宝石と水龍と最終兵器。全部まとめて相手します!
「カイ様、こちらが宝物庫です」
将軍グラドが大きな鍵を二つ、リオは黙って三つ目の鍵を回す。
「……鍵、多すぎません?」
「宝だからな」
ずしりと扉が開くと──中は眩しいほど光っていた。
金貨、銀貨、宝飾、王冠、武具、魔道具……
そして中央に、ひときわ輝く光の山。
“国一番の宝石”──《連邦心核結晶》
ピンクと金が混ざった光を放つ、拳大の宝石だった。
将軍が言う。
「これは連邦の象徴。国が混乱すると曇り、安定すると輝く」
(じゃあ今輝いてるの……嬉しい……)
リオがぽつり。
「カイが救った証だな」
「そんなことよりスライム返してもらいましょう!!」
「もっと誇れよお前は!?」
―――
「ドラゴンさーん! 宝石持ってきましたーー!!」
「はぁぁい♡ いらっしゃァい♡」
水が渦をまき、優雅な水龍のお姉さんが姿を現した。
「まぁ♡ 本当に持ってきたのねぇ?」
「もちろんです! それで、スライムを返して──」
「待って♡ まずは宝石をじっくり見せて?」
(あ、完全に宝石大好き属性……)
私は宝石を両手で差し出す。
「これが“国で一番の宝石”です!」
水龍の目がとろける。
「なぁぁぁんて綺麗なの……♡ こんなもの見せられたら……ねぇ……?」
リオが警戒する。
「スライム返してくれるよな?」
「あら? 返すなんて一言も──」
「返してください!!!」
水龍「ふふ♡ 冗談よ。ちゃんと返してあげるわぁ」
水面が光って、
奥からスライムがぷかぷか浮いてきた。
「ぷるぅぅぅぅ!!!(泣きながら抱きつく)」
「スライム〜〜〜!!! 涙出る……!」
「お前ら恋人か」
水龍が笑いながら言った。
「この子、そこで“水属性耐性”を身につけたわよ。ついでに“水流走法”も」
「ぷる♡(はやくなった)」
(スライム……また強くなった……)
水龍が微笑む。
「また宝石あったら来てねぇ♡」
「今度は“貸すだけ”にしてくださいね!!!」
―――
議会前に戻ると──
「カイ殿!! 戦争商会連盟が……!!」
「どうしました!?」
「連盟本部が“最終兵器”を起動しました!! “黒鉄の大商塔”だ!!」
(なにそれ怖い)
将軍が説明してくれた。
「連盟が作った巨大な移動要塞で、一つの街くらい簡単に飲み込める」
リオが低い声で言う。
「……商会が兵器を持つ時点で終わってるだろ、この国」
「ぷる(こわい)」
さらに追い打ちがかかる。
「しかも、連盟は周辺諸国の盗賊団や傭兵団と同盟し、連邦を“包囲”し始めています!!」
カイ
「完全に商売の仕方を間違ってますね……」
リオ
「商売じゃなくて侵略だ」
将軍
「どうする、カイ殿……?」
私は胸の前で国旗を握った。
「決まってます!」
―――
「戦争なんていりません! 私たちは“商人”です! だから商談・物流・信用・価格で勝ちます!!」
スライム軍団
「ぷる!!(おー!)」
「ぷるぷる!!(しょうばいだー!)」
リオが肩をすくめる。
「ほんっとに商人だな……。だが、それが一番効果的だろう」
―――
「行きますよみんな! 戦争商会連盟の包囲網を──“生活支援価格”で崩します!!」
将軍
「軍を率いて後方支援する!」
奴隷改め仲間たち
「全国の店舗を動かします!」
スライム軍団
「ぷるるる!(前線担当!)」
リオ
「カイ。……いつの間にこんな大組織に?」
「え? 気づいたら?」
「そこが一番怖いんだよ!!」
―――
こうして、
・宝石の取得
・スライム奪還
・連邦全域の改革
・水龍との和解
・商会連盟の最終兵器出現
すべてが揃い、
カイ vs 戦争商会連盟(最終戦)
の火ぶたが切って落とされようとしていた。




