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飲んだくれハンター

「そういや、最近ひげクマのおっさん見てねえな」

「懐かしい。そんな奴もいたな」

「いやいや、先週会ってるから。懐かしいってほど昔じゃねーよ」

「お前、あん時いなかったもんな」

「何かあったのか?」

「ひげクマはもう終わったんだよ」

「おい、死んだってのか?」

「ひげクマは去り、代わりに鼻なしが現れた」

「オメーわざとだろ。分かるように言え。ハンナちゃん、こいつにエール1杯」

「いや、俺はミードがいいな」

「ちっ、じゃあミード1杯お願いね」


「外から移動してきた新顔に絡んで返り討ちにあった」

「鼻なしってのは?」

「その時に鼻を食い千切られたんだよ。

死んじゃいねーが、今は鼻なしって呼ぶのが流行ってる」

「そいつはワイバーンか何かなのか?」

「いや、獣人だったぞ。細かいとこは分からんが珍しい種じゃなかった」


「あのおっさんウゼぇけど、そこそこ腕は立つと思ってたんだが……

狩りと対人戦じゃ勝手が違ったのかね」

「それもあるかもしれねぇが、まず、試合とか対戦って感じじゃなかったからな」

「戦ってないってことか?」

「アイサツがねえとか聞いてんのかって、掴みかかった瞬間ブチッと……」

「ブチッと……」

「皆まーた始まったわって、視線を切ったりコップを持ったりしたところに『いぎゃぁ』って……」

「いぎゃぁ……」


「飲みすぎたか、冷えてきたな。なんか温かいモンでも食わねえか?」

「俺もそう思ってたところだ。ハンナちゃん炙りベーコン2丁くれ」


「あの状態だと、蹴るも殴るも武器を構えるのも一旦離れなきゃ無理だったろうが……

そのまま、思いも寄らねぇ、動作の小せぇ、最短距離の、避けづらい一撃だ」

「あー、攻撃が来るとしても、一旦離れてからって思うわな」

「それに、顔から鼻だけ避難させるなんて人間にゃ不可能だからな」

「モンスターでも不可能だろ」

「いやいや、もしかしたら居るかもしんねーぜ」


「まあ、現場に出るよりここで管巻いてるほうが多かったし、

居ないほうがいいだろあんなおっさん」

「後進の指導もしねえしな」

「昔の自慢話はするけどな」

「含蓄ある昔語りなら、参考にもなるんだろうが、な?」

「『どうやって狩ったか知りたいか?教えてやろうか?それはな……』」

「「『秘密だ』』」」


――ゲハハハハハ……ゲホゲホッ……オェッ!


「お前かぶせてくんなよ」

「お前こそ顔真似までしてんじゃねーよ」


「だが、ひげクマ改め鼻なしのおっさんは、もう同じ手は食わねぇだろうな」

「そりゃそうだ。なんたって――」

「「噛まれる鼻が無いからな」」


「しっかし、そりゃ克服したってことでいいのか?」

「結果だけ見りゃあな。過程は見ない方向だけどな」


「あ、ハンナちゃん。仕入先変えた?このミードなんかうめーんだけど」

「このエールも、なんだかいつもより美味い気がする」


「その後で、会長も出てきてたぞ」

「いつものように火事場、修羅場でも重役出勤ってか?

お忙しそうで何よりだ。頭が下がらぁ」

「いや、今回は出火から鎮火までが早すぎだ。

まあ、火が消えてなきゃ出てこないってのは、その通りだけどな」

「なんでアレがここの会長やってんのか、未だにわかんねえや」

「協会の覚えがめでてえんだろ?獣相手の俺らと違って上品なおつむが必要とか?」

「だとしても、普通は陣頭指揮とれるやつがアタマ張って、補佐とか副とかにつけるもんじゃねえか?」

「考えたってしょうがねえよ。ここはそうじゃねえってだけだ」


「ハンナちゃん、お代わり。おんなじので」

「俺も俺も。って、あれ多分聞こえてないぞ」


「会長も鼻をなくしちまったのか?」

「いんや、揉め事は困るとか、いつもの祝詞を上げて引っ込んだぞ」

「その新顔が何かしたのか?」

「さあな。何か話したのかもしれんが聞こえなかった」

「珍しいな。いつもならお得意の説法でも始めそうなもんだが」

「まあ、ひげクマの鼻と一緒に、なかったことにされたんだろ。

その場で沙汰がなけりゃ、放免ってのがここのならわしだ」

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