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猟犬と転移者  作者: タンナファクルー
第二章 観測者は盤面を読む
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第14話 密度

検査官は椅子に深く座っている。

目は閉じたまま。

机の上に手。


隣で書記の筆が動いている。


検査官の声だけが室内に落ちる。


部屋は薄暗い。

窓は小さい。


【ギフト:視覚共有】

最後に触れた人間の視覚を共有できる。


視界が切り替わる。


森。

制服。


一人。

二人。

三人。


視界が進む。


五。


まとまり。


検査官は言う。


「転移者、計八確認。上へ回す」


筆が走る。


時間が経つ。


画が揺れる。


負傷。


倒れている女。

動かない。


皮膚が寄る。


終わらせる。


紙。


字。


検査官は読む。


二十以上。


最大三十。


指が止まる。


八。


それだけでも異常だった。


三十。


検査官は言葉を選ぶ。


「広域事案」


筆が止まる。


西の森での単独任務。


担当職員は一人だ。


検査官は椅子から動けない。


呼吸が一度、遅れる。


机の上の手がわずかに強張る。


これは単発事案ではない。


検査官は目を閉じたまま言う。


「現地担当職員報告。数は二十以上。最大三十。暫定事実として扱う」


一拍。


「至急、上申」


薄暗い部屋。


紙の白が、やけに重い。

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