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考える足

またまた合同作戦(ごうどうさくせん)です。

ヒツカキの時みたいに、(ほか)の街のハンターと一緒に()りをします。

今度の依頼(いらい)はオオムジナというやつの退治(たいじ)です。

でも、ヒツカキの時とは違うことがあります。

それは、私たちが他の街に来ているというところですよ。


街を囲む(へい)を抜けたら、この街の猟獣会(りょうじゅうかい)に向かいます。

ここの猟獣会も塀の近くにありました。

というか、猟獣会はだいたいそういう場所にあるものなのだそうです。

獲物(えもの)を運ぶことを考えたら、外に近い方が楽なのです。

でも、ちょっと様子(ようす)がおかしいですね……


「神は(なげ)いておられます、オオムジナも共にこの地に暮らす仲間なのです、それを(あや)めるなど……」

「そうだそうだ!この人殺(ひとごろ)しどもめ!」

「彼らは少し未熟(みじゅく)で、不器用(ぶきよう)なことは(いな)めません。だからこそ、私達の方から手を()()べるべきなのです」

討伐(とうばつ)を中止しろ!この人でなし!」

(にく)しみは何も生み出しません。お互いに(あやま)ちがあったことを認め合い、遺恨(いこん)は水に流して融和(ゆうわ)への道を探しましょう」


なんだか難しい言葉がたくさんで、よく分からなかったのですが、ごすじんが教えてくれました。

(うら)むのはよくないから、(わす)れて(ゆる)して仲良くしようと言っているみたいです。

あの人は本気でそんなことを考えているのですか?恨みというのはとても大切なものですよ。

ひどい目にあわせてくるやつは覚えておかなくてはいけません。

自分から近寄(ちかよ)らないように、相手が近寄ってきたら警戒(けいかい)するように備えるためです。

私を見たら石を投げてくるがきんちょは、今でも忘れていませんよ。


それに、恨みを晴らすことは、悪いことをしたら痛い目を見るぞ!と、教えることなのです。

教えられないままだと、何度も同じことをやってしまうし、やろうとします。

じゃれ合いのときに本気(ほんき)()()くのは悪いことです。

悪いことをしたら()()!なのは、仔犬(こいぬ)でも知っていることですよ?

まあ、たまに教えていないダメ主もいるのですが……


だから、許すのは恨みを晴らした後か、相手が(あやま)ってきた後でないといけないのです。


「あんたら、他の街から来てくれたハンターか?よく来てくれた、と言いたいトコだが……」

「おう、ありがてえことだが、ちと()が悪かったな。見ての通り、変な奴らがずっと(さわ)()ててやがってなぁ」

「ホント、何がしてえのか分からねえよ」

どうやら、あの騒いでいる人たちは、街の人からみても様子がおかしいみたいです。

でも、ハンターではないみたいなので、狩りのときにはいなくなっていると思います。


ごすじんは到着(とうちゃく)のお知らせをしに受付に行きました。

他の街でも、机の並びは似ているし、仕組(しく)みは変わらないみたいです。

「何だと?もういっぺん言ってみろ!」

おおう、吠えるような大声が聞こえてきましたよ。ハンターが怒っていますね。

「ですから、オオムジナと呼ばれる彼らも獣人であり、人の仲間だと申し上げているのです」

「あんな奴らと一緒にするんじゃねえ!」

「なぜですか?彼らは立って歩き、道具も使い、お互いに言葉で意思(いし)疎通(そつう)をしています。

私はむしろ、あなたが自分達こそが彼らと同じだと、思えないことが不思議(ふしぎ)でなりません」


あの人……言い方は丁寧(ていねい)になるようにしていますが、わざと(おこ)らせようとしていますね。

意固地(いこじ)になって()(とお)そうとする……あなたの方こそ、本質(ほんしつ)は獣に近いのではないですか?」

「てめえ……」

「あなたは自身が人であると、証明する(すべ)を持ち合わせているのですか?」

「見りゃ分かんだろ!ふざけやがって!」

「見た目は種族で千差万別(せんさばんべつ)、個人差も(いちじる)しいものです。何の根拠(こんきょ)にもなりません。ですから、彼らが人であることを否定することもまた、できはしないのです」


ごすじんも受付でのお話が終わって、戻ってきました。

()(あらそ)いが聞こえていたみたいで、困った顔をしています。

「うーん……ゲノムとかDNAとかで証明はできると思うけど、そもそも調べる方法が無いな……専門家でもないし」

よくわかりませんが、ごすじんができるというなら、たぶんそれは本当の事なのです。

でも、ごすじんのすごさが分からない人は、ごすじんの話を聞いても納得(なっとく)しないかもしれないですね。


まあ、これはごすじんの手を借りなければいけないほどの事ではないですよ。

(よう)は群れとおんなじなのです。

自分が群れの一員だと思っていて、群れのみんながそれを認めていればいいのです。

「自分でヒトの一員、思う。ヒトがそいつをヒトの仲間、思う。それがヒト。おわり」

家でも、会でも、村でも、街でもそうなのです。

毛の色が違っても、生まれた場所が違っても、尻尾(しっぽ)(つの)()えていても変わりません。


「――だ、そうだぜ?オオムジナは、自分達の事を人だと思っているかなぁ?」

「そ、それは……ええ、きっとそうです。そうに違いありません」

「それはお前の願望(がんぼう)だろ?ホレ、さっき言った証明とやらをしてみろや」

「仮に人だって自覚を持ってんなら、喜々(きき)として同族を襲って食料を奪う極悪人(ごくあくにん)だし、()つしかねえよな」

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