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021話 転封反対同盟の結成

 安芸の国、野貝原山 地中の拠点


『我が君よ、提案がありますので聞いて下さい』

「何の提案だ?」

『討伐に参加した家で連合を組ませたいと思います。つきましては組織の名前を付けたいのですが、いい案はありませんか? いくら何でも反乱軍じゃ士気に係わります』

「そうだなぁ... <転封反対同盟>というのはどうだ?」

『確実に参加すると思われるのは岡山池田家、津山森家、姫路本多家はこの名でいいでしょう。親藩の二家は今のところ不確定です』

「親藩の奴らは<○○反対同盟>でいいんじゃないの? 知らんけど...」




 安芸の国 芸州 広島城本丸御殿


 元禄14年10月1日(1701年11月)、孔明の提案で浅野家と当事者の三家が協議することになった。出席者は


浅野家代表 浅野綱長、上田主水 

岡山池田家 国元の城代家老 及び家老格

津山森家  国元の城代家老 及び家老格

姫路本多家 国元の城代家老 及び家老格


の以上8名である。今回は下地となる素案作りのため、当主は参加しない。

会議の冒頭で浅野綱長が発言する


「我らの組織の盟主はイワレヒコ様である。我々は大神様と呼んでいるが、新たに作る組織はイワレヒコ様の傘下となる。つまり臣従である、これに同意できない家は退席願いたい」


どの家もこれは覚悟の上だったので退席する者はいなかった。


「続いて組織の名称であるが<転封反対同盟>としたい。反対の方はいるだろうか?」

「<転封反対同盟>に異存はありませぬが、親藩の二家は参加しない前提でしょうか?」

「いや そういう訳ではないがそちらは別の名を考えてある」

「別の名称とはいったいとんな名でしょうか?」

「イワレヒコ様は<○○反対同盟>と言っておられた」

「わっははは... <○○反対同盟>...こりゃ傑作でござる」

「二つの同盟で連合を組むことになるだろう。いやもしかして三つの同盟になるかもしれんな」


 名称が決まったあと同盟を組むに当たっての条件、手順、幕府対策などを取り決めて協議は終わった。各々、家に持ち帰って当主に報告することになる。


 転封反対同盟の結成はこれ以後一月後であった。




 安芸の国、野貝原山 地中の拠点


『我が君よ、確認したい件があります』

「何の確認だ?」

『例の<転封反対同盟>の江戸屋敷にいる妻子達はどうやって脱出させますか?』

「面倒くせぇ! その件が残っていたか... 面倒くせぇ!...もうコソコソする必要はないから、団体さんで大手を振って脱出させよう。船でも雇って海路でここまで運ぼう、頼んだぞ」


 実は孔明は拠点地下の格納庫に眠っているアレを使いたかったのである。イワレヒコの許可? は取ったのであとはやりたい放題である。


『次に木下㒶定(きんさだ)の強化ですが、無事完了しました。彼は淡路流槍術の達人ですから思い切り暴れてもらいましょう。家臣団の中から淡路流槍術の使い手を4人を選び強化しました、木下分隊として働いてもらいます』

「そうか了解した。生身の人間じゃあ体がもたねぇ、ホムンクルス同様に強化しとかないとな」


 木下㒶定は一月以上、拠点の生体処置室で強化の調整を行っていた。無論部下達も同様である。ここに敵軍から恐れられた木下分隊5人組の誕生である。

以後関羽軍が大きくなるにつれて中隊となるのは既定であった。最終的には木下家家臣団すべてが構成員となる。




 江戸城 老中評定の間


 元禄14年10月12日(1701年11月)、江戸城 老中評定の間


 老中の土屋政直、稲葉正通、小笠原長重、秋元喬知がいつものごとく評定を開いていた。そこに取次の者が部屋の外から声をかけた


「申し上げます、ただいま龍野藩(脇坂家)と足守藩(木下家)の探索に派遣した公儀隠密からの報告が上がりました」

「うむ、ご苦労」


早速、老中筆頭格の土屋政直が目を通す。読み終わると次の者に手渡しながら深い溜息をつく


「はあ~っ こっちもか、全くどうなっているのやら? 理解できん」

「こちらも何者かに占領されているだと! しかも迂闊に潜入調査できぬだと!」

「赤穂城下に閉じ込められた苦い経験から、隠密に内偵させようとしたのだが...」

「いったいどうしてそんな事なったのか全くわからん」


 実はイワレヒコの部下と木下家の家中の者が中心となって龍野藩、足守藩の領地を封鎖していた。秘密裡に侵入はできても、領外に脱出は不可能だったのである。『蟻の子 一匹 逃さない』状態だった。

老中達の疑問と嘆きが一通り噴出しあと土屋相模守が問いかける


「上様には如何(いかに)に説明したら良いものか皆、いい知恵を出してくれまいか」


過去にも同じような会話があったような、そんな気がしていた老中達である


「土屋殿、いい知恵と言っても正直に事実を申し上げるほかあるまい」

「同意でござる、我にも何がどうなっているのか解かりませんからな」

「まあ4人がお叱りを受ける覚悟で報告致そう」


 最後に発言した秋元喬知はもう(あきら)め気分であった。

過去の経緯も対策も全く同じで、また亀のように丸くなるしか無いのかと......

ということで老中達4人には他に名案もなく、これ以上議論しても仕方がないため将軍綱吉に謁見を願い出た...

ここでは将軍綱吉公のお怒りは省略したいと思う、いつもの如くである。




 安芸の国、野貝原山 地中の拠点


『我が君よ 例の脇坂淡路守と木下肥後守の旧領地ですが、占領が終わりました』

「おっ 早いな、木下分隊の活躍はどうだった?」

『それはもう大喜びでしたよ、足守藩の領地は<幕府に渡してなるものか>と士気が上がりました。龍野藩の方は赤穂と隣接していますので張飛隊の担当ですね』

「張飛も大喜びだろう、苦手な金勘定から抜け出せて...」



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