水龍の要求と、宝石クエスト発生。そして議会へ。
水龍のお姉さんは、スライムを撫で回しながらとても素敵な笑顔で言った。
「ねぇぇ、あなたたち“商人”なんでしょう?」
「は、はい」
「ならもちろん“アレ”持ってるわよねぇ?」
「ア、アレ……?」
リオが眉をひそめる。
「嫌な予感しかしないな……」
「ぷる(ぼくもしない)」
水龍はうっとりと目を細めた。
「宝石よぉ♡ ほ・う・せ・き♡」
「えっ」
「宝石、持ってるんでしょう? 商人なら当然よねぇ?」
「つ、次仕入れます!!」
即答。
しかし水龍は頬に手を当ててしょんぼり。
「まぁぁ♡ 持ってないのぉ? 残念ねぇ……仕方ないわねぇ……」
そして、スライムをひょいっと掴んだ。
「じゃあ、この子はいただくわねぇ♡」
「ぷるーーーー!?!?(裏切られた顔)」
「えええええええええ!!!?」
「返してくださいーーー!!!」
水龍は指を振りながら言った。
「返してほしかったらぁ──“この国で一番の宝石”を持ってきてねぇ♡ そうしたら返してあげるわぁ♡」
(ひぃ!! ハードル高い!!!)
「じゃ、がんばってぇ♡」
光とともにスライムは消えた。
―――
“国一番の宝石探し”という新クエスト発生!
「リオ!! どうしよう!!」
「……どうしようと言われてもなぁ」
「ぷるが……ぷるが……連れていかれた……(泣)」
リオはため息をついて肩を叩く。
「カイ、落ち着け。まずは“この国一番の宝石”を探すんだろ?」
「はい……どこですかね……?」
そこに、背後から重い足音。
「──それなら“城の宝物庫”だ」
将軍グラドだった。
「だが……あれは、英雄級の功績がないと授与されない宝だ」
「英雄……」
(帝国のときの革命より難しそう……!)
「つまり……」
リオが呟いた。
「連邦を救えば、宝石が手に入るというわけだな」
「はい。なので早急に国を救います!!!」
(スライム救出は命にかかわる!!)
―――
そしてカイの次の行動が早すぎた。
「よし! 一階層の毒スライムたち、行きますよ!!」
「ぷるるるる!!!(やる気)」
「ぷる!!(後輩風)」
「ぶるぶる!!(ついてく!)」
リオが目を見開く。
「カイ……お前……」
「議会に向かいます!!!」
「完全に潰す気だろ!!!!?」
「違います!! “商談”しに行くだけです!!! 毒スライム軍団を連れて!!」
「それを世間では“制圧”と言うんだよ!!」
―――
カタ……カタ……(議事堂の扉が揺れる)
「な、何だこの音は……?」
「軍が攻めてきたのか!?」
「まさか将軍反乱!?」
そして──
どーーん!!!
扉が開き、
毒スライム軍団(20匹)+ 先輩スライムに憧れる小スライムたち + カイ + リオ
が勢ぞろい。
「ぷる♡(こんにちわー)」
「ぷる!!!(議会見学にきました)」
「ぷるる(よろしくおねがいしまーす♡)」
議員たちが真っ青。
「ひ、ひええええ!!!? し、死の軍勢だ!!!」
「毒スライムがいっぱい!!?」
「何であんなに従順なんだ!? 誰だあの少年は!!!?」
私は手を上げた。
「こんにちは! 商談に来ました!」
「商談の規模じゃない!!!」
「民間人が議会を制圧している!!?」
「スライムが笑ってる!?!?」
リオがぼそっと。
「……まぁ、潰すよりマシか」
(いや、潰してるのと同じかもしれない)
―――
「皆さん。私、欲しいものがありまして」
「何だ!? 身代金か!? 国庫か!? 命か!?!」
「宝石をください」
「は?」
「“この国で一番の宝石”をください」
沈黙が落ちたあと──
「絶対に嫌だぁぁぁぁぁ!!!!」
「英雄の証を子どもに渡せるかぁぁ!!」
「しかもスライム軍団引き連れて脅しに来たであろう!!」
「脅してませんよ! 全部味方です!」
「それが脅しなんだよ!!!」
(えぇ……)
―――
将軍が議場に踏み込んだ。
「静まれ!! カイは敵ではない!! 我々が救われる道は“改革”しかない!!」
議員たちがざわつく。
「まさか将軍まで……!」
「連邦軍までカイについたのか!?」
「国が……本当に変わるのか……?」
将軍は力強く宣言した。
「カイは連邦を救う。そして連邦を救った暁には──“宝物庫にある宝石を授与する”!」
「本気か将軍!!?」
「本気だ」
(やった……!)
私は拳を握って言う。
「では私は、連邦を救います!! スライムも一緒に!」
「ぷる!!!(やるき)」
「ぷるっ♡(任せて)」
議会にスライムが広がり、議員たちは震えていた。
リオがため息まじりに言った。
「……カイ。どう考えても“救いに行く顔”じゃなくて“征服しにきた顔”だぞ」
「ち、違います!! 商売です!!」




