信用を積み、街をつなぐ
城内の監視を掻い潜り、私とリオとスライムは王都の下見に出かけた。
―――
外に一歩出た途端、空気が重くなる。
・店は半分以上が閉店
・通りには傷だらけの兵士
・物乞いの子ども
・屋台はほぼ壊滅
かつて栄えたであろう大通りも、今はゴミと埃に支配されていた。
「……予想以上ですね」
「王都がこの有様では、税収も落ちるだろうな」
「兵士さんたちもボロボロだ……」
通りの端で、腕に包帯を巻いた兵士が座り込んでいた。
「治療しないんですか?」
「治療費が払えねぇ……ギルドも潰れたし……」
「はい、これ」
私はポーションを渡す。
「ま、待て……こんな高いもん……!」
「銅貨一枚だけください」
「……お、お前……」
兵士の目に涙が浮かんだ。
(まずはここから……流れを作らないと)
―――
城に戻ると、私は馬小屋で腕まくりをした。
「今日の仕事は、ポーション製造です!」
「カイ、また働きすぎになるぞ……」
「大丈夫です! スライム、瓶押さえて!」
「ぷるっ!」
火を焚き、薬草を煎じ、ひたすらポーションを小瓶に詰める。
夜までに、かなりの量ができた。
―――
翌日、商人たちに声をかける。
「ポーション、必要量だけ仕入れてください。ただし、利益はほとんど要りません。私は“信用”が欲しいので!」
「か、カイくん……本当にこんな値段でいいのか!?」
「はい。困ったらまた来てくださいね!」
商人たちは涙ぐみ、口々に「恩は忘れない」と言っていった。
(薄利でもいい。回れば勝ちだ)
―――
「これは……?」
「内部調査に使ってください。王子派の不正の洗い出しをお願いします!」
金貨の袋を渡すと、レイヴァンは目を見開いた。
「カイ様……これは莫大な……」
「“投資”です。回収はあとでいいので!」
「……あなたは、本当に……」
レイヴァンの目に光が宿った。
(この国の未来に投資するんだ)
―――
王都の裏路地“スラム”にも足を運んだ。
ボロボロの服を着た若者がこちらを見る。
「仕事、探してませんか?」
「は……はい……」
「運搬と清掃をお願いします。給金はしっかりお支払いします!」
若者たちの目が輝いた。
「本当に……働けるんですか……?」
「はい! 商業都市と王都を結ぶ“新しい流れ”を作るんです!」
スラムの空気が少しだけ明るくなった。
―――
雇用した人たちには、行商人の街へ行くよう指示した。
「カイの紹介で来ました」と言うと——
「おお、カイくんのところの人か!! なら安く出すよ!!」
商業都市の人々は驚くほど協力的だった。
(やっぱり信用って大事……!)
王都で売れる物資が戻り、仕事が生まれ、少しずつ街の中に“流れ”が戻る。
リオが腕を組んで言う。
「……カイ。お前、本当に外出禁止でここまでやるとはな」
「抜け道、便利ですね!」
「そういう問題ではない……」
スライムは得意げに跳ねた。
「ぷるっ!」
王都の空気は、まだ重い。
しかし確実に、変わり始めている。
次に動くべきは——“王子派の不正”を暴くこと。
そして、いよいよ物語は王都の核心に迫っていく。




