表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
33/64

前提は大事

今日はごすじんと一緒に、この前のお店に向かっているのです。

試作品だったパチンコと鉤手甲(かぎてっこう)ができたから、受け取りに行くのだそうです。

鉤手甲というのは、手に付けるハーネスのことなのです。

違いました。ハーネスに似ているけれどハーネスではなかったのです。

でも、名前がなかったから、ごすじんの呼び方が名前になってしまったらしいです。

うーん、難しいですね。


それにしても、できたというのはどういうことなのでしょう?

この前は試作品だから(わた)せないとか言われましたが、あれはできていなかったということですか?

狩りに使うためではなく、形を確かめるためだったと、ごすじんが教えてくれます。

昔見た、お店の前のガラスに並んでいる、ごはんの匂いがしないごはんの偽物(にせもの)みたいなものでしょうか?

やっぱり難しいですね。

だから、ごすじんはすごいのです。

どのくらいすごいのか私にも分からないということは、とてもすごいということなのです。


おや、前から(あや)しい人が来ます。

この人はごすじんに用があるのでしょうか?

ごすじんの進路を見ているようですが、じっと見てから、急に見てませんと()(わけ)するみたいに下を向くのです。

視線の切り方がおかしいですね。

それに、私は気づいているのです。ごすじんの歩幅が変わったことに。


「あ、ごめんなさ――はぇ?」

怪しい人は何もないところで(ころ)び、誰もいないのに(あやま)りました。

これはあれですね、ごすじんに用があったわけではなく、ごすじんに用を作ろうとしたのですね。

ふふん。歩いているごすじんにぶつかろうなんて、()(ほど)が分かっていないようですね。

偶然(ぐうぜん)(よそお)っているつもりだったのですか?

ごすじんはだいぶ向こうから気付いて、間合(まあ)いの調整をしていましたよ。

手も足も届かないから勝手に転んだことにしかならないのに、ごすじんが何をしたと言えるのですか?


ごすじんは見ようとしていないけれど、見えているのです。

私も、なかなかできるようになってきたのですよ。

今みたいな、見ていたけれど見ていないフリとは違うのです。

特にごすじんは、年季が違うというやつなのですよ。


ごすじんにぶつかるなら頭は低く、お尻は高くして、今から行くぞと合図するのがコツなのです。

こちらを見て両手を広げ、片足を半歩引いたら、それが準備完了のお返事なのです。

突貫(とっかん)せよとなるわけです。

そんな前提すら知らないのなら、ボール拾いから積み重ねたほうがいいのですよ。

まあ、ボール拾いも前提は大事なのですけれど。


重要なのは、ボールがごすじんのものだということ。

ごすじんはボールを捨てているのではないのです。

だから、拾ったボールを自分のものにしてはいけないのです。

私が、ボールを追いかけるのが好きなことを知っているから、投げてくれるのです。


そしてボールを届けると、()めて貰えます。

ボールを返すと、また投げてくれます。

それをまた届けると、またまた褒めて(もら)えます。

でも、ボールを返さないと、次を投げて貰えません。

つまり褒めて貰えないのです。


この喜びの連鎖(れんさ)を自分から断ち切るなんて、なんともったいないことでしょう。

いえ、もったいないどころか罪深(つみぶか)いと言うべきですね。


円盤も同じことなのですよ。

ちなみに、あいつは飛んでる時間が長いので、勢いが弱ってきたときにジャンプして取るのがオススメなのです。


ごすじんからは用がないみたいなので、この人は(ほう)っておきましょう。

パチンコと鉤手甲を受け取って、狩りで試してみるのです。

そのあとは……むふふ、円盤を捕まえて遊ぶのです。

プレイ・バウ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ