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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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23/43

帝国への道、忍び寄る影

王都を後にして三日。

街道沿いは緑が少なく、風ばかりが吹き抜ける寂しい土地が続いていた。


「……この道、人気がないですね」


「帝国へ向かう街道は“危険だから”だろうな」


「ぷるっ(退屈)」


スライムはのんきに跳ねていたが、私は落ち着かなかった。


(なんというか……ずっと“何かに見られてる”感じがする……)


リオも周囲を警戒しながら進んでいた。


―――


「止まれ、カイ」


リオの声が低くなった。


その瞬間──


ガサッ!


ガサガサガサッ!


茂みの中から現れたのは、

ボロ布を纏った十数人の男たち。


「へっへっへ……旅人さんよぉ、こんなとこ歩いてどうした?」


典型的な山賊そのものだ。


(あ、本当にいるんだ……ファンタジー世界だ……)


けれど、その中に数名。

妙に整った服装の、一切喋らず動かない男たちがいた。


(……あの人たち、山賊じゃない。目つきが“訓練された者”だ)


「カイ、下がれ。後ろに隠れろ」


「はい!」


「ぷるぷる(戦闘の気配)」


山賊のリーダーが剣を抜き、ニヤリと笑った。


「悪いが、荷物と馬車と……そこの坊主は置いていけ」


「それはできんな」


「なら死ねぇ!!」


刹那、山賊が一斉に襲いかかる。


しかし。


「邪魔だ」


一閃。

リオの剣が光り、山賊が次々に吹き飛んだ。


「ひ、ひぃっ!!」

「こ、こいつ……人間かよ!?」


(リオ、やっぱり強い……!)


残った山賊は恐怖で尻餅をつき、戦意を完全に失った。


しかし──


「……逃げたか」


リオの視線の先。


さっきから動かなかった“整った服装の男たち”が、一瞬の隙に森の奥へ消えていった。


―――


「ちょっと話を聞かせてください!」


私は山賊のひとりを止めた。


「な、なんだよぉ……殺さないでくれ……!」


「あなたたち……誰かに雇われていますか?」


「……っ!!」


「正直に言った方がいいですよ? スライムが……お腹空いてるらしいので」


「ぷるり(にっこり)」


「ひ、ひぃぃ!!言う言う言う!!」


山賊は震えながら話し始めた。


「お、俺たちはただの山賊だけど……あいつらは違う……帝国から来た“密偵”だ!」


「帝国の密偵……!」


「帝国が、王都の騒ぎを聞きつけて……“カイ”って名前のガキを捕まえろって……!」


「……!」


リオが私の前に出る。


「カイを狙う理由は?」


「し、知らねぇよ!! でも“帝国の商会”が言ってた……カイを連れてこい、交渉材料にするって……!」


(やっぱり帝国……! 王都を侵食していた商会……あれの本体が、私を狙ってる……?)


―――


「助けてくれて、ありがとな……!」


「次からは真っ当に働きましょうね?」


「……努力する!」


山賊たちは命からがら逃げ去った。


リオが剣を収め、小さくため息をつく。


「……カイ。帝国は“お前を知っている”ぞ」


「だよねぇ……多分そうだよねぇ……」


「油断するな。奴らは本物の諜報機関だ。山賊なんて比較にもならない相手だ」


「ぷるっ(任せろ)」


「うん、頼りにしてるよスライム」


(でも……逃げても意味がない。帝国の目的を知らない限り、この国全体が危険に晒される)


私は深呼吸した。


「リオ。やっぱり帝国に行くしかないね」


「ああ。密偵も動いているとなれば、なおさらだ。商会と帝国本体。どちらも調べねばならん」


「スライム、準備はOK?」


「ぷるるっ!」


私は拳を握った。


「——行こう。帝国の“核心”を確かめに」


風が吹く。

緑のない大地の向こうに、

帝国の黒い城壁がぼんやりと見えた気がした。


カイ一行の旅は、いよいよ“帝国編”へと突入する。

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