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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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30/43

エリクサー価格会議と、“あの人”の来訪

七色に輝くエリクサー。

その存在は数分で冒険者たちの間に広まり──


史上最も混沌とした“価格会議”が始まった。


「まずは冷静に! みんな座ってください!」


「座ってられるか! エリクサーだぞ!? 伝説だぞ!?」


「いや、でも適正価格って言うなら……銅貨一枚でいいんじゃね?」


「殺す気か貴様!!」


「ぷるっ(こわっ)」


「帝国の闇市なら金貨百はくだらん!!」


「いや王国に流せば城が買える!!」


「いやいやいや、エリクサーなんて存在しなかったんだから適正価格は“0”だろ!?」


「じゃあ俺がただで貰う!!」


「貴様ーーーー!!」


「ぷるるる!!(けんかだめ)」


会議はもはや議論ではなかった。


私は机を叩いた。


「ちょ、ちょっと落ち着いてください!! まず“庶民でも買える値段”を考えないと──」


「庶民がエリクサー買う世界線どこにあるんだよ!!?」


(正論すぎて何も言い返せない)


「じゃあ金貨三枚! 冒険者用として!」


「いや安すぎるだろ!!」


「じゃあ五十枚!!」


「いや殺す気か!!」


「いっそ入札制にしようぜ!!」


「庶民死ぬわ!!」


(はぁ……まとまらない……)


ドォン……ドォン……。


「……ん?」


「なんだこの重圧……?」


「ぷる……(こわい)」


入口に影が立った。


黒い全身鎧。

圧倒的な体格。

整った顔立ち。

そして“帝国の血”を感じさせる威厳。


「……っ!!」


冒険者たちが一斉に静まり返る。


「おぉ……あの人じゃねぇか……」

「なんでここに……?」

「本物……だ……」


(いや、“あの人”って……確定じゃん……絶対帝国のトップじゃん……!)


男はゆっくりと歩み寄ると、七色の小瓶を見つめた。


「それが……エリクサーか」


声は静かで低い。

それだけで全員がひれ伏しそうな威圧がある。


そして──


「……その小瓶。私が買おう」


「え、えっと……適正価格がまだ決まってなくて──」


「では──」


男は金貨袋を置いた。


「金貨三十万枚で買おう。」


「「「三十万!!??」」」


「ぷるぁっ!?!?」


(適正価格の概念を木っ端微塵にする金額きた……!!)


「カイ……お前、何やらかしたんだ……?」


「リオ!?」


善意商会から戻ったリオは疲れ顔。


「“あの人”が来るから覚悟しておけ、って言われたが……もう来てるじゃないか……」


「ぷるっ(ね? きちゃった)」


私は黒鎧の男を見つめた。


(この圧……この威厳……もう間違いない)


この男こそ──帝国の“善意商会トップ”、そして……


―――


冒険者たちは固まり、

リオは頭を抱え、

スライムはぷるぷる震え、

私は冷や汗を流していた。


黒鎧の男はただ静かに言う。


「カイ殿──私は君と話がしたい」


(うわぁ……やっぱりこの人……帝国の中枢そのものじゃん……!!)


こうして──


エリクサーの価格会議は、“帝国のトップの乱入により秒で終結”した。

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