これを踏まえて
今日はヤギを狩りに行きますよ。
ウサギは狩れませんでしたが、トカゲを仕留めたので、お勧めされました。
ヤギにも種類があって、狙うのはスリカバチというやつなのだそうです。
このヤギはそんなに悪いことはしないのですが、クマがよく狙うそうですよ。
だからこのヤギが街や村の近くに出ると、クマを呼び寄せてしまうみたいですね。
ウサギと違って臆病ではないから、逃げないところもよくないらしいですよ。
今日の狩場はちょっと入り組んでいます。
ほえ?倒れた木を踏み越えようとしたら、苔が生えていて滑りました。
踏み越えることはできなかったのですが、木が転がっていきます。
今まで、特に気にすることもなく歩いたり走ったりしていたのですが、この足もなかなか面白いですね。
いろいろなものを、踏めます。
下にあるものは今までと同じですが、前にあるものまで踏むことができるのです。
でも、前足が手になってしまったので、体を支える足は二本になりました。
さらに、それを一本にして前を踏むのはすこし怖いのです。
けど、踏んだらすぐに戻せばいいのです。
一本で踏んで、戻して二本。
ふふ、ちょっと楽しくなってきましたよ。
いつもは体を支えたり、走ったりするための力を、別のものに向けられるのですよ。
でも、これは勢いよくやるのは危ないですね。
足一本の時は、体勢を崩しやすいのです。
自分から転ぶのは、隙だらけになることと同じなのです。
なので、前を踏む作戦は慎重に使うのです。
ウサギと同じく、お姉さんに見せてもらったヤギの匂いを辿っていくと、見付かりました。
聞いていた通り、逃げようとしませんね。
それどころか、頭を下げてこちらに走ってきましたよ。
頭には角が生えていて、その角はぐるっと巻いています。
あの形では刺さらないと思うのですが、硬そうなので当たると多分痛いですね。
正面から行くのはやめておきましょう。
むぅ、飛び跳ねるのでなかなか捕らえられません。
走っているときは頭を下げているので、前や横からだと喉が狙えないですね。
角が邪魔をしています。
避けるのは簡単なのですが、避けて、追いかけて、ぴょーんされての繰り返しなのです。
避けた後に横から踏んでみました。
ここは外れても、ヤギは勝手に離れていくだけなので思いっきり踏みますよ。
お、ヤギが体勢を崩しました。
横滑りしながら、四本の足を必死に動かして姿勢を直そうとしています。
ふむふむ、これならぴょーんされる前に、追いつけるかもしれませんね。
次、上手くいったら仕留めにかかりましょう。
避けるのにも慣れてきたので、角には当たらないけど離れすぎない場所が、わかってきましたよ。
今度もヤギを避けて、また横から踏みます。
――聞いたことのない音がしました。
音……というよりは感触が伝わってきました。
足の裏で、何かが崩れてしまったようです。
これは大変です。
足を怪我してしまったかもしれません。
今、この場で走れなくなったりしたら、非常にまずいのです。
でも、まだ痛くはないですね。
気のせい……ではないはずです。
あの感触が、間違いだとは思いません。
一旦、転がってヤギから離れます。
それから、ちらっと自分の足を確認します。うーん、なんともなさそうなのですが……
その後、ヤギに視線を戻したのですが、あれ?
思ったより遠くに行っていないですね。
あと、後ろ足がさっきと違う方向に曲がっています。
なるほど、この違う曲がり方をした足は、もう足ではないのですね。
使える足が、四本から三本になってしまったということでしょう。
もうこのヤギは、ヤギの動きができません。
仕留めにくい相手を、仕留めやすくするために踏む。
これはなかなか使えそうですね。
さて、狩りを済ませて帰りますよ。




