ムジナ狩り
ニャーの人やその他のハンターたちがやって来て、人が揃ったので作戦が決まりました。
作戦と言っても、たくさんとたくさんを真っ直ぐぶつけるだけなのです。
だから、作戦が決まったというよりは、作戦を変えないことが決まったのです。
人が揃わないとき用の作戦も教えてもらいましたが、そっちはよくわかりませんでした。
でも今はもう、難しいことは考えなくても大丈夫ですよ。
みんなで狩場に向かうのです。
たくさんのハンターが、たくさんのオオムジナとにらめっこしているのですが……
「ヒャア」「ヒャア」「ヒイャア」
我慢できないみたいです。オオムジナはすぐに襲い掛かろうと走ってきました。
「まて」ができない子は、周りからはこんな風に見えてしまうのですね。
「念のために聞いとくぞぉ!お前らは人間かぁ?」
誰かが大声でオオムジナに話しかけました。
それを聞いたハンターたちがちょっとクスクス笑っています。
もちろん返事はありません。
「まあ、自認してようがなかろうが、襲って来るなら返すだけだ」
みんなの顔が真面目なものに変わります。
初めに、ユミが得意なハンターが上に向けて撃ちました。
ユミはでっかいパチンコみたいなものです。使い方を見ればわかります。
上に撃ったのは、きっと他のハンターに当たらないようにするためですね。
でも、オオムジナは前から来ているのです。上にはいませんよ?
おお!上に撃ったものが、雨のように空から降ってきました。
なるほど、狙わなくても当たるときは、そういう使い方もあるのですね。
私もやってみるのです。
力加減をちょっと考えてから、上向きに石を投げてみます。
ユミみたいに高くは飛びませんでしたが、他のハンターを飛び越してオオムジナに当たりました。
痛がっているみたいですが、ちょっと怒っただけで、あんまり効いていないですね。
殴られたと思ったのか、元気いっぱいとなりのやつに仕返ししています。
「そろそろカチ合うぞ、油断すんなよ」
誰かがそう言うと、端っこの方からだんだんと取っ組み合いが始まっていきます。
よく見ると、何匹かが連れ立って行動しているみたいです。
ハンター側も、二人組や四人組で戦っていますね。
私はごすじんと一緒です……ついでにニャーの人もいますよ。
「おおん?気のせいニャ?どこかで不遜な扱いを受けた気がするのニャ」
他の獲物と違って、武器を持っているやつがいるので、ちょっとだけ厄介です。
武器の分だけ、間合いが少し広くなるからです。
でも、そんなに怖くありません。不思議ですね?
普通の獣は武器は持ちませんが、イノシシは牙が生えていて、シカやヤギは角が生えています。
そして、その刺し方や振り方をわかっていて、ちゃんと使ってきます。
こいつらはちゃんと使えません。
あ……ぜんぜん不思議じゃなかったのです。
先っちょがとんがっていたり、刃物になっている長い棒は、ヤリというらしいです。
本当は、前に突き出したり、横に払ったりするものです。
オオムジナは、ヤリを両手で持ち上げて近寄って来ますが、後ろのやつらの通せんぼになっています。
「アホなのニャ。肩と肘が違うから、脇に抱えて突けないのニャ」
前のやつらにぶつけてしまって、転ばせてしまうこともあります。
それでも、連携して襲ってくるのは面倒ですね。
「tp?」「tぽk」「tぽk」
ときどき、息を合わせるための合図みたいな鳴き方をします。
「wすちま――ゴベッ」
ただ、それは今からやるぞと、教えてくれているようなものですよ。
合図が一団に伝わるのを、待ってなんかやらないのです。
でっかい包丁みたいな、長い刃物はケンというらしいのですが、これはやりやすいです。
ごすじんが言った通り、こいつらは、振り上げてから振り下ろす動きしかしません。
縦にしか動かないなら、横に動くだけで当たらなくなります。
あと、鉤手甲で振り上げるのを邪魔すると、振り下ろすところまで行けなくなります。
「とら、おk――ソボロッ!」
ムキになって振り上げようとしたら、その隙にゴッスンするのです。
ほとんどの場所でハンター側が優勢みたいですが、やっぱり数の多さは強さですね。
戦っている最中に、後ろや横から、別の相手が割り込んでくると怪我をしてしまいます。
ハンター側にも割り込み専門がいて、普段は戦わないで動き回り、割り込んだ相手に割り込み返します。
だから、作戦のためにたくさんのハンターを集めないといけなかったみたいですね。
それにしても、オオムジナはやばいやつらです。
もう群れの危機と言ってもいいところまで来ているのに、逃げ出す様子が見えません。
群れの行く末なんて気にもせず、目の前の獲物に夢中みたいです。
こいつらは群れていただけで、群れではなかったようですね。
「逃げた奴らを虱潰しにしなくていいから、ニャーとしては助かるのニャ」
それからしばらくして、オオムジナの集団は滅びました。




