水龍とスライムと、暴走気味の将軍殿
将軍グラドに、私はあるお願いをしていた。
「将軍さん。私が買い取った……いえ、仲間にした皆さんを、“自衛できるレベル”に訓練してほしいんです」
「任せろ。自衛だな、よし……わかった!」
(よかった……これで安全に──)
*五分後*
「お前ら!!! 連邦を変えるぞぉぉぉ!!! まず議会を叩き潰す鍛錬だァァァ!!!」
「ちょっと待って!?」
「えぇぇぇ!? 一揆……いや革命ルート!?」
リオが額を押さえる。
「カイ……将軍に頼むのが悪手だったのでは……」
「ぷる(やる気満々)」
(やる気満々じゃなくていいんです!!)
―――
「……とりあえず、逃げましょう」
「賢明な判断だ」
「ぷる!(にげろー)」
私たちは近くにあるダンジョンに避難した。
今回は入口から妙に静かで──扉を開けると、スライムが数匹ぷるぷる寄ってきた。
「ぷる?(だれだれ?)」
「ぷるる!(あ、スライムと仲良しの人間!)」
すっかり友好的だ。
「スライムかわいいですね……」
「出会うスライム全部味方になるの、お前ぐらいだぞ」
「ぷる♡」
と、ほっこりしたのも束の間。
「ここにいるぞ!!」
「皇帝を倒した少年だ!!」
「連邦議会の命令だ!!」
(うわっ来た……!)
だが──
ずる……
じゅるり……
ぷるぷるぷる……
「え?」
「あ」
「ぷる♡」
スライムが暗殺者をモグモグし始めた。
「ぎゃああああああああ!!!?」
「やめっ……やめろぉぉぉお!!」
「溶けるっ……溶けっ……!!」
みるみる消えていく暗殺者たち。
溶け残った装備から、スライムがキラリと光る結晶を吸った。
「ぷる……!!(つよくなった)」
「あ、また毒スライムが増えた……!!」
リオが驚愕する。
「カイ、完全に“餌付けされてる”状態だぞこれ……!」
「ぷる(後輩できたから先輩顔)」
(スライムが先輩風……かわいい……)
―――
「さて……下の階層に行きますか」
階段を降りると──
ごうっ……!!
水だ。
完全に沈んでいる。
「も、潜るんですか……?」
「泳げるのか?」
「ぷる(およげる)」
(いやスライムは泳げるでしょうけど!!)
「どうやら……特殊なアイテムが必要みたいですね……」
水面をじっと見つめ、私は考えた。
(水のダンジョン……水属性……竜……)
そして、ふと思いつく。
―――
水面へ向かって叫ぶ。
「ドラゴンさーーーん!! いますかーーー!!?」
「いや来るわけ──」
「は〜〜い♡」
「来たーーー!!!?」
光が走り、私とリオとスライムが一瞬で転移させられた。
―――
「いらっしゃぁい♡ あらぁ、綺麗な子ねぇ?」
現れたのは──煌めく青い鱗をまとった水龍のお姉さんだった。
「綺麗な子は好きよ? これ、あげる♡」
水龍はスライムに、水晶のような鱗片を一枚トンっと落とした。
スライムはそれを吸収し──
ぴかーーーん!!!
「ぷるるるっ!?!?!?」
スライムの体が透き通るクリスタルに!!
カチカチ!!
でも──
「ぷにっ」
触ると元に戻る。
(よかった……! スライムのぷにぷにが失われなくて……!)
水龍はにこにこして言った。
「さ、泳ぎの必要はないわよ。水の中も息できるようにしてあげる♡」
「え、そんな簡単に……?」
「竜だもの♡」
リオがぼそっと言う。
「……水龍、お前の知り合いのドラゴンより愛想がいいな」
「ほっほ♡」
(たしかに……)
―――
水龍の力で、私たちは水没階層も自由に動けるようになり、スライムはさらに進化し、暗殺者はいなくなり……
「さて、戻りましょうか!」
「戦争商会連盟との決戦が近いな」
「ぷるっ!(いくぞー)」




