新装備の背景
おやじさんが新しい道具を作ってくれましたよ。
前にも増して、目の下が黒いですが、大丈夫ですかね?
真っ直ぐな棒から枝が生えていて、枝もすぐに曲がって軸と真っ直ぐ並んでいるのです。
そして、大きさが二種類あります。
これはジッテというやつですね。知っていますよ。
ごすじんが見ていた放送というやつで、使われていたものです。
おエドがハッピャクヤチョーとか言ってましたね。
え?持つところが違う?
そういえばこっち側は先っぽがとんがっていますね。
ということは、これはジッテではないのですか?
だとしたら、知らない何か……ということですね。
正しい呼び方が分かりませんよ。
ごすじんが、小さい方を五寸釘みたいだと言ったら、おやじさんが名前にしようとします。
ごすじんとおやじさんが話し合った結果、小さい方は五寸挿し、大きい方は尺挿しに決まりました。
本当は五寸でも一尺でもないし、正しい寸法なんて知らない、だそうです。
心配いらないのです。私も知りません。えへん。
知らないのですが、私はいい名前だと思いますよ。
なんだか効きそうなのです。ゴッスン。
あとはヒツカキ狩りの本番に向けて、使い心地を試すのだそうです。
どうして、わざわざ新しい道具を用意したのでしょうか?
ヒツカキはネズミで、そんなに怖い獣ではないと教えられていますよ。
え、ダメ?なんと、噛み付いてはいけないのですか?
だから、これを使わないといけないみたいです。
ヒツカキはノミやダニやシラミがいっぱい付いていて、触るのはよくないのだそうです。
でも、あいつらはどんな獣でも、だいたい引っ付いているものだったと思います。
シカやヤギを狩った後にチクチク、カイカイすることもありましたが、今は何ともないですよ。
勝手に血を吸われるのは嫌ですが、怖いというほどではないのです。
うえー、正体はわかりませんが、病気にしてくる種類がいるみたいです。
ごすじんの予想では、ヒツカキには、その種類のヤツがたくさん潜んでいるそうなのです。
噛み付くと、そいつらを食べたことになってしまうのだとか。
ぺっ、してもダメなのですか?
元気が出ないし、体も痛かったり熱かったりで、病気は嫌なものですよ。
それに、ごはんに薬を混ぜられたり、薬を含ませて頬っぺた揉み揉みされてしまいます。
美味しさを邪魔しないような工夫はされているみたいですが、薬が混じっているのは匂いでわかってしまうのです。
そういう時ごすじんは、お薬飲めたねって褒めてくれるのですが、それでもです。
どうしても、ごはんの嬉しさが減ってしまうのですよ。
まあ、注射よりは断然ましなのですが。
まずはウサギで試してみますよ。
ウサギは、追いついて鉤手甲で引っ掻けたら、それがトドメになってしまうことがあるのです。
でも、そうじゃないときだってあります。
そういう時に、ゴッスンします。
手に着けている鉤手甲、その先の爪、の下にぶら下がっているウサギです。
これなら、ウサギを狙って、自分の手を刺してしまうことはないのです。
暴れて狙いにくいときは、鉤手甲で地面に押さえつけてゴッスンします。
まあ、ウサギは噛んでも大丈夫なのですが、訓練らしいです。
他の獲物でも、試してみましたよ。
イノシシみたいな大きい相手だと、トドメに向きませんね。
でも、これは上向きに持っても、下向きに持っても使えるものだったのです。
喉に食いついて押さえつけるときに、下向きに持ってゴッスンしたら、押さえる力をもっともっと込められるのです。
どっちの向きに持っても、指の前に棒が横たわるので、指を怪我しにくいみたいですね。
イノシシは、ヒツカキとはぜんぜん違うのですが、そういう相手にも使えることが分かったことは、大事なのだそうです。
おやじさんは、なかなかいいものを作ってくれたみたいですね。
やっぱり、ごすじんはすごいのです。
ポンド・ヤード法は滅べ




