我らが完敗するわけだ。死者をも生き返らせるイワレヒコ様のお力、神の如くでありまする」


と森 (あつ)(とし)が頷きながら続ける


「我ら敗軍を生かしていただきまして、誠にありがとうございまする」


と池田家の重臣が御礼を述べた。


 さて自己紹介が終わったところで本日の要件といきたいところだが、本日は顔合わせが最大の目的であったのでこれと言って要件はない。ただ本多忠国と森衆利を驚かすのが目的と言えば目的であった。



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