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【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


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第671話 彼女の気持ちがほんの少しだけ理解できた

「さて、落ち着きました。では、各々必要なアイテムをとっていってください」


 といっても、どれが誰のアイテムを想定しているんだろう。

 輪っかに箱に杯に耳飾り……。あ、あのへんはわかりそうだ。


「この糸を巻く道具はラプティキさんで、こっちの槍はディキティスかな?」


「そうですね。星糸の紡錘と覇軍の号槍です。二人とも~。取りに来ていいですよ~」


「あ、ありがとうございます」


「感謝いたします。魔王様」


 残りの八個は他の十魔将か。

 途中で消耗品を引いたのはさすがフィオナ様という感じだけど、見事に十魔将が全員強化されるとは……。

 やっぱり、この魔族って実は運がいいんじゃないかと思えてきた。


「幽宴の喉輪はプネヴマ。炉心の魔匣はテクニティス。移り気な精霊の首輪はマギレマですね」


 テキパキと十魔将にアイテムを配ると、彼らは皆一様に魔王様へと感謝する。

 本当に自身の強化となるアイテムを渡されると思っていなかったのか、さすがの十魔将もわりと唖然とした様子だ。


「ちなみに、どんな感じの強化アイテムなんですか?」


 十魔将に行き渡ったアイテムを見るも、さすがにそれだけでは判断できない。

 ただ、渡された本人たちは使い道を理解しているらしく、そのまま使用感を軽く確かめている様子だった。


「そうですねえ。例えばテクニティスなんてわかりやすいですね」


「炉心の魔匣っていいましたっけ? 箱……ですよね?」


 なんだか頑丈そうな作りの小さな箱だ。

 金属で作られたオレンジ色の立方体は、むしろ一番意味がわからない。

 サイコロ……ってわけでもなさそうだし、所有しているだけで効果がある装備品ってところか?


「炉心の魔匣は魔力を注ぐことで面白いことになります。テクニティス、ちょっと試してみてください」


「了解っす」


 フィオナ様に命じられ、テクニティスが手元でいじっていた小さな箱に魔力を注ぐ。

 すると箱が魔力に連動して光り出した。

 光が消えるよりも先に、箱の中から勢いよく飛び出した何かがテクニティスの腕を覆う。


「ロボだ!」


「ロボですね!」


 鳴神や風間が反応したとおり、テクニティスの腕には機械のような重厚感あふれる金属のような装備が付けられている。

 ロペスも驚きながらそわそわしているので、転生者男子組には好評みたいだな。


「あれって魔力を注いだ者を強化するアイテムってことですか?」


「そうですね。魔力を注ぐごとに魔法金属が反応し、使用者の装備品となるのです」


 フィオナ様の言葉を証明するかのように、テクニティスは追加で魔力を注入する。

 そのたびに彼の腕や足には金属製の装甲が足されていった。

 フルアーマーテクニティスじゃん。まさか、俺が言っていたことを実現できるアイテムが存在するなんて。


「見ての通り、あの装甲の耐久力は非常に高く、また攻撃に転用すれば威力も高いです」


「じゃあ、魔力を注ぎ続ければ大幅に強化できそうですね」


 さすがにフィオナ様相手は無理にしても、リピアネムと渡り合えるようになるかもしれないな。

 だが、俺の言葉にフィオナ様は首を横に振った。


「耐久力と火力もですが、見ての通りあれは重いのです」


「重量ですか」


「あ、やべっす」


 テクニティスがしくじったという声を漏らす。

 ただ、彼の表情がどうなっているかはもうわからない。

 彼はいつの間にか全身が金属で覆われ、顔さえも目以外は装甲で隠れている。

 ああしてみると、ますます魔族サイズのロボットのような見た目だ。


 ただ、彼はその場からぴくりとも動いていない。

 というよりも動けないのだ。


「ディ、ディキティス~。助けてほしいっす~」


「やりすぎだな。これでは私ですら壊すのは骨が折れるぞ」


 助けを求められたディキティスは、淡々とテクニティスに攻撃を仕掛ける。

 しかし、彼の攻撃は金属同士の激しい衝突音で幾度も弾かれ続けていた。

 仲間相手だから本気ではないのだろうけれど、ディキティスの攻撃をやすやすと跳ね返す装甲とは……。

 ただ、一歩も動けないのは問題だな。メリットとデメリットがわかりやすいアイテムといえよう。


「私が斬るか?」


「ありがたいっすけど、リピアネム様は自分ごと斬りそうなのでディキティスに任せるっす!」


「失敬な! 最近では力加減のリピアネムと言えるくらいには上達しているぞ!」


 誰が言ったんだろう。それ。

 時任だな。そういう変なことを言うのは時任しか思いつかない。


「デメリットが大きいから、動ける範囲内で装甲を作って攻撃や防御するっていう感じですかね?」


「ええ。装甲以外で攻撃を受けないよう立ち回る必要はありますが、テクニティスの魔力操作なら可能でしょう」


 なるほど……。それにしても、まさか俺が言っていた強化案のアイテムが出るとは。

 ということは、もしかして他の十魔将に渡されたアイテムも似たような感じなのだろうか。


「マギレマに渡した移り気な精霊の首輪は、装着者の属性を不規則に変化させます。ディキティスに渡した覇軍の号槍は、率いる軍の強さに比例して担い手を強化します」


「よくもまあ、十魔将にあったアイテムばかり引けましたね」


「被害もその分大きいですけどね!」


 時任がカーマルに頼んで転送してもらったアイテムもけっこう多かったし、たしかにハズレも引いてはいる。

 だけど、結果だけ見ると半分くらいはアタリだったじゃないですか。

 普段の惨状と比べてしまえば、被害は全然軽微だと思います。


 その後もアイテムの効果を聞いてみると、どれもこれも十魔将にはぴったりのアイテムだった。

 う~ん。敵わないなあ。こうもあっさりと強化をすませてしまうなんて。

 やはり魔王様は伊達ではないということだな。


 ……良いことだ。良いことではあるんだけど、それはそれで俺の考えやらが全部無意味だったような。

 いや、全員しっかりと強化できたのだから、そんな俺の気持ちなど二の次なのはわかるんだけどね。


「レイ。どうしました?」


「いえ、普段フィオナ様にひどいことをしているかもしれないと思いまして、悔い改めて優しくしようと思ったところです」


 だって、普段はこの逆だから。

 フィオナ様が悪戦苦闘している蘇生薬狙いの宝箱ガシャ。

 俺は一万ガシャという裏技を使って、爆死し続けるフィオナ様の横で蘇生薬を高確率で引き当てている。

 それを見ても自分の努力が無駄になったとかではなく、素直に喜べるなんてやっぱりこの魔族はいい魔族だよなあ。


「ええ!? ふだんからやさしくありませんか? それ以上やさしくしてもらうということは……なるほど! つまりは毎日影冠樹に交渉して、ガシャを回させてくれるということですね!」


「まあ、がんばってみますけど」


「あ、あれ? なんかやけに素直で怖いですねえ」


 なんだそれ。従ったら従ったで不満があるというのか。

 めんどくさいなこの魔族。


「ま、毎日一緒に寝るとかはどうです?」


「まあ、そう望むのであれば」


「蘇生薬を大量に献上しろというのは!」


「魔力が足りればできそうですね」


「え~と。え~と……」


 なんなんですか。

 素直に言うことを聞いたら聞いたで、なんとかしてこちらに断られようとしているみたいだけど。

 そんなフィオナ様の様子を見て口を開くのは、やはりこの女だった。


「レイさんレイさ~ん! 魔王様、レイさんに軽口を叩かれていじめられたいんだと思いま~す!」


「なっ! ト、トキトウ!」


「ひょえっ! ち、違いましたか!?」


 当たり前だろ。さすがのフィオナ様だって、そんなことを言われたら怒って否定する……。


「……」


 しないな。え、いじめられたいの? 魔王なのに?

 前も似たようなこと言われたけれど、やっぱりそういうところあるよな。この魔族。

 なんでも従うだけの部下はいくらでもいるから、反抗的な姿も求めるってわけか。

 それはそれで、やりすぎると抗議してくるのだから大変なものだ。

 

 ただ、本人がそれを望むのであれば、今後も今の関係が最善なんだろうな。

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いきなりのトラウマで心が痛い
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