くまさんに出会った
ごすじんと一緒に、クマの出没地点へ来ています。
クマはあれから、飛び出していったハンター達を返り討ちにしたみたいです。
泣きながら帰ってきた人が、何人もいました。
帰ってこなかった人もいます。
ごすじんが泣きながら帰ることにならないよう、私は私の役目を果たしますよ。
居残りをしていたハンターたちも、今日か明日から動くらしいです。
あの人たちも、ごすじんと同じくらい慎重なのですね。
きっと、私たちみたいにちゃんと準備をしたのだと思います。
ごすじんが持ってきた罠を仕掛けています。
一つの罠に狙って引っ掛けるのは難しいので、たくさんです。
そして、私はよくわからないので、手伝うことはできないのです。
だから、ごすじんが罠を仕掛ける間、私が周りの警戒をしますよ。
クマが恐ろしいので、他の獣はここに来ないみたいですが、もしものためです。
それに、他の獣が来ないとしても、クマがいきなり来てしまうかもしれません。
仕掛け終わったらクマが現れるのを待ちます。
クマはまだ狩られていないので本物を見たことはありません。
でも、剥製というのがあって、見た目も匂いも覚えることができました。
あれは本物のクマの毛皮で作った人形なのだそうです。
匂いは別物になってるかも、とごすじんが言っていましたが、この場の残り香と擦り合わせれば大丈夫ですよ。えへん。
クマが来たようです。残り香と剝製の匂いを持った、新しい匂いがしてきます。
ほお、剥製よりも大きいですね。あれが今日のクマですか。
クマは、罠から離して仕掛けていた、紐付きの肉を食べ始めました。
クマはたぶん、私とごすじんを食べようとはしないはずです。
前にクマが食べなかった、毒のエサと似た匂いを付けているからです。
でも、攻撃はされるかもしれないので、絶対に安全ということではありません。
それじゃあ、作戦開始なのです。
まずはパチンコです。
今日は、おやじさんに作ってもらったマガジンというものを、取り付けてあるのです。
これは、柔らかい弾や脆い弾を壊さないように引っ張ることができる、小さい箱です。
飛ばすのは赤星という、赤く塗った卵みたいな弾なのです。
クマは私に気付いていますが、今は軽い警戒だけで、待ち構えてはいないです。
なるほど、小さい動きで飛ばせるパチンコはこういうときに使えますね。
それに、クマは顔も大きいので、当てるのはそんなに難しくないのです。
クマが苦しみながら叫びまわっています。
うるさいのです。声がでかいのです。
当然なのです、これは目と鼻が、痛くて熱くてとてもとても沁みるのです。
前に練習したとき、私もたくさん沁みましたよ。
食堂の女の子に分けてもらった赤いのから、ごすじんが作った特別製なのです。
今のうちに紐を引いて、食べていた肉を取り上げます。
クマが落ち着いたら、いざ、追いかけっこ開始なのです。
私が肉を持っていることに気が付いたクマは、ものすごく怒って追いかけてきました。
おおう、背筋がぴりぴりしますよ。
でも、追いかけられるのは、がきんちょで慣れているのです。
走り続ければ追い付ける。と思わせれば、あいつらは疲れ果てて自滅します。
そのまま、ごすじんの付けた目印を避けて、罠罠ゾーンに突っ込みました。
クマが逆さ吊りになって吠えています。やっぱり声がでかいのです。
仕留め切るまで、あと一歩というところなのですが、仕留めるのが難しいですね。
近寄ると前足をブンブンするので危ないです。
振った勢いでぐるりんするので、後ろから近付くのも意味がないですね。
前足に縄を付けて縛ってしまえばいいのですが、付けるまでが危ないので縄を付けられません。
吊り上がったのが前足だったら、問題は少なかったはずなのです。
狩りは思い通りにはいかないということですね。
他のハンターたちが集まってきました。
クマの声が聞こえたそうです。
ごすじんは集まったハンターたちに、褒められながら笑われていますが、まだ勝ちではないですよ。
トドメを刺してからじゃないと危ないのです。
他のハンターが、輪っかにした縄を投げて、前足も後ろ足も引っ張って縛ってしまいました。
クマは蜘蛛の巣につかまった虫みたいになっています。
後は、喉を突いて終わりです。
ごすじんはハンターに褒められたので、照れながらニコニコしています。
帰ったら、今度は私の番ですね。
ごすじんに、たくさん褒めてもらいますよ




