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猟犬と転移者  作者: タンナファクルー
第一章 捕食者は手順を示す
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第8話 断殺

休憩地点は小さな空間だった。

苔と切り株。木漏れ日。


転移者たちは散らばる。


「サイオンジさん、少しいいですか」


西園寺ルカの肩が震える。


「ギフトについて、少しだけ確認させてください」


「街に入る前に一度整理しておいた方がいいと思いまして」


穏やかな声。


「ミスズさんも一緒に聞いてもらっていいですか」


少し離れていた鬼塚美鈴が立ち上がる。


間合いに入る。


その瞬間。


久我の表情が歪む。


「ルカ、逃げろ!」


久我の叫びと同時。


剣が走る。


横一閃。


西園寺の首が滑り、

落ちた。

胴体が一瞬立ったまま揺れ、遅れて崩れる。


血が噴き上がる。


【ギフト:支配魅了】

視線を合わせた相手の意思を奪い、絶対服従へ落とす。


発動すら許されなかった。


−次。


男は止まらない。鬼塚美鈴の首も狙う。


鬼塚の腕が上がる。


刃が叩き込まれる。


骨に当たる。


止まる。


硬い。


想定以上。


即座に軌道を変える。


突き。


剣先が眼窩を破る。


奥まで沈む。


柔らかいものを潰す感触。


引き抜く。


血と脳漿が飛ぶ。


鬼塚の膝が折れる。


まだ生きている。


だが――


中身は終わった。



【ギフト:未来予見】

1秒先の未来が見える。


向かってくる刃か。

潰えた西園寺と鬼塚か。

原因はわからない。

だが久我の世界が歪み始める。


未来視が広がる。


一秒。


二秒。


十秒。


三十秒。


一分。


さらに先。


胸が裂ける未来。


肺が潰れる未来。


腹が割れる未来。


必死に分岐を探す。

逃げても、立ち向かっても、何を選択しても。


全部同じ終点。


黒。


距離が詰まる。


「待て――」


横薙ぎ。


腹が裂ける。


熱が溢れる。


内臓が滑り出す。


膝が折れる。


さらに一撃。


胸骨が割れ、肺が潰れる。


血泡が喉を塞ぐ。


未来はそこで止まった。


久我が崩れたと同時に男は斜め後ろに身を引く。


先程まで頭があった場所を、鋭い掌底が通り抜ける。


射殺すような眼光。


藤堂優斗。

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