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アングイッシュお姉さん

今、私はとても困惑しております。


移動手続きを終えたばかりの猟番様に、この地域の狩場に慣れてもらうよう、クルワウサギの狩りをお勧めさせていただきました。

あの時の自分の行動について、何の問題もなかったと自負しております。

当会で推奨されている、極めて一般的なルーティーンなのですから。

ですので、それに伴う結果もまた、問題はないと言って差し支えないでしょう。

査定台に乗っているのがマダラオオトカゲであること。

さらには、損傷が極めて少ない美品であることを無視すれば、ですが。


この種は総じて獰猛で、口に入る大きさのものであれば、何でも飲み込もうとします。

咬合力もあるため、丸飲みにこだわることもありません。

肩から先の腕や、脚を飲まれた人の被害も度々報告されております。

しかし、皮の利用価値が高く、良い稼ぎになる獲物とも言えます。

半面、向こう見ずな新人の事故が絶えないことも、事実ではありますね。

当会では、ベテランの二人以上が組んで対応する事を推奨しております。


確か、この方は単独で、しかも手ぶらで出かけたのではありませんでしたか?

出発前に道具の確認や、手入れについて助言さし上げようとした際に、不思議なものでも観察するような視線をいただいたと記憶しております。


もう少しで閉館という時間になって、こちらへと戻って来られたのですが、その顔は血塗れでした。

赤黒く乾いてヒビ割れていたので、流血しているわけではない事が察せられたのは幸いでしたね。

それでも、私が案内した方と同一人物だと気付き、確信に至るまでに、かなりの時間を要しました。

ありがたいことに、私の顔を覚えていただいたようで、トカゲを肩に一直線にこちらを目指して来られたのですが、恐怖でしかありません。こっち来んな。


今度、お仕着せの制服について、吸湿性・撥水性に関する要望を出すつもりです。

業務上、想定外の事態に備える必要がありますので。ええ、本当に。

布地が肌に張り付くのは不快度が高いですからね。


そして、今に至ります。

トカゲをぺしぺし叩きながら「ウサギ」「ウサギ」と繰り返し訴えておられます。

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