表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
52/65

たのみたもうとのたもうたり

猟獣会(りょうじゅうかい)様子(ようす)(もと)に戻りました。

ヒツカキの作戦(さくせん)のために(あつ)まっていた人たちが、帰ったみたいです。

なんだか、前よりも広くなったような気がしてきますね。

人が多いことが、当たり前になりかけていたようです。

まあ、私は(しず)かな方が好きなのです。


む?初めて()(にお)いが近付(ちかづ)いています。新しい依頼(いらい)でもしに来た人でしょうか?

「たのもー!」

あばば。静かなひとときが()わりを(むか)えたのです。

その人は入って来るなり、(ゆか)()()らして声を()()げました。

「ガナリグマの剥製(はくせい)を見てきた。あのデカブツを(ほふ)ったハンターがここに居るとも聞いた」

何を頼みに来たのかはわからないですが、頼み事は静かにやった方がいいと思うのです。

ほら、みんなから困った顔を向けられていますよ。


声も大きいですが、体も大きい人ですね。

あと、(あたま)の横からとんがった(つの)が生えています。

その角は曲がっていて、先っぽはちょうど前を向いています。

髪は短めですが、胸がせり出しているので女の人でしょうか?

いえ、せり出しているというよりは、(そび)()っていますね。

あんなものをぶら下げていて、邪魔(じゃま)になったりしないのですかね。


大方(おおかた)の目的は(さっ)するが、ここは道場(どうじょう)でもなんでもないぞ?」

「あれだけの熊を仕留(しと)める豪傑(ごうけつ)がいるとなりゃ、道場でなくとも(いど)むのが礼儀(れいぎ)ってモンだろ?」

「俺たちは仕事で狩りをやってんだ。武勇(ぶゆう)(ほこ)ることじゃねえんだわ」

「へぇ……なら、こういうのはどうだい?」

「ここ――」


「ヘブッ!」

おぉ、人は空を飛ぶこともあるみたいですね。

「どうよ?街の平穏(へいおん)(おびや)かす害獣(がいじゅう)が現れたぜ、討伐(とうばつ)しなくていいのかい?」

「とりあえず、会長に報告な……まぁ、出てこねぇとは思うが」

「さあさあ、あの熊をやった奴はどいつだ?出てこねえなら、一人ずつ確かめてくだけだぜ」

みんなが一斉(いっせい)にごすじんを見ます。

もちろん私も見ます。

アレはみんなで仕留めましたが、ごすじんが仕留めたようなものです。

だから、ごすじんに任せれば、この人の頼みもきっと上手くいくはずですよ。


あれ?なんだかごすじんが、浮かない顔をしています。

ごすじんでも難しいような依頼なのですか?

でも、まだ内容は聞いていないはずです。

「へぇ、人は見かけに()らないたぁよく言ったもんだ。アンタが熊殺しってことかい」

ごすじんが困ってしまうと、私まで困ったような気になってきてしまいます。


ごすじんは私に見えるように笑顔を作ると、ゆっくりと角の人に近付(ちかづ)いていきました。

私にはわかるのです。

ごすじんは、言ってないけど「任せろ」って言ったのです。


「まずはこちらの話を聞いてもらえないか、時間稼ぎや逃げたりするつもりはない」

「嫌だと言ったら?」

「全力で逃げたうえ、捕まったら無抵抗(むていこう)(てっ)しよう。君は目的を果たせない」

(きた)ねえぞ」

「熊を倒した時の話に、興味は無いかな?」

「う、まぁ……それは」

「ここは邪魔になる。食事ブースの方へ行こう」

「ちっ」


「つまり、あの熊は単独で戦ったわけでも、正々堂々と(せい)したわけでもないんだ」

「アンタ、ここに座ってから、あえて見ないようにしてるね?」

「まじまじ見ては不躾(ぶしつけ)――」

(ちち)の話じゃない。分かってんだろ?」

「……何の事かな?」

「見てない場所……あの獣人が本命(ほんめい)で、アンタは身代(みが)わりか」

「さあ?よくわからないな」

「さっさとアイツを()()したほうが、()(ため)だと思うけど?」

「うーん、どうすれば信じてもらえるかな」


「なら、この麻紐(あさひも)()()きるまで、角を(にぎ)ってアタシを(おさ)えてみせな。アタシの(さと)の風習だ」

「抑えるというのは?」

「アタシが椅子(いす)から立つのを(とど)まらせるってことだ。殴ったりはナシ、ただ立つだけだ」

「椅子に座り続けさせればいいと?」

「ああ、初めの体勢も決めさせてやるよ」


角の人は、もしかしたら敵かもしれないですね。

ごすじんに対して、挑発的なように見えます。

(そな)えておきましょう。


「それなら、問題なさそうだ」

「ほぉ?()くじゃねえか、おい!お前、こいつがアタシの角を握ったらこの紐に火を付けろ」

「待って待って、一息(ひといき)()れてからにしよう。お酒は飲む(ほう)かい?」

「はぁ?酔わせて()こうったって無駄だぜ?アタシは大酒飲みでな」

「ハンナさん、ここで一番高い酒って何かな?」

「ニコルソンの十五年物(じゅうごねんもの)かなぁ?祝杯用に()()いてるヤツ」


「コップは小さくていいからギリギリまで()いでもらえる?」

「なんだぁ?折角(せっかく)のいい酒で貧乏(びんぼう)(くせ)真似(まね)しやがって……」

「体勢は指定させて貰えるんだったね?」

「うん?あぁ、どんな体勢だ?」

「テーブルに両手をついてくれるかな?親指だけ並ぶように合わせて」

「飲んでから、じゃねえのかよ?」

「終わったら好きなだけ飲むといい。ここに置いておくから。じゃあ開始だ」

「は?」


ごすじんが角の人の指にコップを置きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ