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【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


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第609話 首からぶら下げる反省パネル

「なにか、心当たりはありませんか?」


「……ありませんね。いったい、どうしたというのでしょう」


 尋ねてみると、少々思い返してから答えてくれた。

 どうやら、フィオナ様自身は、思い当たる節がないようだ。


「おっと、危ない」


「むむ……。また、落石です……か」


 今回は、注意していたので巻き込まれる前に、俺のほうに引き寄せることができた。

 さすがのフィオナ様も、あまりの不運の連続に、少々顔が引きつっているようだ。


「あ、あの……」


「大丈夫ですか?」


「え、ええ! 大丈夫です! どんときなさい!」


「いや、どんときたら困るんですよ。いくら効かないとはいえ」


「い、いえ!? 効いてますけど? 魔王の弱点ですけど?」


 なんだと!?

 まさか、魔王様の弱点が岩だったとは……。

 というか、効いているのは、まずい。

 無傷で対処していたから、てっきり効いていないと思ったのに、しっかりと無理していたのか……。


「大丈夫ですか!? 怪我とかは?」


「え、怪我はしませんけど……」


 けど、なんだ。無理せずに言ってほしい。


「あの……。いえ、いくらでも受け入れますよ!」


「何言ってるんですか!? さっきから!」


「おそらく、レイが魔王様を強く抱きしめていることに対して、だと思うぞ」


 冷静さを失っていると、背後からそんな声が聞こえた。

 ダスカロスか。いや、今はそのことよりも……。

 あ、本当だ。落石から守るために、ついこちらに引き寄せたので、抱きしめるような結果になっている。


「大丈夫です! あなたから、私を抱きしめたいというのは、とても珍しいですけど、しっかりと受け入れます! 魔王なので!」


 魔王関係ありません。

 というか、冷静じゃないな。この魔族。

 いったん離れて、お互いに冷静になろう。

 ……いや、俺は両手を離しましたけど?


「なんで離してくれないんですか!?」


「なんで離そうとするんですか!?」


 ダスカロスが見てるからです。

 ほら、呆れて……いないね。君たち、ほんと魔王様に甘すぎでは?


    ◇


 結局、魔王様が満足するまで、抱きしめることを強要された。

 その間にも、魔王軍の面々が集まってきて、何でこんな恥ずかしい目にあっているのか、わからなくなってくる。

 あと、プネヴマが倒れたけれど、それはいつも通りだ。


「さて、話は聞いた」


「ああ。なんか、フィオナ様の運が、ついに尽きたらしい」


「おっそろしいこと言いますねえ!? あなたは!」


 だって、そうとしか表現できないじゃないですか。

 フィオナ様をピンポイントで狙った崩落。それに転んだり、宝箱からあからさまなハズレが出たり。

 転生者や勇者のしわざも疑ったが、なんだがそれにしては、やることがせこい。


「魔王様。一度レイから離れてください」


「え~……」


 フィオナ様は、ダスカロスの指示に渋々と従った。

 そして、そうしたとたんに、再び崩落が……。


「なんの!」


 片手を上にあげることで、フィオナ様はそれにやすやすと対処する。

 ……えぇ。また?


「戻ってください」


「ダスカロスの指示ですから、仕方ないですね! さあ、受け入れなさい!」


「……まあ、良いですけど」


 俺から抱き着いているわけじゃないし、別にこれくらいならいつものことだから、こちらも恥ずかしくない。

 見た目としては、何も変わっていないかもしれないけれど、心構えが変わってくるのだ。


 ……それにしても、なんか妙だったな。

 俺とこうして抱き合っているときは、崩落の予兆すらない。

 だというのに、少し離れたとたんに、さっきは天井が崩れてきた。

 ダンジョンの天井が……。俺から離れた途端に?


「……え? もしかして、俺のせい?」


 ダンジョンの力が、制御できなくなっている?

 いや、だとしても、フィオナ様にだけ被害がいくのは、ちょっとおかしい。

 むしろ、フィオナ様だけには、被害がいかないはずじゃないのか?


「私もその可能性は考えたが、むしろ君のおかげで、今は落ち着いている、と見るべきかもしれない」


 俺がダンジョンマスターの加護を持っているから、俺の傍は安心ってことか?

 だとしたら、やっぱり俺の力が暴走しているんじゃないか?

 まさか、テイランで病をもらった?


「私たちは無事だ。その時点で、君の力の暴走とか、そういう類のものでは、無いと思う」


「そうかな。だとしたら、なんでフィオナ様だけ、不幸な目に?」


「そこが問題だな。魔王様、何か心当たりは?」


「……ありませんね」


 フィオナ様はダスカロスの質問に、俺のときと同じように少し考えてから答えた。


「……本当に、心当たりはありませんか?」


「……あ、ありません」


 あ、そういうことか。

 さっきのそれは、思い出すための間かと思っていたが、どうやら違うらしい。

 さては、心当たりあるけれど、誤魔化しているな。この魔王様。


「フィオナ様」


「レイ。あなたは、私の味方ですよね~?」


「怒らないから、正直に言ってください」


「うっ……」


 ほら、いつもなら、ここで俺に訴えかけるのに、今は言葉に詰まっているもの。

 ということは、本当に何か仕出かしたな。この魔族。


「俺にも言ってくれないんですか?」


「う~……。ご、ごめんなさい」


 それは、どっちの謝罪だろう。

 言えないのか、それとも仕出かしたことに対してだろうか。


「ガ、ガシャに熱中しました……」


 ……いつものことでは?

 何を今さら。まるで、今までがガシャに熱中していなかった、みたいな言い方じゃないですか。

 いや、それならこんなふうに、謝ることもないはずだ。

 過去に、ガシャが原因で謝罪することになったのは……。


「プリミラ」


「はい」


「玉座の魔力、今すぐに調べてきてくれ」


「かしこまりました」


 さて、一緒に謝るか。

 プリミラが調べる間に、どうやってかばうか、どうやってお説教をなるべく穏当に終わらせるか、それだけを考えることにした。

 しかし、どうやら俺の予想は外れていたようだ。


『レイ様。玉座の魔力は、浪費されていません』


「あれ? てっきり、また大暴走したのかと思った」


 暴走。すなわち夢だ。

 この方の夢の前では、過去の過ちが繰り返されても仕方ないと思ったんだけど……。


「わかった。わざわざ調べてもらってすまなかった。それじゃあ、戻ってもらって」


『もう一つ、調べるべき場所がありますので、そちらも調べてから戻ります』


 もう一つ……。

 あっ! そうか、それでわかった。まさか……そっちなのか?


『レイ様。やはりです。影冠樹の魔力が、大幅に失われています』


 やっぱりかあ……。

 その言葉は、フィオナ様にも当然届いており、どうやら、彼女も完全に観念したようだ。


    ◇


「私は、こらえ性の無い魔王です……」


「まったくです。なぜ、そうなったのですか? ご説明ください。影冠樹の魔力は、第二の玉座として利用できました。ですが、これでは、またも保険としては使えません」


 あ、プリミラが怒っている。

 しょうがない。俺も隣で正座するか……。


「実際、なんで暴走を?」


「あ、あのですね……。レイとは、宝箱を回してから別れたじゃないですか?」


「そうですね。仕事があるので、お見送りしてもらいました」


「それで、部屋に積まれた宝箱を見ていたら、あと一回くらい良いかなあって……」


 まあ、それについては、こちらも異論はない。

 なんなら、プリミラも別に文句はないだろう。

 先ほどプリミラは、影冠樹は第二の玉座であり、保険として考えているといった。

 だけど、多少は魔王様の自由に使える魔力としているのは、周知の事実でもある。


「一回だけなら、そんなに魔力は減らないんじゃないですか? もしかして、いつも以上に魔力を込めました?」


 だとしても、一度に注がない限り無意味ということは、すでに検証でわかっているんだよなあ。


「その一回を外して、せめて何か納得できるものがでるまでと考えて……一回、また一回と」


「……歯止めがきかなくなったということですか」


「と、途中で時の砂時計とか出たので、まあいいかなって思ったんですけど! そこまで行くと、もう蘇生薬が出るまで止まれなくなりまして!」


 ……やばいな。沼に沈む危険すぎる考えだぞ。それは。

 ついには、一時の感情で暴走するようになったのであれば、やはりガシャはしばらく禁止すべきか……?


「そうして、影冠樹の魔力を大量に使ってしまったんですね」


「も、申し訳ありません……」


 まあ、無くなったものは仕方ない。

 フィオナ様のガシャへの熱中は、だいぶ問題なので、プリミラにはしっかりとお説教してもらうとして、俺は影冠樹のことを考えるとするか……。

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『転生宰相のダンジョン魔改造録』第1巻 発売中!
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― 新着の感想 ―
あれ?・・・もしかしてフィオナ様にお仕置きしたのってちょうど読み直したらレイ君の加護の声が聞こえるようになった時系列的に・・・? 間違ってなければそりゃおしおきされるわw
一時禁止後も、皆がみている公開ガチャ以外は禁止です。レイも甘いので 再開したら、再度やらかすのは確実です(ギャンブル沼なら) 気づいて説教係たち フィオナ1人で宝箱を持ってくる場合も、あけるの禁止を…
あれ、フィオナ様自分で宝箱開けれるんですか?
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