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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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32/43

竜の怒りと、七色の真実

私たちは転移陣を使い、ドン、と100階層に降り立った。


そこには、巨大な金色のドラゴンが寝そべっていた。


「ふぁ……また来たか、小僧──」

と目を細めた、その瞬間。


皇帝の姿が視界に入り。


「……はぁ?」


ドラゴンの眉間に、深いしわが刻まれた。


「おい小僧」


「はい」


「なぜ“あれ”を連れてきた」


ドラゴンの視線が皇帝を刺す。


「“国の腐敗の元凶”じゃろうが!!!」


ドォンと地響き。

皇帝はひるまなかったが、リオは即座に剣に手をかけた。


「皇帝よ。儂の宝を奪おうとした阿呆どもの頂点に立つ者が、何をしに来た?」


「……それを正しに来た」


「黙れい!!! 帝国の税は異常じゃ! おかげで儂の宝の価値も乱れたわい!! 儂は怒っておる!!!」


「うわぁ……怒りの理由そこなんだ……」


「ぷるっ(まあそうなる)」


「ドラゴンさん、落ち着いてください。皇帝は“悪い家臣に利用されていただけ”なんです」


「ほほう? 証拠は?」


「こちら、善意商会の帳簿です!」


リオが持ち帰った資料を広げる。


・税の引き上げは家臣の独断

・帝国経済は皇帝を無視して勝手に動いていた

・皇帝が外を歩いても誰も気づかないほど腐敗が進んでいる


「つまりですね──」


私は言った。


「皇帝は“腐敗の被害者”側なんです」


「……被害者?」


「被害者です。むしろ国を救おうとして裏で動いていたのは皇帝本人! それを証明するために、わざわざ庶民の前に姿を見せたんです」


「ふむ……」


「つまり、皇帝も“あなたと同じ”ですよ。価値を守ろうとしたのに、周りが勝手に乱したんです」


「……!!」


ドラゴンの目が見開かれた。


「それは困るのぅ!!」


「ですよね!!」


「ぷるっ(分かってる)」


どうやらドラゴンの“価値観”に刺さったらしい。

ドラゴンは鼻を鳴らすとようやく怒りを収めた。


「では……皇帝よ」


「なんでしょう」


「お前の価値はどれほどじゃ?」


リオがギョッとした。


「皇帝の価値……?」


「国とは“価値”の集合じゃ。その頂点に立つ者は、当然値段がある」


「値段つけるのか……」


皇帝は静かに目を閉じ答えた。


「私は国民を守れなかった。民は飢え、商人は搾取され、兵は腐敗し……帝国は崩壊寸前だ。私に価値など──」


「ある!!!!」


私が思わず叫んだ。


「皇帝が善意商会を作ったからこそ、帝国に“適正価格”が残ったんです! あなたの行動が、命を救ってるんですよ!」


皇帝は息を呑んだ。


ドラゴンは満足げに頷いた。


「うむ。他者に価値を見出される者は、すでに強き者じゃ」


そして、重い口を開いた。


「カイよ。儂の視点から言えば──帝国は“外から呑まれる”寸前じゃ」


「外……?」


「家臣の暴走だけではない。この大陸の“魔力の流れ”が乱れておる。コアが脈動し、魔物が異常進化を始めておる」


「……!」


「帝国は腐敗、魔物は暴れ、このままでは“大陸の崩壊”すらありえる」


(やっぱり、そんなレベルの話……)


―――


「ところで小僧。その七色の瓶、なんじゃ?」


「あ、これですか?」


私はエリクサーを見せた。


「ぷるっ!(自慢)」

「スライムの力で作りました!」


「ほぉ……」


ドラゴンが目を細める。


「その光……“古竜の癒し”に似ておるな」


「え!?」


「スライムよ。お主、儂の爪の垢で進化したじゃろう」


「ぷるっ(うん)」


「その毒と癒しが合わされば──万能薬が生まれて当然じゃ」


「と、当然……?」


「むしろ“小僧、よく混ぜたな”と言いたいわい」


(スライム……お前、どこまで伸びるの……?)


―――


「では、皇帝よ」


ドラゴンは巨大な翼を広げた。


「協力してやらんこともない。ただし──」


「価値を守る。それが条件じゃ」


皇帝は深く頭を下げた。


「……必ず」


「ではまずは金貨一万枚じゃな!」


「あ、ここに十万持ってきました!!」


「太っっっ!!? 小僧、何者じゃ!!」


「商人です!!」


「ぷるっ(最強の商人)」


こうして──

ドラゴン × 皇帝 × カイ

という、とんでもない同盟が成立した。


大陸は今、大きく動き始める。

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