二徹、三徹おやじどん
「この店ニャ?ホントに鉤手甲が売ってるのニャ?」
「道具。合わない。危ない」
「鉤手甲はニャーに合うはずニャ!シャッとバシュッとズビーンだニャ!」
「……声。大きい」
「そんなこと言うと、そんバラピーにゃんだニャ」
何だ?客か?鉤手甲なら売り切れだぜ。
見栄で買うならやめときな、戦法を曲げてまで使うもんでもねえぞ。
……おお、あんたか!なんだか珍しい組み合わせしてんな。
で、今日はどんな啓示をくれるんだ?
ああ、多少忙しくしちゃいるが、あんたなら構わねえよ。
別に、あんたのせいでも、あんたのおかげでもねえからな。
……いや、多少はあるか。
とはいえ、俺は鉤手甲以外にも、打たなきゃならねぇもんがあるからな。
品切れしてんのはそのせいよ。
客の一部、それもハンターの都合だけ聞くわけにもいかねえのさ。
今はあれだろ、他所から助っ人が来てるだろ。
……ソイツみたいな。
あいつらが、使うかどうかも分からねえのに買っていくもんでな。
一応、忠告はしてるんだぜ。それを持っても強くなるわけじゃねえぞ、ってな。
それで?今日はどんなモノを作らせてくれるんだ?
ああ、それと後でいいから意見をくれ、新しい試作品を作ってみたんだ。
「どうやってあそこまで行ったのニャ?あそこの盾とか、あの鎧とか当たらないのニャ?」
「ごすじん領域」
「なんニャ、それ?」
「ごすじん、邪魔ない。通れる」
うーん、なるほどなぁ。二股にして片方は尖らせ、もう片方は曲げて護拳か。
先じゃなくて持ち手側を二股に割るのはどうだ?それか……最初から枝生やしたらダメなのか?
なるほど、そこらへんは俺の裁量で何とかしろってことだな。
しかし、今回はあんまりときめかねえな。
勿論、手を抜くつもりはねえけどよ……
手を抜くと言やあ、護拳のところ輪っかにしちまわねえのは、
変な場所や、深く刺さり過ぎて抜けなくなっちまった時に、手のほうを抜きやすくするためだよな。
つまりは、ある程度は紛失も織り込んで携帯するってことか。
魂を預ける武器にゃ程遠いが、命を預けられる道具ってわけだ。
なんだと?
パチンコに引っ掻けて飛ばすのにも使える?
お前……お前、そんなことができちまったら――
くそっ、まただ、これは降りてくるヤツだ。
いいから、茶でも飲んでろ!
すぐ試作品を作ってやる。帰るんじゃねえぞ。
とりあえず、大きさは三段階用意してみたぞ。
まずは持ち運びや、取り回しを確認してくれ。そっから詰めてこうや。
ったく、いい趣味してやがる。
確かに聞いた内容だけじゃ、地味な仕事だと勘違いしても仕方がねえ。
パチンコの話を聞いてピンときたぜ、俺を試してやがったな?
コイツは手で握るだけじゃねえ。
棒に括りつけたり、盾やベルトに噛ませたり、現場で孵化する夢の卵ってワケだ。
ああん?そんなつもりはなかった?
白々しいぜ、また俺に眠れない夜を進呈してくれたんだろ?
馬鹿野郎、これは冥利に尽きるってヤツなんだ。
いくらあんたでも、それを妨げることはできねえぜ。




