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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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31/43

皇帝の正体と、暴走する帝国

黒鎧の男はエリクサーの光をじっと見つめていた。


「……カイ殿。私が誰か、もう気づいているのだろう?」


「えっと……だいたい」


(というか、“皇帝”以外にいない)


カイはじっと男の顔をみた。


端正で整った、しかし疲れ切った顔。

その瞳は、帝国全土を背負った者の重さに沈んでいた。


「改めて名乗ろう。──私こそ、帝国皇帝、ラインハルト・エスローグだ」


「やっぱり!!?」


「ぷるっ(知ってた)」


冒険者たちが一斉に土下座した。

私は確信した。

“善意商会トップ”=“皇帝”だったと。


―――


「カイ殿。善意商会が何をしているか、知る必要がある」


皇帝は静かに語り始めた。


「善意商会は、他国で適正に仕入れ、帝国で適正に売る。ただそれだけの組織だ」


「普通の商会じゃないですか?」


「そう。だが帝国において“それ”が異常なのだ」


(ああ……なるほど……)


皇帝は苦い笑みを浮かべた。


「帝国には、税を引き上げ“独占的に利益を貪る家臣”が多い。彼らは裏で繋がり、帝国を実質的に支配している。私は彼らの反乱を恐れ、何もできなかった」


「……皇帝なのに?」


「皇帝だからこそ、何もできなかったのだ」


皇帝の声は震えていた。


「税の値上げも、商品の独占も、全て“家臣の独断”。私はそれを止められなかった。──経済は、私を無視して勝手に動いていたのだ」


冒険者も、私も、リオさえも沈黙した。


「そう。それを証明するために、私はここに来た。“皇帝がここに居ても帝国は回る”と示すために」


(つまり……本気で国を立て直したい人なんだ……)


「カイ。善意商会の内部も見てきたが……すごいぞ」


「どうすごいんです?」


「“搾取を嫌う商人たち”の集合体だ。帝国の腐敗に耐えきれず、適正価格販売を始めた者たちの秘密組織だった」


「やっぱり!」


「各国から仕入れ、帝国で救済価格で売る。見返りは少ないが人々に感謝される。そして……皇帝自身がそれを支えていた」


皇帝は恥ずかしそうに視線を逸らした。


「せめて民の命だけは守りたかった。だから善意商会は私にとって“最後の希望”だったのだ」


(帝国改革……皇帝……国家……強敵……あれ……? ドラゴン……雇えるんだった……)


「皇帝陛下」


「なんだ、カイ殿」


「ドラゴンを雇いませんか?」


「……はい?」


リオが頭を抱える。


「カイ……もう少しオブラートというものを……」


「いえ、むしろストレートに言わないと伝わらないので!」


「ぷるっ(天才か無謀かどっちか)」


「実はドラゴンが“金貨一万枚で協力する”と言ってまして」


「一万……? いや安すぎるのでは……?」


(皇帝の価値観がドラゴン寄りだ……)


「というわけで、まず十万。前金として持って行きましょう!」


「何故十万なんだ……?」


「“信頼を買う値段”です」


皇帝は少し黙り──ふっと笑った。


「面白い。そういう商人が帝国には必要だったのかもしれない」


リオはため息をつきながら言う。


「……よし。行くぞ、カイ。皇帝を連れてドラゴンのところに行くなんて、前代未聞どころじゃないがな」


「ぷるっ!」


私たちは揃って転移陣に立った。


皇帝

リオ

スライム

そして私。


目的はただひとつ。

帝国再建のために、ドラゴンを味方につけること。


「では──行きましょう。100階層へ!」


光が包み、視界が揺れる。


こうして、帝国の運命を背負った4人は、最深部へと向かった。

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