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私刑の分析

今日は狩りに行かない日なのです。

ごすじんと街を歩いています。

お店を回って、ごすじんがよく使うものや、無いと困るものを買うのだそうです。

ごすじんは私と違って、いろいろなことをしなければいけません。

その中には、私にはできないことも混じっているので、ごすじんはなかなか大変なのですよ。

逆に言えば、ごすじんがそれをやってくれるので、私はこうしていられるわけなのです。


知らない人たちが、ごすじんに声をかけてきました。

ごすじんの知り合いなのでしょうか?

いえ、そうではなさそうですね……ごすじんの歩幅が変わっています。

これは、警戒(けいかい)の足取りですね。

でも、向こうはなんだか(した)()な態度なのです。

なんだか、ごすじんも戸惑(とまど)っているみたいですね。


なるほど、知り合いだったら、ごすじん領域を突破(とっぱ)しやすいのですね。

なるほどなるほど、そういえば私も、ごすじんとの間合(まあ)いの調整はしていませんでした。

この人たちは、それを上手く利用したということですか?

いえ、駆け引きもありませんでしたし、たぶん偶然ですね。

ごすじんは取り囲まれ、手を(つな)いで細い脇道(わきみち)に連れていかれてしまいました。

もちろん私も追いかけますよ。


この人たちは輸送隊(ゆそうたい)という人たちなのだそうです。

食べ物や(くすり)を、たくさん持って街や村を回り、欲しい人のところへ欲しいものを届けているのだとか。

それで、とても困っているので、ごすじんに協力して欲しいのだそうですよ。

でも、ニタニタと笑い顔を浮かべていて嫌な感じです。

これはあれですね、ごすじんをいじめる気のヤツですね。


「俺達は(けもの)だけじゃねえ、(ぞく)の相手をしなきゃならん時もあんのよ」

「そんな危険な仕事をしてるんだから、もっと(むく)われてもいいハズだろ?」

「だからなぁ、頼むよ。ちょっとばかり金を貸してくれねぇか?」

「へへっ、気が向いたら返しに来てやっからよ」

「獣しか相手にしねえハンターなんざ、俺達の相手になるわけがねえ」

「ここは素直に、言うことを聞いといたほうがいいと思うぜ?」

「まあ、試してみるってんなら構わねぇぜ、俺達は、な」


お金がどうとか言っていますが、嘘っぽいですね。

そういうのはどうでもよくて、強さを見せつける機会(きかい)が欲しいと目が言っています。

ごすじんはすごい。でも強くない。だけどそれでいい。

私がごすじんの強さになればいいだけなのです。


それに、こいつらはごすじんの弱さを(とが)めているわけではないのです。

こいつらにとって弱いことが悪いことだというなら、ごすじんに危害を加える理由になり得るのかもしれません。

まあ、ごすじんには私がいるから、そんな理由は成立しないのですけれど。

こいつらは、自分達がごすじんより強いという確認をして安心したいという、ただただ迷惑なだけの存在なのです。

トミーは、()えたときにおやつを(もら)ったことを、勘違いして(おぼ)えてしまいました。

だから、場所も時間も選ばずに、吠えるようになってしまいましたね。


こいつらが、ごすじんに(から)むことは楽しいことなんだと覚えたら……

それはろくでもないことです。

この時点でこいつらがそこまで見据(みす)えて行動しているのかはわかりません。

どのみち、私にとって許しがたいことなのです。

威嚇(いかく)したり話をつけたりで(おさ)める事も出来るのだとは思います。

でも、それは先送(さきおく)りにしかならないのです。

いずれまた難癖(なんくせ)をつけてきて同じことが()(かえ)されてしまいます。


何をしたらどうなるか、どうすればよかったのかを知れば、同じことはしないようになるのです。

トミーは、吠えるたびに激辛(げきから)スナックを貰いました。

それからは吠えるのをやめたのです。

なので私がやるべきなのは、こいつらにごすじんに絡んだのは間違いだったことを学ばせることなのです。


私とごすじんは、小さいけれど群れなのです。

群れには(おさ)が必要です。

そして、ごすじんはこの群れの長なのです。

その長に、牙を向けるということが、どういうことなのか知らなければいけません。

やってはいけないことを覚えて帰れなのです。


だから、その後の行動は早くて単純で簡単でした。

そしてこういうときに使う言葉は知っているのです。

「ごすじん。ぶち殺す。ました」

ぶちは大事なのです。ちゃんと付けていますよ。

一度で覚えるかどうかは、こいつら次第(しだい)ですけど。

殺す=死に至らしめる → 対象の死が目的

ぶっ殺す=己が備える暴力を最大限行使する → 対象の死は結果の一部

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