ごすじんのモテ期
クマを狩ってからしばらく経ちましたが、最近ごすじんがモテモテです。
ごすじんにかかれば、クマなんて土の中に戻れなくて干からびたミミズと同じなのです。
でも、ごすじんはそのことを自慢しません。
自分の手柄ではないと、すまなそうな顔をするのです。
おかしいですね。
確かに、クマを仕留めるのはみんなでやりました。
でも、仕留められるようにしたのはごすじんではないのですか?
それとも、モテモテなのはクマとは違う理由なのでしょうか?
そういえば、こっちでごすじんに再会したとき、少しだけ違和感がありました。
前はもっと髪の毛が涼しそうだったのですが、今は暖かそうです。
いえ、私はちゃんとごすじんだと気づいていましたよ。本当なのです。
角やタテガミみたいに、髪の毛にも周りを惹きつける何かがあるのかもしれません。
でも、髪の毛が増えたのがきっかけだとしたら、もっと前から効果が出ていたと思うのです。
なので、やっぱりクマ狩りがきっかけだと思いますよ。
ごすじんのすごさを、クマが明らかにしたのです。
もしかしたら、ごすじんと私だけだった群れを、大きくできるかもしれませんね。
今より群れが大きくなっても、ごすじんならちゃんと率いることができると思いますよ。
まあ、ごすじんが大きくするつもりがないなら、私も余計なことはしません。
あ……そうです、みんなは聞いただけなので、実際のすごさは知らないのです。
なのに、ごすじんに近付こうとする人が増えた。
本当はすごさがわかっていないのに、わかっているフリをしている人もいるはず。
そういう人は迎え入れないほうがいいですね。
乗っ取りなんかをたくらむ場合があります。まあ、そんなことはさせません。
でも、群れの秩序は少しのあいだ乱れます。
だから、ごすじんはああやって見極めているのですね。
前は、ごすじんもお付き合いすることがあったのです。
私はごすじんが選んだ相手なら、別に文句も不満もないのですよ。
でも、明らかにごすじんのためにならない相手までは、認めるわけにはいきません。
ごすじんの前では朗らかだったのに、姿が見えないと悪口を言うようなのはダメです。
自身と私、どちらかを選ばせるような試し方をするやつもダメです。
あと、勝手に私のことを恋敵だと思い込んで挑んできたのもいましたね。
嫌いではないですが、ごすじんを見ていなかったのでダメです。
まあ、いろいろな人がいるので、ごすじんも用心しているというわけですね。
とはいえ、私は別にごすじんを独り占めする気はないのです。
だから、ごすじんが気に入った人で、ごすじんに悪いことをしない人なら、問題はないのです。
いえ、嘘ですね。
私は自分の心に嘘をつきました。
おさんぽやボール拾い、円盤捕りの時間が減るのは嫌だったりします。
でも、この先、ごすじんと他の人に子供ができたりしたら、私はその子も守りますよ。
さあ、今日も恒例のごすじんチェックですよ。
ごすじんに付いて来た匂いを、逃さず余さず嗅ぎ取ってやるのです。
くんくん、ふがふが、ふんすこふんすこ、遠慮はしません。
ごすじんが引き離そうとしますが、伸ばしたその手もチェックなのです。
知らない匂いも少しありますね。でも、気になる匂いはありませんでした。
私が心配していると思ったのか、ごすじんが説明してくれます。
チェックが念入りだったことを、気にしたみたいですね。
ごすじんは、今は誰ともお付き合いはしないのだそうです。
一人で狩りはできないし、お金も少しずつしか集められないからだと言います。
お金は、私がもっと狩りをすればいいだけなのでは?
それに、私の集めたお金は、ごすじんに渡していますよ。
それを言うと、ごすじんは悲しそうな顔をします。
まあ、ボール拾いや円盤捕りの時間が減らないなら、それでいいのです。
それに、これからもごすじんと一緒におさんぽに行けるなら、それが一番なのですよ。




