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013話 木下肥後守への調略

 ここは安芸の国、野貝原山 地中の拠点であり、これは少し前のお話し


「孔明お前予測通りになったな。脇坂淡路守は改易、木下肥後守は領地半減の上転封、さすが自称<超優秀なスーパーバイオトロニクス>様だ。討伐軍10万と言っていたな、今後どうする?」

『10万などたいした数ではありませんが、我が君は出来るだけ引き伸ばして長く楽しみたいのでしょう? でしたら討伐軍は無視しましょう』

「木下肥後守とその家臣だが、本人が望むなら<お助け>してみるか」

『我が君の思し召しのままに。例の玖島村の開発に人手が欲しかったのでいい機会です』

「誰に任せようか、この計画」

『それでしたら趙雲殿が適任です』

「そうだな、正義感強くて人情にも厚い人助けには向いている、融通は利かないが適材適所だな。」




 ここは足守藩木下肥後守の江戸屋敷


 元禄14年(1701) 5月、江戸城にて討伐の命令が下された頃、足守藩主木下肥後守には閉門(へいもん)蟄居(ちっきょ)の沙汰が言い渡された。

領地半減のうえ転封が決まったので、どこの領地になるか幕府の決定を待っていたのである。


 元禄14年6月20日、(討伐軍が赤穂城下に閉じ込められて2日後)

ある二人の人物が閉門中の足守藩の江戸屋敷に忍び込んだ。彼らの名は関羽と趙雲という。閉門中の屋敷は公儀の役人が内外を警備を兼ねて監視している。まさに時代劇のとおりである。

 忍び込んだ二人は居間の外から声を掛ける、声掛けは顔見知りの関羽の役目だ。


「木下殿、関羽と申す。内密に相談があります」


木下肥後守は障子をそっと開け、公儀の役人がいないことを確認すると二人を招き入れた。


「関羽殿、赤穂城下以来でござる。相談とは何事でござろうか?」

「木下殿、こちらの連れは趙雲と申す者、以後よしなにお願い致します」

「関羽殿、えらい小そうなっておりますな、まるで若造のような」

「この姿で失礼します、江戸では大男は目立ちますので二人とも縮んでいるのです」

「えっ...そんなことが...」 と驚く木下肥後守


「本日の要件ですが木下殿は今後如何(いかが)なされますか? つまり公儀の沙汰に従って転封を受け入れるかどうかを聞きたいのです」

「受け入れたくはないが、某には売れ入れるしか選択はござらん」


 あれは誰が任務を受けても結果は変わらなかっただろうと木下は考えていた。城受け取りの失敗は失態ではなく運が悪かっただけである。

加えて将軍綱吉の怒りを買ってしまった。いささか納得いかないものもあった。

 家臣は減らせず領地、石高が半減すれば台所は火の車である。家臣約300人、その家族と郎党を合わせれば1,500人は下るまい。


「それならどうでしょうか、安芸の国に来て頂ければ『家臣とその家族の面倒はみる』

と我が主は申しております」

「貴殿の主ですと? 一体どんなお方でござろうか」

「そうですね...分かり易く言うと神に近い御方です。実際広島の浅野本家では大神様と呼ばれています。私が容姿を変えることが出来るのもその御方のお力です」


木下肥後守は黙り込み考えていたが


「家臣達と相談したいと思います、暫く時を頂けまいか?」




 元禄14年7月1日、赤穂城下町 袋のネズミ14日目


 討軍が赤穂城下に閉じ込められて早や14日経った頃、総大将の池田吉明の家臣から新たな報告が届く。報告というより実際は伝令なのだが。


御大将(おんたいしょう)、申し上げます。只今赤穂藩の使者を名乗る見るからに怪しい老人が参っております。町の中からも出入りは出来ないので、いったいどうやって入って来たか不明です。いかがいたしますか?」

「よし、連れてまいれ」


 大柄な老人が案内の者に連れられて入って来た。とても60代とは感じさせない男が評定衆の前で床几(しょうぎ)に腰かける。上老いて眼光鋭く、身に纏った服の上からもその鍛えられた体つきがくる威圧感が半端ない。

 池田吉明は各藩の主だった者に召集をかけたため、徐々に皆が集まって来て床几に座っていく。


「全員集まったようであるな、では使者の話を聞こう」


黄忠は不遜な態度で話始める


「ワシはさるお方の使者である、貴殿らも分かっていると思うが見えない壁を作り閉じ込めたのは我々である。」

「なんとお主らが... 見えない壁を作を作ったのか?」 


と池田吉明


「もうそろそろ兵糧も尽きる頃じゃろう、貴殿らの降伏を提案する。それとも拒否してこのまま飢え死にを選ぶのか決めるとよかろう」


この場にいる評定衆は怒りのため刀に手をかけるが...


「ではワシは失礼する、5日後にまた会おう」


と黄忠は言って立ち上がりこの場から退出する。



「池田殿、今後どうされるおつもりか?」  と他の諸侯が問う

「もう兵糧は尽きるのであろう、我には手立てがない。各々方いい案があれば聞こう、何かないだろうか」

「城下から出入りも出来ず、外への連絡の手段も無い。加えて兵糧攻めとは...今は良いがはて何日耐えられるか...某は降伏を進言致す」

「某は降伏には反対でござるが...我ら武家の面目がたもてるなら、条件次第で降伏しても良いと思う次第である」  


また他の諸侯の一人は


「とりあえず様子見で行きましょう、私は降伏に反対ではありません。兵糧が尽きて飢えると『降伏やむ無し』の厭戦気分が兵達にも出てくるでしょう」



 評定の結論は取り敢えず様子を見ると言う事になった。徹底抗戦の意見は誰からも出なかった。

『腹が減っては戦はできぬ』ということを当事者が一番身に染みて理解していたのである。



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