即席チーム
今日はごすじんがいません。
ぽんぽんゴロゴロだったのでお休みなのです。
依頼を選ぶところまでは一緒だったのですが、選んだあとはお留守番です。
よく知らない金ぴかの人に狩りに誘われたのですが、ごすじんが「いってこい」を発令しました。
「いってこい」は群れの一員としてではなく、自分の好きなように動くことです。
懐かしいですね。
公園のわんわんスペースではよくやっていました。
ごすじんと追いかけっこ3周くらいしたら「いってこい」と言われていましたよ。
群れとは関係がないので、ある程度の事は見逃してもらえます。怒られないのです。
でも、よそからは私が「いってこい」しているのか、そうでないのかわかりません。
だから、ごすじんに文句が行ってしまうようなことは、やるべきではないのです。
よく知らない人は、ハンターにしては珍しく、金ぴかの防具を使っています。
他のハンターは硬い革の防具だったり、黒く塗ったりしているのが多いですよ。
それにしても、金ぴかの人はよくわからないですね。
「よし、後は任せろ」
私にできることを途中で替わろうとしたり、自分にできることを私に引き継がせたりします。
「今だ、後は頼んだぞ」
仕留めにかかっている最中に交代するのは危ないと思うのです。
「どうだ、これがコンビネーションの力だ」
無理に交代するくらいなら、トドメに邪魔が入らないよう、警戒を受け持つものではないですか?
トドメを替わるのは私がトドメを刺せないと思っているから?
トドメだけ譲るのは弱らせないとトドメを刺せないと思っているから?
「よし、良い感じだ。運ぶのは輸送隊に頼もう」
運ぶ段取りをするのは、仕留め切ってからにするべきだと思います。
さらに分からないのはアレです。
「じゃあ、次は何を狩る?」
どうして私に獲物を聞くのですか?
私は金ぴかの人の実力を知りません、金ぴかも私の実力をあんまりわかってないはずです。
そんな状態なのに、私が獲物を選ぶのですか?
まあ、狩ったことのある獲物なら問題ないはずですね。
「イノシシ。狩る」
「え……イノシシ?イノシシかぁ……あれはちょっと難しいんじゃないかな」
私がイノシシを狩ったことがあると、知らないみたいですね。
「まあ、狩れないかもしれないけど、挑戦してみるか」
ん?これはまずいやつなのでは?
イノシシは狩れます。そして金ぴかはそれを知りません。それはいいのです。
でも、金ぴかは狩れないかもと思いながらも、やるという判断をしました。
ごすじんは危ないと思ったら止めますよ?
「よし、まずはボ、俺から」
分担も決めずに行ってしまいました。
何をするつもりなのか、ぐらいは教えてほしかったですよ。
「ぶぎょ!」
正面に立ったのでぶっ飛ばされました。
イノシシの事を知らなかったみたいですね。
知らないなら、聞けばいいのです。
聞けないなら、最初は観察をするべきなのです。
「俺にかまわず……行け」
イノシシは受け止めようとしても無駄なのです。
横に躱して――
踏む。
プギュア!
一度よろけさせたら、あとは同じです。
獣はいきなり速くはなりません。
走りながら速さが乗ってくるのです。
だから、走り続けられないよう、走り出すのを邪魔するのです。
おお、鉤手甲は便利ですね。
怪我を怖がらず、牙に引っ掻けることができますよ。
これなら、掴んでいるのと同じことですね。
ひっくり返したら喉を狙うのですが、まずは膝です。
曲がり方が反対になるように思い切り踏みます。
前に暴れられてしまったのは、力を籠める足が四本とも残っていたからに違いないのです。
イノシシも仕留めたし、帰るとしましょうか。
でも、金ぴかのコイツはどうしたらいいですかね?
あ、俺にかまわず行け、でしたね。
先に狩った獲物は輸送隊の人に頼んだので、私はイノシシだけ持って帰りますよ。
イノシシを食べたら、ごすじんのぽんぽんも治りませんかね。




