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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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33/43

竜の凱旋と、皇帝買い取り

ドラゴンの背に跨った皇帝。

その後ろに、リオとスライムと私。


「では……行くか」


ドラゴンの巨翼が広がり、帝国の空へ舞い上がった。


(……これ、絶対とんでもないことになりますよね?)


「ぷるっ(たのしい)」


(スライムは楽しそうで何よりです)


―――


最初に降り立ったのは、帝国の荒れた農村。


ドラゴンの影が落ちると──


「ひ……ひえええええええええ!?!?」


「ど、どどどどどドラゴン!!?」


「皇帝陛下ぁぁぁぁ!?!?!?」


村民の顔から血の気が引いた。


「安心せよ。今日から帝国は正常化する」


皇帝が宣言すると、さらに白くなる村民たち。


ドラゴンは律儀に手(翼?)を振った。


「本日より、帝国内の商いは適正価格での販売を義務化とする」


「ぎ、義務化!?!?!?」


「破った場合は──」


皇帝がチラッとドラゴンを見る。


「ドラゴンが取り立てる」


「やりすぎぃ!!!」


「ぷるっ(こわいけどすっきり)」


皇帝は次々と兵士を指名した。


「そこの者、そなたも同行せよ」


「はっ!?」


「そちらの役人もだ」


「わ、私も!?」


「民の現場を見ずして国は治せぬ」


村から町へ、町から都市へ。

皇帝の凱旋にドラゴンがつき、全国の人々が蒼白になりながらも、どこかほっとした顔をしていた。


(あぁ……この人、“悪い皇帝”じゃなかったんだな)


リオも同じく呟いた。


「これで帝国は変わるだろう」


―――


そして、城。


ドラゴンは城壁をまたぎ、どっかりと王の中庭に着地した。


「帰ったぞ」


皇帝の一言で兵たちが全力で土下座した。


「へ、陛下ぁぁぁあ!?!? ご無事で!!?」


「無事ではない。国が腐っておる」


「ひえっ……!」


「これが、帝国の黒い象徴か」


ドラゴンは大広間に飾られた、豪奢な帝国旗を見つめると──


ボォォォォォォ!!!


「燃やすなぁぁぁぁあ!!!?」


「え、やりすぎですってば!!」


「お主、これくらいせんとわからんじゃろ」


「ぷるっ(芸術点高い)」


皇帝は振り返り、連れてきた兵士たちに告げた。


「──これより、帝国中の貴族・役人・家臣を全て捕縛せよ」


「す、全て!?!?」


「善意商会と繋がる者のみ、後で解放する」


(ガチだ……これ完全に革命だ……!!)


捕えられた者たちが大広間に集められた。


「何をするつもりだ皇帝!」

「わしらは忠臣──」

「黙れ」


皇帝が手を上げた、その瞬間。


「では、ドラゴン」


「うむ」


ゴォォォォォォォォォ!!!


灼熱の光が走り、大広間は一瞬で静寂に包まれた。


「…………」


燃え残ったのは善意商会とつながっていた数名だけ。


(えぇ……やった……本当にやった……)


私は城の外で座り込んだ。


「リオ……見ました?」


「ああ。カイ、お前は色々と常識を壊すが……今回のは桁外れだったな」


「ぷる(あつい)」


「私がやったわけじゃないです!!!」


―――


「さて小僧。仕事したぞ」


「……あっ」


ドラゴンが手(爪?)を差し出す。


「金貨一万枚、追加じゃ」


「はい」


私は即座に十万枚の金貨を渡した。


「太っっっ!!? ぶっといぞ小僧っ!!!」


―――


「ではもう一つ」


ドラゴンの目が細くなる。


「“革命で皇帝の身分を失った男”を、どう扱うつもりじゃ?」


私は迷わず言った。


「買い取ります」


「…………はい?」


皇帝が固まった。


「買い取った上で──」


私はにっこり笑った。


「生活支援商会の“皇帝担当”として雇用します」


「……っ!!??」


リオが顔を覆った。


「カイ、言い方……!」


「ぷるっ(ざんしん)」


周囲の商人、冒険者、善意商会のメンバーたちもにやり、と笑った。


「逃げられませんよ、皇帝様」

「まぁ、これから働いてもらうしな」

「むしろ安心して任せられる」


皇帝は顔を赤くして固まった。


「……私は……帝国の頂点だったのだが……」


「はい。今日から“商会の社員”です!」


「ぷるぅ!(仲間)」


こうして──帝国皇帝は正式に解雇され、カイにより“買い取り雇用”された。


革命後の帝国は、ここから本当に変わり始める。

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