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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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38/43

連邦議会の阿鼻叫喚と、“将軍”との商談

連邦の街の空気がざわついていた。


「カイ捕獲命令が出たらしいぞ!!」

「商売で国が揺れたのは初めてらしい!!」

「むしろ国が揺れるほどの商売って何したんだあの少年!!?」


(ええ……ただ商売しただけなんですけど……)


リオがぼそっと漏らす。


「カイ、お前の“ただ”は世界基準では“革命”なんだぞ」


「そうなんですかねぇ……」


「ぷる(そう)」


―――


その頃、連邦議会では──


「何だあの商人は!!?」

「帝国を立て直しただけでなく、連邦まで立て直し始めているぞ!!」

「我々の商売(戦争)が全部潰れとる!!」

「税収が落ちている!!」

「民が笑っている!? あれは不穏だ!!」


「いや不穏じゃないだろ!?」


議長席がガンガン叩かれ続ける。


「静粛にっ!!」


「静粛にしたいのはこっちだぁぁぁぁ!!」


「連邦は今、戦争で儲けるべき時期に!!」


「その“戦争”そのものが、カイとかいう子どもによって消えかけておるわ!!」


議場が阿鼻叫喚になる中、控えめに手を上げる議員がいた。


「……あの……質問よろしいでしょうか……?」


「なんだ!!?」


「この国、今までどうやって経済回してたんです?」


沈黙。


「は?」


「戦争商会連盟が儲かれば国が儲かる……のか?」


「……いや、儲からんだろ普通……?」


「国民が貧困で餓死寸前なんですが……?」


「戦争する余裕どころじゃないんですが……?」


議会が一瞬、現実を見た。


そして次の瞬間。


「……カイを捕まえろぉぉぉぉ!!!」

「国民が豊かになれば我々の存在意義がなくなる!!」

「全軍出動を要請!!」


(うわ、逆方向に行った……)


―――


私はというと、近い未来に会わなければならない人物を知っていた。


「カイ。連邦軍の将軍から招待状だ」


リオが封書を差し出す。


「え、招待?」


「これ、実質“出頭命令”だがな」


「ぷる(こわい)」


封を開けると──


『商談がしたい。来い。

連邦軍第一将軍:グラド・ヴァルガス』


(商談!?)


商人として無視できなかった。


―――


巨大な鉄門。

鋭い槍を持つ兵士たち。

空気は重く、緊張感が漂っている。


「こ、怖いですね……」

「お前はもっと危険な皇帝とドラゴンと国を相手にしてただろう」

「ぷる(だいじょうぶ)」


案内された部屋の扉が“ギィ……”と開き、中にいたのは──


黒髪で屈強な巨漢の男。

鎧は使い込まれ、眼光は鋭いが……どこか誠実。


「……お前がカイか」


「はい!」


「もっと化物じみた商人かと思ったが……子どもだな」


「よく言われます」


「ぷる(ちっちゃい)」


「帝国を立て直し、連邦で奴隷を商人として働かせ、貧困地帯を復興し、戦争商会連盟の商売を潰したと聞く」


「それは……結果的に、ですね!」


男は腕を組む。


「敵に回すには惜しい。だが味方につけるには怖すぎる」


(ですよね……)


しかし次の言葉が意外だった。


「──だから、話がしたい」


「え?」


「私は戦争をしたいんじゃない。“国を守りたいだけだ”」


(……この人、まともだ!)


―――


「単刀直入に言う。連邦は戦争をする余裕がない」


「ですよね」


「だが議会が暴走している。奴らは“戦争が利益”と信じて疑わん」


「(どこも同じパターンだ……)」


将軍は机に地図を広げた。


「国境、供給線、補給路……全部崩壊寸前だ。これで戦争など始めれば、勝つ前に国が死ぬ」


「……私、連邦を救いたいんです」


将軍が目を見開く。


「なぜだ? 帝国の商人なのだろう?」


「私は“世界の商人”ですから」


「ぷるっ!」


リオが隣で肩をすくめた。


「こういう奴なんだよ」


将軍は深いため息をつき、だがどこか楽しそうに笑った。


「……気に入ったぞ、カイ」


「えっ」


「私は軍人だ。だが“国を守るには戦わない道も必要だ”と思っている」


「はい!」


「お前となら、それができる。そう確信した」


(なんか、すごい勢いで懐かれた!?)


「これから議会が暴れようと──私はお前の味方だ。連邦軍第一将軍グラド・ヴァルガスとして、な」


「ありがとうございます!!」


「ぷる!(なかま!)」


―――


その頃、議会は最悪の決断を下していた。


「将軍がカイと会っている!? まずい!!」

「軍が味方についたら我らの戦争ビジネスが終わる!」

「カイ抹殺部隊を動かせ!!」

「戦争商会連盟も動くぞ!!」


―――


(うわぁ……動いた)


リオが苦い顔をした。


「カイ、覚悟しろ。これからひと波乱来るぞ」


「ですよね……」


「ぷる!(がんばろ!)」

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