第8話 断殺
休憩地点は小さな空間だった。
苔と切り株。木漏れ日。
転移者たちは散らばる。
「サイオンジさん、少しいいですか」
西園寺ルカの肩が震える。
「ギフトについて、少しだけ確認させてください」
「街に入る前に一度整理しておいた方がいいと思いまして」
穏やかな声。
「ミスズさんも一緒に聞いてもらっていいですか」
少し離れていた鬼塚美鈴が立ち上がる。
間合いに入る。
その瞬間。
久我の表情が歪む。
「ルカ、逃げろ!」
久我の叫びと同時。
剣が走る。
横一閃。
西園寺の首が滑り、
落ちた。
胴体が一瞬立ったまま揺れ、遅れて崩れる。
血が噴き上がる。
【ギフト:支配魅了】
視線を合わせた相手の意思を奪い、絶対服従へ落とす。
発動すら許されなかった。
−次。
男は止まらない。鬼塚美鈴の首も狙う。
鬼塚の腕が上がる。
刃が叩き込まれる。
骨に当たる。
止まる。
硬い。
想定以上。
即座に軌道を変える。
突き。
剣先が眼窩を破る。
奥まで沈む。
柔らかいものを潰す感触。
引き抜く。
血と脳漿が飛ぶ。
鬼塚の膝が折れる。
まだ生きている。
だが――
中身は終わった。
⸻
【ギフト:未来予見】
1秒先の未来が見える。
向かってくる刃か。
潰えた西園寺と鬼塚か。
原因はわからない。
だが久我の世界が歪み始める。
未来視が広がる。
一秒。
二秒。
十秒。
三十秒。
一分。
さらに先。
胸が裂ける未来。
肺が潰れる未来。
腹が割れる未来。
必死に分岐を探す。
逃げても、立ち向かっても、何を選択しても。
全部同じ終点。
黒。
距離が詰まる。
「待て――」
横薙ぎ。
腹が裂ける。
熱が溢れる。
内臓が滑り出す。
膝が折れる。
さらに一撃。
胸骨が割れ、肺が潰れる。
血泡が喉を塞ぐ。
未来はそこで止まった。
久我が崩れたと同時に男は斜め後ろに身を引く。
先程まで頭があった場所を、鋭い掌底が通り抜ける。
射殺すような眼光。
藤堂優斗。




