帝国と王国の同盟、そして戦火の兆し
帝国再建ファンドが動き出してすぐ。
「カイ」
「はい?」
リオが私の額を指で“コツ、コツ”と叩いた。
「いつの間に“帝国まるごと商会”にしたんだ?」
「え? あ、えへへ……」
「笑ってごまかすな」
「ぷるっ(知ってた)」
(だって、気づいたらそうなってたんだもん……)
―――
「ということで、帝国の問題は一段落しました!」
魔動通信球を使って王国のレイヴァンに報告すると──
『……は? 帝国を改革した???』
「はい! “商会として”!」
『もはや何も言うまい……』
(レイヴァンさん、声が少し震えてる)
「レイヴァンさん。帝国と王国を繋ぐために、“交易路改修ファンド”を立ち上げたいんです!」
『……それは良いな。即承諾する。』
「ラインハルトさんもお願いします!」
「無論だ。帝国は王国と協力する必要がある」
『……帝国の皇帝が自分の意思で話している……? 本当に改革したのだな……』
(レイヴァンさん、それまだ信じてなかったんですか)
こうして──
王国 × 帝国の正式な交易同盟
が成立した。
―――
しかし、その時、帝国と王国が手を取り合ったという噂は、とある国を動かしてしまった。
「カイ殿!!大変です!!」
善意商会の使いが飛び込んできた。
「隣国・連邦が──帝国に宣戦布告しました!!」
「えっ!!?」
「歴史的に一部が帝国に支配されていたため、“大義名分は十分”と主張しているとのこと……!」
ラインハルトが歯を食いしばった。
「……愚か者め。帝国が弱っていたからこそ牙を剥くのだ」
「王国と同盟を結んだと聞き、今なら勝てると判断したようです!」
「ぷるっ(こわい)」
(戦争なんて……放っておけない)
「行きます」
「カイ?」
「カイ殿!?」
「連邦へ向かいます。戦争を“商人として”止めに行きます」
リオは深く頷いた。
「……そう言うと思った。俺も同行する」
「ありがとう、リオ」
「カイ殿!! 私も行く!」
「儂も行くぞ小僧!! 戦じゃ戦じゃ!!」
「ダメです!!!!」
私は全力で止めた。
「お二方には帝国を守ってもらわないと困るんです!!! 今行ったら、帝国が“本当に無人の国”になりますから!!」
「む……!」
「むぅ……!」
「ぷるっ(のこって)」
ラインハルトとドラゴンはしぶしぶ頷いた。
「……カイ殿の頼みなら致し方ない」
「儂は宝を守らねばならんしのぅ……」
(理由そこなんだ……)
―――
「リオ、スライム、行きましょう!」
「おう」
「ぷるっ!」
こうして──
カイ一行は“戦争を止めるための行商”に出る。
連邦は帝国を飲み込もうとしている。
騒動は大陸全土に広がる予兆を見せていた。
だがカイは──
武力ではなく、商人の知恵で戦争を止める方法を知っていた。




