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荒廃世界の少年商人〜剣も魔法も使えないので、値付けと信用で世界を立て直す〜  作者:


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19/43

王宮の檻と、第二王子の帳簿

王都の大門をくぐると、ずらりと兵士が並び、私たちに頭を下げた。


「お待ちしておりました……カイ殿、リオ殿、そして……ス、スライム殿……?」


「ぷるっ!」


なぜかスライムまで丁寧に扱われている。

兵士たちは汗を流しながら道を空けた。


(え……これなんか嫌な出迎えだ……)


案の定、王座の間でその理由がはっきりした。


―――


王座には、顔色の悪い王と王妃、そして一人だけ妙に元気の良い王子がいた。


王子が最初に口を開いた。


「よく来たな、カイ。お前には王都の財政を立て直してもらう」


「…………?」


「もちろん終わるまで外出は禁止だ。逃げれば罪だと思え」


兵士たちがざっ……と取り囲む。


王子は続けた。


「リオンハルト。貴様が隣国の“第一王子”であることも承知している。逃げれば戦争だぞ?」


「……くそっ」


(これ完全に人質じゃん……! むしろ閉じ込め目的でしょ?)


―――


私たちは王城の裏にある馬小屋へ案内された。


「ここで生活しろ。馬車もそこに置け」


「え、馬小屋……?」


「外出は禁止だ。城内は自由に歩けるが……監視はつく」


重い扉が閉められ、鍵の音が響いた。


リオが舌打ちする。


「完全に拘束されたな……」

「ですねぇ……薬草集めにも商売にも出られませんし」


「ここの兵士は容赦ないぞ。無理に出ればスライムごと攻撃される」


「ぷる……」


(うわぁ……前の国よりやばいじゃんここ……)


私たちはしばらく途方に暮れた。


―――


「——失礼する」


馬小屋の扉が叩かれ、ひょいと顔を出した男。

第一王子とは違い、どこか影の薄い、静かな青年。


「初めまして。私、第二王子のレイヴァンと申します」


「第二王子……?」


「兄が失礼をした。あなた方を“財政奴隷”のように扱っていること、謝罪します」


(え、この人……まとも?)


青年は一冊の分厚い帳簿を差し出した。


「これを……見ていただけますか」


帳簿を開くと、出てくる出てくる謎の支出。


・“宮廷娯楽費:金貨500枚”

・“王子個人の武具費:金貨900枚”

・“不明支払い:金貨1200枚”

・“徴税強化のための追加費:金貨200枚”


そして──


収入より支出が“十倍”多い。


「……あの王子……使いすぎでは……?」


「兄は浪費家でしてね。王都が疲弊したのは全て、兄の浪費と側近たちの搾取です。本当はあなたを“救済役”として迎えたんじゃない。“こき使って問題を押し付ける”ためなんです」


「やっぱり〜〜〜!!」


リオが唸る。


「つまり……俺たちは嵌められたわけだ」


「はい。しかし……私は違います」


第二王子レイヴァンは顔を上げた。


「カイ様。どうか一緒に、この王都を立て直していただけませんか?」


「……協力するとしても、城の外に出られないんですよ?」


「それについても……対策があります」


「?」


レイヴァンは周囲を確認し、声を潜めた。


「城の中には“正式でない抜け道”が複数あります。兄も側近も知らない、古い地下道です」


「抜け道……!」


「監視を撒くこともできます。城外に出て、商人と会うことも可能です」


リオの目が鋭く光った。


「……信じていいのか?」


「信じていただけなければ、この国は滅びます。あなた方を閉じ込めた兄こそが、この国の病そのものです」


青年は深々と頭を下げた。


「どうか……この国を、救ってください」


私は静かに頷いた。


「もちろんです。私は商人ですから」


スライムが“ぷるっ”と跳ねた。


そして物語は次のステージへ進む。


城を出られない少年商人。

浪費王子に支配された王都。

そして協力を申し出る第二王子。


これから始まるのは──“王都再生ファンド”だ。

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