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【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


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第661話 混ぜるな危険というより単独で猛毒

「それで私のところへ来たのか」


「テラペイアを強化できたら、そのまま他の十魔将も強化できるかなと思って」


「念のため、どういう理屈でそうなったのか聞かせてもらいたい」


「強化後のテラペイアなら、人体改造的なパワーアップを施せるようになるじゃないか」


「断言したな。だが、そういうのはエピクレシの領分だ」


 たしかに、どちらかといえばエピクレシのイメージのほうが近いか。

 ……よし。まずはエピクレシ強化作戦だな。


「待ちたまえ。予想はつくがどこに行こうとしている」


「エピクレシに魔王軍を改造してもらおうと思って」


「君、たまに倫理観が消失するね」


 死ななきゃ安いからな。

 死んでも復活できるのなら安い。つまり、アンデッド化できるエピクレシなら失敗はないんじゃないか?


「最悪、アンデッド化すればいいから」


「最悪すぎるぞ」


 テラペイアはあきれ果てたように翼を大きく動かした。

 抜け落ちた羽をイアシスが回収している。


「そもそも、エピクレシをそこまで強化する当てもないんだろう?」


「ないな。出たとこ勝負だ」


「君、本当に宰相なのか疑わしいときがある」


「みんなが自覚しろと言ったから自覚したのに」


 以前までならば、やっぱり俺は宰相に向いてないと考えていただろう。

 だけど俺が魔王軍の宰相なのは揺るぎない事実だ。

 フィオナ様がそう定めた以上、これからも俺は宰相であり続ける。


「とりあえず、私で我慢しておきたまえ」


「どっちにしろ、各十魔将の観察と強化計画の考案はしていくつもりだったからな。今日はテラペイアの日にしよう」


 もともとその予定だったし、エピクレシはまた別の日にする予定だ。


「というわけで、俺に気にせずいつも通りに働いてくれ」


「ということだ。レイはいないものとして扱うように」


「そ、それでいいのでしょうか……」


 さすがはテラペイアだ。話が早くて助かる。

 それに引き換えテラペイアの部下たちは困惑気味だが、なんとか納得してくれたようだ。

 さて、地底魔界の医療従事者たちがふだん何をしているか、改めて見ていくことにしよう。


    ◇


「テラペイア様! アルメナが負傷した!」


「そのへんに放り投げておけ」


「わかった!」


 鳴神が傷だらけのアルメナをかついでくるも、テラペイアは一切動じることはない。

 一瞥して問題なしと判断したのか、鳴神に指示してベッドの上に寝かせた。


「治さないのか?」


「簡単に治したら、すぐに次の怪我を請け負いに行くからな」


「なるほど、そうやって制御していたのか」


 一時期と比べてアルメナが怪我をする頻度が減ったと思っていたが、テラペイアがしっかりと管理していたおかげだったんだな。

 鳴神とアルメナもすでに慣れているのか、何の疑問もなくベッドの上へと向かっている。


「アルメナの場合は事情が少々違うが、私は治る気のない患者は問題児だと思っている」


「フィオナ様とか?」


「魔王様? お身体が悪いのか? ならばすぐに診察を」


「いや、宝箱ガシャ依存かなと思って」


「……それは私にも治せない。そもそも治すべきか悩ましい」


 医者が匙を投げている。うちの魔王様はもう駄目なのかもしれない。

 俺もあれと向き合う覚悟を決めないとなあ……。

 今後も宰相としてずっと魔王様の傍にいるわけなんだし。

 いや、さすがに部下を全て蘇生したら宝箱に執着しなくなるはずだ。……しなくなるよな?


「テラペイア様。怪我しました」


「訓練か」


「はい。今日は実戦を想定した訓練だったので、私以外も何人か怪我をしています。軽いものですけど」


「私としては自身で判断せずにここに来てもらいたいけどね。そもそも軽いものでも気軽に来るべきだ」


「ええ。なので、もう少ししたら何人かやってきます」


 そんな話をしている最中、アスピダやドリュたちもやってきた。

 ディキティスの部下たちは真面目に訓練をしているし、怪我をしたらちゃんとここにやってくるみたいだな。

 テラペイアからしても扱いやすい患者なのか、何事もなく的確に治療している。


「一人で終わってしまったな」


 彼の部下を蘇生してけっこう経っているが、こうして改めて職場を観察していると患者を診るのは主にテラペイア一人だ。

 部下たちはテラペイアのサポートをすることが主な仕事らしく、診断後の患者の対応やカルテのチェックをしている。


「ディキティスの部下たちは手がかからないからな。私一人で診察できる」


 その言いかたからすると、ディキティスの部下以外は手がかかるってことだろうか。

 そんな疑問に答えるかのように、次の患者たちがやってきた。


「テラペイア様……」


「……またか」


 申し訳なさそうにやってきたのはノーライフキングだった。

 エピクレシのところのアンデッドだよな。アンデッドでも怪我をするのか?

 どちらかというと、アンデッドの肉体の損傷はエピクレシの領分だと思うのだが。


「仕方ない。行くぞ」


 翼を動かす音が聞こえる。

 別に飛んでいくというわけではなく、呆れたり嫌なことがあったときの彼の癖だ。

 つまり、それだけうんざりするようなことが、医務室を離れるべき事態が起きているということだ。


「ここを離れていいのか?」


「部下を残すから問題ない。こういうことがあるから、部下を蘇生してもらったのはありがたいな」


 これまでは医務室を留守にできないので、テラペイア自身が患者のもとに向かうことは少なかった。

 だが、頼れる部下たちのおかげで今はそうでもないらしい。

 しかし、自分で医務室に向かえないほどの重傷者か……。エピクレシのところで何があったというんだろう。


    ◇


「エピクレシ様。テラペイア様を呼んできました」


「おや、ありがとうございます。別に私だけでも対処できると思いますけど」


「……待て。お前、何しようとしている。エピクレシ」


 向かった先は戦闘可能区域である広間の一つ。

 そこにいたのはエピクレシとアンデッド軍団。そして、オーガと昆虫兵たち。

 なんだこの状況。アンデッドもオーガも昆虫兵も倒れている。

 そしてエピクレシはというと……。


「怪我したオーガのことを見ていたのか?」


「レイ様もいらっしゃったのですね。ええ。オーガたちを見ています。怪我したので作り替えようと」


 奇しくもテラペイアの質問への回答を口にするエピクレシ。

 ……作り替える? なんか怖いこと言ってない?


「ということで、先ほどのテラペイアの疑問の答えはオーガの改造です」


「待てと言っている。怪我の治療のためにアンデッド化させようというのかお前は」


「ええ。でも本人から許可が出ていますよ?」


「不死身の肉体っていいですよね」


 そうだった。オーガって戦うための力を得るためなら、わりとなんでもするやつらだった。

 前もナツラではなくディキティスの部下になることを志願していたからな。


「君とレイは倫理観が死んでいる」


「え、レイ様もアンデッドになったんですか?」


「いや、俺はまだ魔族だけど」


 ただ、デメリットなく強くなれるのなら、アンデッド化もありかもしれない。

 エピクレシならヘマはしないだろうし。


「レイは先ほど十魔将をエピクレシに改造させて強化する計画を提案した」


「……いいですね」


「乗るな。私はお前の部下になるつもりはないぞ」


「無所属のアンデッドでいいですけど?」


「私はアンデッドになるつもりはないぞ」


 駄目かなあ。

 とはいえ、アンデッドが増えすぎても問題か。

 アンデッドはアンデッドで弱点が付与されるので慎重にいきたい。一応聖属性対策はできるけれど……。


「ということで、治療の名目でアンデッド化なんて私が許さん」


「駄目ですかあ……」


 残念そうなエピクレシだけど、テラペイアに却下されることは想像していたらしい。

 すぐにオーガをテラペイアたちに預けると、彼女は自分の部下の修復作業へと移った。


「私たちやオーガを改造するのであれば、まずはレイを改造してみるがいい。できるものならな」


「うっ……」


「俺は別にかまわないけれど」


「君は君で構いなさい。それで、どうするエピクレシ?」


 エピクレシは頭を抱えて悩み始めた。

 やっぱり、俺みたいな魔族のアンデッド化は難しいのか?

 改造は簡単だけど、素体が弱すぎるから使い道が思いつかないのかもしれない。


「魔王様に絶対怒られます……」


「というよりは、殺される心配をすべきだと私は思うがね」


「ですよねえ……」


 フィオナ様ならわりと気付かないかもしれないけどな。

 ……いや、あの魔族俺の匂いをよく嗅いでくるから、アンデッド化して腐敗したら匂いでばれるか?


「レイにできないのであれば、他の者たちも同じように軽々にアンデッド化しないように」


「う~……。レイ様をアンデッド化。魅力的な提案なのですが……」


「命と引き換えになるぞ」


「ですよねえ……」


 それは、俺の命だろうか。

 もしかして俺みたいな弱い素体だと、アンデッド化さえも命がけなのか?

 それとも、部下を勝手にアンデッド化されたフィオナ様が、エピクレシを敵扱いするということだろうか。

 ……どちらにせよ、ろくな結果にならないのであればやめておこう。


「さて、オーガたちの治療も終わった。お前たちはお前たちで、怪我をしたのなら面倒くさがらずに医務室にくるように」


「俺たちは自然治癒を信じています!」


「次からお前たちの治癒能力を低下させる」


「そんなあ」


 オーガたち、怪我をするわりには医務室に通うのをさぼりがちみたいだ。

 まあ、本人が医務室に行くほどでないと思うのであれば、気持ちはわからんでもないけど。


「……いっそレイに協力してもらうか」


 反省する様子がないオーガたちを見て、テラペイアは翼を動かしながら俺に視線を向けた。

 なんだ? ダンジョンか? でも、オーガたちはダンジョンのテスターも喜んでこなすんだよな。

 そんなオーガたちを反省させるような手段、いったい何を思いついたんだろう。


「レイ。オーガたちを定期的に毒で蝕むことで、医務室に通う習慣をつけるというのどうだ?」


「俺はいいけど、テラペイアも大概モラルに欠けているような気が……」


 もしかして、テラペイアとエピクレシと俺って倫理観がない三人組なんだろうか……。

 たしかに、三人なら人体改造やらモンスター改造とかできそうだな。

 ……いや、それをやると余計にマッドな扱いされるし、さすがに自重するとしよう。

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