革命の終わりと、帝国への道
王都を揺るがした暴動は──驚くべき速さで幕を下ろした。
「兄上。国民と兵士たちの声を聞きましたか?」
レイヴァンが静かに言い放つ。
第一王子は蒼白な顔で震えていた。
「わ、私は……悪くない……!」
「悪いです。全部です」
そしてレイヴァンは、棒読みで叫んだ。
「カイ様のご命令だーー(棒)」
「ちょっ!? 言ってない言ってない!!」
「兄上の拘束を許可するッ!!(棒)」
兵士たちは一斉に動いた。
「や、やめろ!! 私は王太子だぞ!!」
「もう違うので」
革命、開始。
革命、終了。
(……この王子、演技すらする気ないよね!? なんで棒読みで革命を終わらせるの!?)
リオは横でぼそっと言った。
「逆にすごいな……」
カオスな空気のまま、王都の支配者は静かに交代した。
そしてカイの“やけくそ改革ファンド”が始まる。
「もう、やけくそで発表します!! 改革ファンド、開始!!」
「おぉ……また新しいファンドが……!」
レイヴァンはすでに巻き込まれる気満々で隣に立っていた。
「今回は“土地ファンド”じゃありません! 緑地化に成功した村々から、食料や物資を“定期的に出荷”してもらう仕組みです!」
・余剰食料
・織物
・毛皮
・薬草
それらを王都へ回すことで、王都の生活基盤を安定させる。
「協力してくださるのは──緑地化に成功した村のみなさんと、行商人さんたち!」
「任せろぉぉ!!」
「ワシら、こういうの得意じゃ!!」
(ほんとこの人たちフットワーク軽い……)
「あと、レイヴァンさん。薬草からポーションを作る方法、教えます」
「えっ……本当に? カイ様が……?」
「はい。王都の医療体制を強化するためです」
レイヴァンは目を潤ませていた。
「……必ず、守ります……絶対に外へ漏らしません……!」
「別に漏れてもいいんですけど……」
「秘密にします!!」
(なんでそんな全力で秘密にするの……まぁ、レイヴァンさんが嬉しそうなのでいっか……)
こうして改革ファンドの出荷品に、新たにポーションが加わった。
王都の崩壊は、カイとレイヴァンの手で徐々に抑えられ始めていた。
―――
「さて……次は帝国商会の支店ですね」
「ここが第一王子の散財先だな」
「ぷるっ!」
王都の北区にある店へ向かうと──
「……もぬけの殻ですね」
店の扉は開きっぱなし。
棚は空。
帳簿も痕跡もすべて持ち去られている。
リオが呟く。
「帝国……早いな。証拠隠滅が手慣れている」
「これじゃ王都にいても手がかりは見つからないですね」
レイヴァンも店内を見回して言った。
「帝国商会は、王都に“侵食”というより“実験”をしていたようですね。直接行かない限り、実態は掴めません」
私は深く息を吸った。
(ここまで来たら……やるしかないよね)
「リオ」
「なんだ」
「帝国に行きましょう」
「……やっぱりそう言うと思った」
「ぷるっ(行く気満々)」
私は拳を握った。
「このままじゃ、王都どころか国全体が飲み込まれます。帝国の本拠地に行って、この“経済侵略”の正体を掴みます!」
リオは剣を肩に担ぎ、レイヴァンは微笑んで頷いた。
「必ず戻ってきてください。帰ってきたとき、この国はあなたの力で立っていますから」
「それプレッシャー!!」
こうして、カイ一行はついに決意した。
帝国へ乗り込む、未知の旅路へ。




