表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/43

皇帝、庶民の現場へ。帝国再建ファンド始動!

“元”皇帝ラインハルトは、生活支援商会の制服──と言ってもただの白シャツと黒ズボン──に袖を通していた。


「……これが……私の新しい装いか……」


「似合ってますよ!」


「ぷるっ(いいね)」


褒められたはずなのに、ラインハルトの顔はどこか微妙だった。


「しかし……私は本当にこれで良いのだろうか。帝国の頂点から商会の一員とは……」


「頂点が動いてなかったんだから、動ける場所に移っただけですよ」


私が笑うと、ラインハルトは少しだけ肩の力を抜いた。


―――


「ではラインハルトさん。今日は庶民の仕事、見ていきましょう!」


「さん付け……まだ慣れぬ……」


「慣れてください」


「ぷるっ」


まずは市場。


「お、お前……皇……いや、ラインハルトさん!?!?」


「驚かせてしまったならすまない」


「え!? なんで普通に謝るんですか!?」


「私は今、商会の一員だからな」


(……あ。この人、もう馴染み始めてる)


ラインハルトは市場の売値を見て回り、購入履歴を確認し、農民や商人から話を聞き──


「この“運搬費”が高騰の元か……」

「加工賃が取られすぎている……」

「この地区は需要に対して供給が少なすぎるな」


仕事が速い。


「……元皇帝、めっちゃ有能なんですが?」


「当然だ。私を誰だと思っている」


(さっきまで落ち込んでたのに強気になった……)


―――


次は不毛地帯。


「ここはポーションを撒けば緑地化できます!」


「本当にそんなことで……?」


スライムがぷるりと前に出て、小瓶を振って液体を撒いた。


ぱぁぁあ……!


草が生えた。


「…………」


ラインハルトの口が半開きになった。


「これは……国の根本を変える技術ではないか……!」


「そうですよ。だから再建できます!」


「ぷるっ(どや)」


―――


兵士たちは驚愕していた。


「りょ、料理を配りに皇……ラインハルトさん……!?」


「皆、よく働いてくれている。今日はカイが作ったスープだ。食べるといい」


「は、ははぁぁ!!」


兵士の一人が小声で言った。


「……なんか、前より優しくなってねぇか?」


(うん、多分ね)


―――


夜、焚き火のそばでラインハルトが呟いた。


「……私は……何を見ていたのだろうな。民の暮らしを知らず、それで国の頂点とは……」


「今日から知ればいいんですよ」


「お前という奴は……」


ラインハルトは、少しだけ笑った。


「ではラインハルトさん。あなたの新しい仕事です!」


「新しい……?」


私は帳簿を取り出した。

そこには大きく書いてある。


《帝国再建ファンド》


「これは──帝国を“再建するためのファンド”です」


「……ファンドで国を……?」


「はい!」


―――


帝国再建ファンドの内容


① 各地の緑地化支援

・ポーション農法・薬草栽培

・荒地の再生

・水路整備


② 運搬・通信インフラの回復

・冒険者護衛ギルドの拡張

・道路復興ファンドも併用


③ 兵士と役人の再教育

・生活支援知識

・適正価格セミナー

・“税の透明化”講習


④ 国民の生活基盤安定

・食料ファンド

・災害・魔物保険

・村ごとの投資循環モデル


「これ……国じゃないか……?」


「ええ、国ですよ」


「商会なのに国を……?」


「商会だからできます!」


「ぷるっ(はい、天才)」


ラインハルトは震える手で書類を掴んだ。


「……カイ。お前は商人ではない。国の救済者だ」


「いや、商人ですよ?」


「……商人が国を救えるはずが──」


「救えますって」


「ぷるっ」


「ではあなたには

“帝国再建部門・最高責任者”

をお願いします!」


「最高責任者……?」


「いわば帝国の“再建皇帝”です」


「それ……名前違うだけで皇帝では……?」


「給料安いですよ?」


「ぐっ……!!」


(なんでそこで苦しむんだ)


―――


こうして──


生活支援商会 × 元皇帝ラインハルト × カイ


という前代未聞の組織が誕生した。


ドラゴンは金貨を磨きながら笑っていた。


「ふむ……これなら、帝国も変わろうて」


リオは呆れながらも言う。


「……カイ。本気で帝国丸ごと商会にするつもりか?」


「え? もう半分くらい商会ですよ?」


「ぷるっ(はじまったね)」


帝国は、今まさに“新しい国”になろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ