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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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37/43

革命前夜──奴隷たちが“商人”になる日

連邦の貧困区での商売は順調だったが、黒幕=戦争商会連盟の動きを知ったことで、私は悟っていた。


「……これは、革命が必要です」


「また言ったな、カイ」


リオが苦笑する。


「だって、帝国で学びましたから。“搾取される構造を壊さない限り、人は救われない”って」


「ぷる(かっこいい)」


私は胸に手をあてて、小さく息を吸った。


「そして今回は……被害がもっと広い。だから、“味方”を増やさないと」


―――


綺麗ではない通りの奥、簡素な柵の向こうに人々が集められていた。


「ここが……連邦の奴隷市場か」


「カイ、無理はするな。ここは帝国と違い、法律も慣習も荒れている」


「大丈夫です。ここで出会うのは、“革命の仲間”です」


私は準備してきた金貨袋を取り出した。


買うのは“人”ではない。

救うのは“力”でもない。“未来”だ。


―――


一日で、青年、女性、老人、魔族混じり、様々な境遇の人たちを数十人ほど購入した。


普通なら“所有”するということになる。

だが私は違う。


「今日から、みなさんは“働いて給金を得る人”です」


「に、人間扱い……?」

「殴られない……?」

「働けば……食事が……?」


私は笑って答えた。


「働いたら食べられる。休んでも怒られません。怪我をしたらポーションで治す。──それが当たり前です」


「ぷるっ(あたりまえ)」


―――


カイ式・商人育成講座!


「まずは皆さんを商人として教育します!」


・計算の仕方

・商品の見分け方

・仕入れと売値の関係

・客の扱い

・危険時の撤退方法


そして──


「緊急時は、商品に手を出してください。ポーション、薬草、食料。命を守る方が大切です」


「わ、私たちが商品に……?」


「命を守るためのものですから!」


さらに私は書面を見せた。


“所有権はカイ名義(仮)”


「あなたたちの身分を守るために、一時的にカイ名義で登録します。ただし“命令権は自分を守る時だけ使ってください”。商売の判断はみなさん自身に任せます」


「……こんな奴隷主、聞いたことがない……」

「いやもうこれ、主じゃないじゃろ……?」


リオがぼそりと言う。


「カイ、お前のこういうところが好きだが、革命の匂いしかしないぞ」


「えへへ……」


―――


「皆さんには、各地に散って“緑地化”と“商売”をお願いします!」


「緑地化……?」

「ポーション農法です!」

「ぽ、ポーションを……撒く……?」


驚きながらも、みんなの顔に希望が灯っていくのが見えた。


「では、各地へ!」


リオがルートを割り振り、スライムがぷるぷると激励して送り出す。


―――


数日後。


「カイ様! 戻りました!」


「みなさん! おかえりなさい!」


彼らは誇らしげに胸を張った。


「村が……緑になりました!」

「畑が復活しました!」

「子どもたちが笑うようになりまして……!」


(おお……革命、始まった……!) 


「では次の仕事です!」


私は鍬や種、簡易道具を配った。


「ここでも農業をやってください!」


「は、はい!!」


こうして、

農業 → 生産 → 加工 → 販売

の循環が連邦に広がっていく。


―――


「最近、食べ物が安くなってきた」

「ポーションが手に入るぞ!」

「道が改善され始めた!」

「帝国より暮らしやすいぞ!!」


(あ、革命の火種に火が付いちゃった……)


リオが頭を抱えた。


「カイ……もう半分以上革命してるぞ」


「してませんって! ただ商売しただけです!」


「ぷる(してる)」


―――


だが、当然これだけの変革は隠せない。


「報告です! “奴隷たちが商売を広げている”と連邦議会で問題に!」


「戦争商会連盟が焦り始めています!」


「彼ら、商品が売れなくなって大損してるそうです!」


「武器も食料も売れず、不満が高まっています!」


(……それは私のせいですね)


「そして──」


使いの者が震えた。


「連邦から“カイ捕獲命令”が出ました!!」


「げぇ!?!?」


「またややこしいことになったな」


「ぷる(にげよ?)」

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