不純物
今日もごすじんと狩りに行くのです。
でも、獲物は決まっていません。
よさそうな獲物が見つかれば仕留めますが、それはおまけらしいですよ。
狩場を調べて、ぼーけんしゃの手掛かりを探すみたいです。
こういうのは調査依頼というそうです。
イノシシが居なくなった、という話も聞いたので、それも調べるみたいです。
匂いがする場所なのに、イノシシが出てこないのは確かに変です。
あいつらは縄張り意識が強いのか、いつもなら追い出そうと向かってきます。
むう?違う匂いが混じってきました。あっちの方ですね。
ここで、ごすじんの「まて」です。
もし、相手がぼーけんしゃだったら、何があるかわからないからだそうです。
確かに、今回はぜんぜん話を聞けていないのです。
クマもヒツカキもオオムジナも、ごすじんは他のハンターから話を聞いていたのです。
いくらごすじんでも、相手のことがわからなければどうしようもありません。
いつでも引き返せるように、周りに気を付けながら待つことになりました。
あ、シカの匂いが漂ってきましたね。
イノシシがいなくなったから、邪魔されずに食べ物を探せます。
今ならここを、自分のごはん地帯にできそうです。
それから、さっきの違う匂いもこっちに向かっていますね。
シカに反応しましたか?とにかくごすじんに相談です。
「いたぞ!イヴィルバインディアーだ」
「俺達が来たからにはもう安心だ、魔獣など恐れることは無い」
「くらえ!ライトンR三万バックブリーカー!」
「っ、こいつ……速いぞ」
「あ、ホントすいません……こいつら現実逃避がヤバくて……」
「こら!サボるんじゃない、お前も戦え」
よくわかりませんが……いえ、これは本当に本当によくわからない三人組が出てきました。
「はぁ、はぁ、どうだ、思い知ったか」
「これで、この地も、へ、平和に、なる」
意味が分かりませんね。
獲物を横取りしただけですよ。
しかも獲物はボロボロでお肉はちょっとしか取れなそうです。
「もう変なロールプレイやめて、現実を見ろって」
「うるさい!レベルが上がれば別のツリーが出るかもしれないだろ?」
あの中では、一人だけ話が通じそうですね。
「あー……君たちがどこから来たのかは知らないが、この国はギルドに加入していないよ」
「何だって?」
「……いや、僕はうすうす気づいていたけどね」
さすがはごすじんです。
三人を一瞬で、話を聞く体勢にしてしまいました。
「とりあえず、自己紹介と情報交換をしたほうがいいんじゃないかな?」
これはもう、ごすじんのペースですね。
「私達はいわゆる狩人のようなものでね、食用にする獲物を狩って、街に持ち帰っている」
「あまり根掘り葉掘り聞くのもなんだから、単刀直入に聞こう。タイカノカイシンという言葉に聞き覚えは?」
「大化の改新だって?」
「他にはタイセイホウカン、とか?」
「あんたは……まさか?」
「とても珍しい、いや普通はあり得ない事みたいだが……私は君たちのような者を一人、知っていてね」
「あんた、あいつに会ったのか?」
「待て、あいつは俺らとは違う。大化の改新も大政奉還も知らないハズだ」
「信用しろとは言わないが、話せることは話してみないかい?」
「ふむ、君たちはもともと四人で行動していて、知らぬ間にこの国に迷い込んだのか」
「俺達三人は俗に言う転生組で、もう一人は現地人だったんだけど……」
「そのもう一人は、今どこに?」
「それはこっちが聞きたいぐらいなんだよなぁ」
「あいつは、パーティから追放した相手のスキルを奪うという、馬鹿げたスキルを持っていたんだ」
「俺達は無能にされた上に、置き去りさ……」
「そんで、とにかく新しいスキルを生やそうとしてたってワケ」
「転移門が使えるようになれば、何とかなると思ったのさ」
意味がさっぱりわかりません。
なので、ごすじんがとても頼もしいのです。
「猪を乱獲したのは君たち?」
「いいや今の俺達じゃ、さっきのイヴィルバインディアーがせいぜいだ。ダークネスタスクボアなんてとても――」
「あれ、メギカブリ」
「あ、はい」
「じゃあ、残りの一人が暴走しているのかな……」
「だと思う……うまく隠してたみたいだが、歪んだ英雄願望つぅの?何か拗らせてたっぽい」
「とりあえず、冒険者は一時的にでも引退して、街で仕事を探すことをお勧めするよ」
「ぼーけんしゃ、嫌われ者」
「うん、冒険者を名乗って、各地で無茶をしてる人が居るみたいでね……身の危険がある」
「何やらかしてんだ、あの野郎」
「良ければ街まで案内するよ」
「ところで、あんたの知ってる一人っていうのは?会ったりできるか?」
「どうかな……彼は静かに暮らすことを望んでいるからね、放っておいてやってくれ」




