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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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26/43

百階層の竜と、商人の交渉術

翌朝。


「ん〜……よく寝た……」

「……カイ、揺れてないか?」

「揺れて……え?」


次の瞬間。


ズドォォォォォン!!!


「あああああああぁぁぁあ!?!?」


拠点ごと床が抜け、私とリオは叫びながら闇へ落ちていった。


そして着地した場所は──


―――


どっっっっっっっっっかーーーん!!!


「がはっ!?!?」

「ぐっ……!」


衝撃で吹き飛んだ視界の先に、巨大な影がゆっくりと振り返った。


「……ん? 何じゃ?」


そこには、金色の瞳を持つ巨大なドラゴン。


そして──


「ぷるるるるるるるるっ!?!?」


スライムがドラゴンの背に張り付いていた。


「スライムーーーーー!!??」


ドラゴンは爪でスライムをつまみあげた。


「ほぅ……毒スライムか。しかも麻痺毒も使えるとは珍しいのぅ」


ドラゴンは興味津々でスライムを眺めると、自分の爪の垢をちょん、と与えた。


「ぷるっ……?」


スライムが震え、光を放つ。


「スライムーーーー!?!?」


「大丈夫じゃ。スライムに回復性能が付いただけじゃよ」


「ぷるっ!!(きらーん)」


(え、スライムって回復までできるの……? なんか万能生物になってない?)


ドラゴンはさらに言う。


「お主らも爪の垢、いるか?」


「い、いらないです!」


「そうか。残念じゃの」


(そんなノリでドラゴンの爪の垢を渡さないでほしい)


「最近は商人も国もケチでのぅ……昔は儂が国を護っておったが、もう頼まれてもやらんわい」


「そんなことが……?」


「儂の宝を狙ってくるし、税まで取ろうとしてきよる」


(ドラゴンに税を取ろうとした国、頭おかしくない?)


私はスライムを無事に返してくれたお礼に、金貨を数枚差し出した。


「これ……お礼です」


「おぉ!? 金貨とは嬉しいのぅ! お主、話が分かるわい!」


(……ドラゴンって案外、商人向けの生き物なのでは?)


「……あれ? ドラゴンさん、国とは仲が悪いんですよね?」


「悪いのぅ。頼まれても守りとうない」


「じゃあ……内乱とか、帝国との戦いとか。もし国のために戦ってくれるなら……いくらぐらい払ったら動いてくれます?」


「カイ!?!?」


「ぷるっ!?!?」


ドラゴンは、数秒黙った後──


大爆笑した。


「ほっほっほっ!! 人間で儂にそんな交渉を挑む者は初めてじゃわ!! よかろう! 今の国を相手にするなら──金貨1万枚じゃ!!」


「分かりました。集めます」


「カイ!?!?!?」


「ぷるっ!?!?!?」


リオが頭を抱えた。


「本気か……?」


「はい! だって、ドラゴン雇えるんですよ? むしろ安いくらいじゃないですか?」


(言ってる自分でも何を言ってるのか分からない)


ドラゴンは涙を流して笑いながら言った。


「面白い奴よ、お主! では特別に、ここへの転移魔法を教えてやろう」


「ありがとうございます!」


(これで、いつでも100階層に来られる……! いや、それ本当に大丈夫なのかな……?)


「では儂は寝る。宝には触れるでないぞ」


「はい!」


「ぷるっ(ぺこり)」


こうして──


帝国ダンジョン最深部のドラゴンと“友好関係”を築いた。


カイの脳内ではすでに計算が回っていた。


(王国・帝国の崩壊回避→改革ファンド→そして最終戦力としてドラゴン雇用……! これは……勝てる!!!)


リオは隣で小さくため息をついた。


「カイ……とんでもない国際問題を起こす気がするぞ……」


「大丈夫です!商人ですから!」


(何が大丈夫なんだろう……)

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