アドベンチャラー
オオムジナ狩りが終わって、元の街に戻って来ました。
いろいろありましたが、ごすじんと一緒に跳ね除けたのです。
戻って来た……と思うのは、なんだか不思議ですよ。
まあ、どこに何があるのか、一番知っているのはこの街です。
まだまだ縄張りにするには早そうですが、よその街よりは安心できるからですかね?
「オオムジナの討伐、お疲れさまでした。
その……いろいろあったみたいですが、ご無事で何よりです」
このお姉さんも、久しぶりなのですよ。
「つい最近、ボウケンシャと名乗って狩場を荒らし回る者が出たらしく、心配しておりました」
「ぼーけんしゃ?」
「はい、そのボウケンシャは言葉は通じるのに、会話が成立しないとの報がありまして……」
「無許可の狩猟を咎めたところ、もうマジュウに怯える必要はないだとか、
私有地への侵入を窘めた際に、ボウケンシャに国境はないだとか……」
あれ?ごすじんが腕を組んで考え込んでしまいました。
「ある程度の戦闘能力を有しているらしく、接触した際には注意を払うように、とのことです」
よくわかりませんが、変な人が現れて噂になっているみたいですね。
ごすじんは何か思い当たることがあるみたいです。
「猟獣会はもとより、自警団や衛兵隊、搬送会でも情報を集めているところです」
「……あの、参考にはならないかもしれないけれど、私の故郷に、おとぎ話のようなものがあるんだ」
「お聞かせ願えませんか?共有するかどうかは、こちらで判断いたしますので」
「いや、本当に馬鹿馬鹿しい話だから……その、あまり触れ回るようなことでは……」
「だとしても、おかしな噂の広がりを抑えるために、使えるかもしれません」
お姉さんに案内されて、小さな部屋に移動することになりました。
お姉さんが、ごすじんの話を紙に書いています。
「なるほど、有志によって運営される超国家機関……その構成員がボウケンシャ。
独自の評価基準を満たすとランクが上がっていき、一部は貴族にも比肩する権力を有する?
さらに、出国にも入国にも一切の審査がなく、武装は制限も許可の必要もない?」
「あくまでも、作り話の中の存在だからね?そんな職が実在したら大変だ」
「ですが、自身をそのボウケンシャだと思い込んでいるとしたら……」
「そんな人が居るとは思いたくないけれどね」
「ご協力ありがとうございました。移動の疲れもおありでしょう、本日はゆっくりお休みになってください」
お姉さんは書いた紙を集めて、どこかへ行ってしまいました。
私たちもごはんを食べたら、今日はもうお休みにするのです。
馬車というのにも乗ったのですが、たくさん歩いたのでごすじんはヘトヘトだと思います。
「何だお前、今日は成果なしか?」
「それがよぉ……猪が居なくなってやがるんだ。何かおかしいぜ」
「そりゃ変だな。依頼が増えて狩られ過ぎ……とも思えねえな」
「ああ、見かけないくらい狩られたンなら、そんだけ持ち込まれてるはずだ、値が動く」
「例のボウケンシャってヤツじゃねえのか?」
ここでも、ぼーけんしゃの話が聞こえてきますね。
「そういや野営地の水源、堰がぶっ壊されて使えなくなったってよ」
「それもボウケンシャの仕業か?」
「マジかよ、許せねえなボウケンシャ!」
「群生地のスモギの実が根こそぎ摘まれてたのも?」
「ボウケンシャに違いねえ」
「許すまじ……」
どんな人なのかはわかりませんが、ごすじんならきっと何とかしてくれるのですよ。
でも、今日はダメです。
ごすじんは疲れているのです。
あ、でもボール拾いをするくらいの元気は、残ってるかもしれません。
やりますか?




