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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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帝国の影と、暴動の火種

「……これが第一王子派の帳簿です」


レイヴァンがそっと差し出した帳簿には、見事なまでに“腐敗の線”が書かれていた。


―――


帳簿にはこう書かれていた。


・徴税金貨 → 第一王子の懐へ

・本来の予算 → 第一王子派の貴族が中抜き

・城の修繕費 → 記録のみ

・兵士給与 → 大幅未払い

・ポーション代 → 全額消えている

・そして……


第一王子の支出:

女遊び、最高級酒、宝飾品、調度品……。


「……えぇ……」


めちゃくちゃ引いた声が出た。


リオは額を押さえる。


「こいつ……戦争を起こす気も国を支える気もないのか」


「お兄様は……本気で国を滅ぼそうとしてますね」


さらに帳簿の末尾には、ある店名が。


「全部この店で買っていました」


レイヴァンが指を置いたのは、王都の一角にある小さな店舗名。


しかし調べると──


「隣国、帝国の商会の“支店”ですね……」


「帝国……!」


リオが険しい表情になる。


「帝国は前から、周辺国を商会ごと支配しようとしている。気づいたら“経済”から侵食されている国もある」


「じゃあ……王都も……?」


「すでに半分侵食されてますね」


レイヴァンは淡々と言った。


そして、ぞっとするほど綺麗に微笑んだ。


「だからこそ──密偵を配置していたんです」


(この第二王子……たまに怖い……)


―――


翌朝。


「……レイヴァン様! 報告です!」


「どうぞ」


「国内の主要都市で、“暴動”が発生し始めました!」


「そうですか。予定通りですね」


(予定!?)


リオが訝しげに見つめる。


「レイヴァン……何をした」


「いただいた資金を、各地に“配給”として送りました。食料と生活物資です。お腹が満ちれば、人は声を上げられるようになる」


「……!!」


(暴動の“エネルギー”を配ったってこと!? やだこの王子……頭いい……というか黒い……!)


さらにレイヴァンはさらっと続ける。


「それと、“カイが城に閉じ込められている”と広めました」


「ちょ、待って!? なんでそんなことを……」


「あなたを救ってもらうためです」


(!?)


「現在、暴動に参加している者は──」


・王都に食糧を届けた商人

・辺境でポーションに助けられた人々

・行商人ネットワーク

・王都兵士の中の不満層

・さらには……農民まで


「……え、みんな……?」


「“カイ様が閉じ込められている”と知れば、動きますよ」


レイヴァンは真顔で言った。


「あなた、それだけ信用を集めているんです」


(……いや、集まりすぎでは!?)


リオがため息をつく。


「つまり、旗本とは……」


「“カイを支持する勢力”です」


「そんなつもりは……!」


「でも、もう国中に広がっていますよ。“カイ様が国を救う”と言いながら暴れてます」


「暴れてるの!?」


「暴れてます」


(ちょっと待って!? 私、そんな大きな顔じゃない!!)


私は頭を抱えた。


―――


王都、大混乱へ


・貴族邸へ投石

・徴税所の破壊

・帝国商会支店の包囲

・第一王子に対する抗議の声


「リオ……どうしよう……」


「どうしようもない。これはもう、止まらん」


「ぷるっ……(なんか楽しそう)」


(楽しそうじゃないよスライム!!!)


カイとリオは、ただただ頭を抱える,


「ねぇリオ……私、そこまで大層なことやった覚えないよ……?」


「お前は“世界を救ってきた顔”をしてるからな」


「そんな顔してないよ!!」


「してるぞ」


「ぷるっ」


「スライムも同意しないで!!」


暴動はさらに広がり、王都は今、完全に“カイ支援デモ”状態になっているらしい。


レイヴァンは静かに言った。


「さて……国を救う準備が整いました」


「整ってないよ!? 全然整ってないよ!?」


「大丈夫です。あなたが財政を立て直し、私が国をまとめます」


「もう完全に革命の流れじゃん!!」


レイヴァンは微笑む。


「ええ。革命ですから」


(軽く言ったよこの人……!!)


こうして王都は今、“カイ支持の暴動”という未曾有の騒ぎに包まれ、革命へと転がり始めていた。

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