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07 マリアのお願い・肉の塊添え

可愛い妹の驚愕の性癖が判明してショックを受けているが……苺心が決めた相手ならば反対はすまい。


多少倫理観がズレてる気がしなくもないが……異世界だしアリっちゃアリだろ。


まあ、子供の言った事だし心変わりする可能性もあるからとりあえず置いておこう。


本気で結婚するならあの小僧が成人するまでに立派なピットマスターとなる様に、可能な限り教育してやるつもりではいるが。


あ?ピットマスターにする必要はあるのかって?


最重要に決まっているだろう。


それよりも今はマリアとのデート(多分?)だ。


一夜を共に、とか言ってたし……つまりそういう事でいいんだよな?


とはいえゲームだと身ぐるみ剥がされたり、一緒に酒を飲むだけだったり、既に婚約者が居るのを明かされたり、が定番だからな。


身ぐるみ剥がされるのは勘弁だがこの世界だとベーコンは俺でなければ作れないからそれはないだろう。


商売は素人の俺でも唯一の職人とは長く付き合った方が得になる事だけは解る……いやまあ俺は職人と呼べるレベルじゃないのは自覚しているけどな。


婚約者の紹介は……ショックは受けるだろうがまあ、受け入れよう。


どうせ会ったばかりでフラグなんかなかった。


酒は飲みたいからそのつもりで言ってたならそれはそれで構わん。


むしろエールやワイン以外の酒があるなら是非とも教えて欲しいぐらいだ。


……よし、過度な期待は捨て去った。


風呂も入って念入りに身体を洗ったし、行くか。





確か待ち合わせは街の入口辺り……お、居た。


「すまん、待たせたな」


「うん、待ってた」


さて、婚約者(おに)が出るか(じゃ)が出るか……


出来ればお酒を出して下さい。


で、向かった場所は何故かテントの中……多分マリアは宿代ケチってこれで寝泊まりしてるんだな。


でも汗臭いとかそういう臭いはないから水浴びは欠かしてないんだろう……だって花の様ないい匂いがするし。


中は寝袋しかないから……雑魚寝でするのかな?


あれ……花の匂いに混じって肉の匂いもする?


「これを食べて、正直な意見を聞きたい」


「これは……何だ?」


見た目はテニスボールみたいなミートボールだが?


匂いの正体はこれか。


って色がまさに肉そのものなんだが、味付けはしたのか?


「カーニズ族の家庭料理で、ウシの肉を1口大に切って、ニワの肉の薄切りか皮で包んで、ブタかイノを叩いた肉で包んで蒸し焼きにした物……名前はミートという」


まさに肉の塊……(ラム)肉があればパーフェクトだった。


日本風に言うなら1口ステーキの鶏肉包み・ハンバーグ巻きって所か。


まあ折角だし食ってみるが……ふむ。


挽肉はふんわり、鶏肉もしっとり、牛肉もミディアムレアに仕上がってるな。


味付けは牛肉に塩、鶏肉には醤油を塗ってあるな、そして挽肉には塩とニンニクのみじん切りが混ざっている様だ……全体の味のバランスは考えられているみたいで口に入れたら丁度いい塩梅だ。


まあ味は悪くないが欠点を挙げるなら食い辛い、挽肉が崩れる、脂がしつこい、これぐらいか。


蒸し焼きではなく煮込みにしたり、炭火で焼けば多少は改善される筈だが……


後、挽肉はしっかりと捏ねた方がいいぞ。


「ちょっと食い辛いけど味はいいな」


「解った、やはり食べやすさに改良の余地がある」


……って俺は報酬の一部として一夜を共にする為に来た筈なのに、何で試食をさせられてるんだ?


美人の手料理を食えたと思えば得をしたと言えるが、これは夜中に食って良い物じゃないだろ。


俺以外の奴にこれを出したら本気でキレられちまうぞ?


「……ウメオ、お願いがある」


「お願い……またベーコンの追加か?」


「それはそれでお願いしたい、でも違う」


追加のお願いはしたいんだな……まあ材料というか塩漬け肉さえ用意するなら作ってやるけど。


……って何やら真剣な顔つきだな、茶化せる空気じゃなさそうだ。


「今から2週間後、カーニズ族の領土でコンテストが開催される……そこでウメオに本気の肉料理を出して欲しい」


話の繋がりが見えないな……っていうか報酬はどうした?


だが俺の本気の肉料理と聞いたら興味が湧いた。


我ながら単純な思考回路だと思うがこれはピットマスターのサガだから仕方ない。


「……詳しく聞かせろ」





話を纏めると……


カーニズ族では250歳になっても相手が居ない娘との結婚を賭けたコンテストが伝統になっていて、今回その年齢に達するのはマリア1人だけらしい。


幸か不幸かカーニズ族は女性の方が立場が上だから無理矢理迫られる事はなかったみたいだが。


しかしながら男達のアプローチが酷過ぎる上にしつこくて、それが嫌になって行商に出たのはいいがこれまでに結婚したい相手とは出会えなかった。


そして遂に2週間後、誕生日を向かえるマリアがコンテストの景品に……ってマリアは今249歳だったのか。


とはいえ俺は200歳のタープや年齢不詳の女神様にもタメ口だからな……今更ながら失礼かとは思ったが今まで通りでいいだろ。


本人達も気にしてなさそうだし。


「コンテストには普通の人間でも、族長か景品である私が進言すれば参加出来る……実際に前回の景品だった娘と、今の族長はそれでオークと結婚した」


という事はこの世界のオークって人類扱いなんだな。


エルフとオークなんていわゆる薄い本の定番な組み合わせだが、変な勘違いをする前に知れて良かった。


「正直に言うと私はカーニズ族の男とだけは結婚したくない、理由は殆どの男が私ではなく、私の稼ぐお金しか見ていないから……1番しつこかった老人は私の身体だけが目当てだし」


そりゃ逃げたくもなるわ……行商なら賞品の確保さえすれば何とか生きていけるだろうし。


多分だがコンテストの景品にしてまで結婚させるのは子孫繁栄という目的からだろうに、そのしつこい爺さんって……使い物になるのか?


何が、とは言わないが……まあ察せるよな。


「でも掟には逆らえない、逃げたら一族総出で追い掛け回された挙げ句、一族の独身男全員の子供を産まされる……実際にそうなった女性も見た事がある」


一族総出のストーカーに捕まったら慰み物とか、男の俺が想像するだけでも寒気がするな。


聞いた話じゃマリアは商人で戦うのは向いてないそうだし……人海戦術で来られたら逃げ切るのも無理だろう。


それで俺に勝って貰って時間を稼ごうって訳か。


……本気で俺と結婚したいならコンテストの前に入籍すれば済む話だもんな、うん。


最初に過度な期待は投げ捨てたから悲しくなんてないぞ……グスン。


「コンテストの課題は【ウシ、ニワ、ブタの肉を同時に使った肉らしい肉料理】、手本は見せたけど、出来る?」


……あの肉の塊は手本のつもりだったのか。


まあその条件を満たせる料理は幾つか知っているからな、何とかなるだろ。


「任せとけ、俺が作る本気の肉料理って奴を見せてやるよ」


「ありがとう……ならこれ、前払い」


マリア、何故くっ付く?


いや、抱き付かれるのは嬉しいんだがDTにそんな事したら勘違いしちゃうだろ、このまま押し倒されても文句は言えんぞ。


ん?何やら頬に柔らかくて暖かい感触が?


「続きが欲しい?コンテストに勝った後なら、いい」


続きって、これ以上の何かがあるの?ナニしちゃっていいの?


え、コンテストに勝てばいいって今度こそ期待しちゃっていいの?っていうかするぞ?





……純粋なDTをドキドキさせておきながら「寝るから帰って」は酷いと思わんか?


いや、俺だと「好きにして」とか言われても絶対にヘタレてたけどね?


チクショウ、どうせなら頬より唇にして欲しかった!


……こりゃ、死ぬ気で勝つしかないな。


マリアの頼みと、俺の脱DTの為に!

挽肉はしっかり捏ねないと粘りが出ない

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