表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

608/678

第608話 不運の女神アップデート中

「さて、今日もガシャをしましょうかね」


「どうぞ。宝箱です」


「ええ、それでは……」


 フィオナ様のデイリーミッションが、今朝も始まった。

 朝の内にこなすことによって、その日一日を円滑に進めるライフハックなのだろう。

 だが、俺は夜にやるべきだと思っている。


「さあ、開けてください」


「はい。ええと、商店の在庫行きですね」


「……はぁ」


 フィオナ様は、俺にしなだれかかってきた。

 ほら。朝からガシャなんてすると、外れたときに、根気が根こそぎ持っていかれるじゃないですか。

 朝からそのテンションで、一日もつんですか?


「あ~……。今日も不運ですねえ。レイに甘えるしかありませんね~」


「別に、空いている時間はかまいませんけど、仕事中はかまえませんよ?」


「あ~。不運ですね~」


 聞いてください。時間になったら、魔王さえも置いていけますからね。俺は。

 かまえとアピールされていますけど、今だけですからね。


「落ち込んだ魔王を甘やかすのを、宰相の最優先の仕事にするのは、いかがでしょうか?」


「とんだ暴君ですね」


 私利私欲のために、魔王軍を動かそうというのか。

 普段は、むしろ自分を殺してまで、魔王軍を思っているというのに、ガシャが絡むと、どうしてここまでポンコツになるんだ。


「仕方ありません。では、仕事まで私にかまってください」


「はいはい」


 そうして、しばらくフィオナ様の言うとおりに、抱きしめたり頭をなで続けることで、なんとかショックから立ち直ったようだ。

 そのまま時間になったため、ダンジョンへと向かうと、フィオナ様は快く見送ってくれた。


    ◇


「ふう。さすがに、モンスターや罠の補充も、それなりに時間がかかるようになってきたな」


「お前が、しれっと罠とモンスターを増やそうとしなければ、もっと省略できたと思うけどなぁ」


 減ったのだから、その箇所はもっと難易度を上げていいってことじゃないか。

 そんな俺の完璧な判断は、アナンタにあっさりと却下されるのだった。


「この後は、各従業員の管理か」


「そっちは、ダスカロスと一緒にやってくれ。何かしでかす心配もないからなぁ」


 ……オーガたち、ダンジョンに配置してやろうか。

 いや、そんな意趣返しのような真似で、今の配置や作業を勝手に変えると、俺にしっぺ返しがくる。


「……何か企んでない?」


「命拾いしたな」


「何を企んでたんだよぉ……」


 アナンタに不安の種を植え付けることが成功したので、そのまま別れることにする。

 さて、ダスカロスに会いに行って……。


「あ、レイ。休憩ですか? 休憩しますか?」


 と思ったら、フィオナ様がやってきた。

 まあ、まだいいか。幸い、普段よりも早めに作業が進んでいるし、ちょっと休憩するくらいなら問題ないだろう。


「いいですよ。それじゃあ」


「おや?」


 軽く地面が揺れた。地震か? 日本と違って、ここで地震なんてめったにないのに、珍しいな。

 あまり大きな地震ではないし、このまま揺れが収まるのを待ってから……。


「うえぇ!?」


「フィオナ様!?」


 なんか、一瞬で天井が崩落して、フィオナ様が巻き込まれたんだけど!

 やばい! まずは、あの岩を除けて、すぐに助け出して……。


「なんの!」


 俺が助ける必要もなかった。

 フィオナ様は、軽く腕を振るうだけで、瓦礫を吹き飛ばしてしまったからだ。

 すごいパワーだな。いや、あのくらいならリピアネムにもできるし、まだまだ序の口だろう。


「危なかったですねえ。レイは大丈夫ですか? 怪我とかありませんか?」


「俺は、大丈夫です。というか、なんかピンポイントにフィオナ様にだけ、降り注いできましたね」


 天井を見ると、完全にそこ一点だけが崩れている。

 さっきまでフィオナ様が立っていた位置以外は、見事なほど何事もない。


「まあ、良いでしょう。では、休憩といきましょう」


「いえ、それより先に、ダンジョンの被害状況を、ピルカヤに確認しないといけません」


「おっと、そうでしたね。では、それを待ってから休憩しましょうね」


 さすがに、この状況で休憩を優先しろとは言わない。

 フィオナ様は、俺の作業を待つために、近くにあった岩の上に腰かけた。


「きゃっ!」


「フィオナ様!?」


 悲鳴が上がるので、急ぎそちらを確認すると、フィオナ様は岩の上から転がり落ちていた。


「大丈夫ですか? 怪我は?」


「怪我はありません。おのれ、思ったよりもつるつるした岩め……」


 そんなに滑りやすい岩だったのか?

 そちらを見ると、岩はわずかに魔力を帯びていることがわかった。

 おかしいな? さっきまで、普通の岩に見えていたんだけど、魔石か? これ。

 表面の汚れがなかったら、きっとそれなりにつるつるとなめらかな、岩になっているはず。

 そのせいで、油断して腰かけたフィオナ様が、そのまま滑り落ちたのか。


「手をどうぞ」


「ええ、ありがとうございます」


 手と言ったでしょう。なんで、胴体に抱きつくんですか。

 その状況では、こちらから引っ張って立ち上げることは、無理だろう。

 支えになって、フィオナ様自身に立ち上がってもらうとするか。


「……つめたっ」


 なんか、頭に水滴が垂れましたね。

 見上げると、天井から地下水みたいなものが、フィオナ様の頭を狙っていた。


「……な、なんなんですか? なんか、さっきから不運なんですけど!」


「ですねえ」


「はっ! 今なら逆に、宝箱が当たるのでは!? レイ、宝箱を用意しなさい」


「良いですけど」


 宝箱を作成する。魔力五くらいなら、余裕で余っているしな。

 なので、言われるがままに反射的に作ったが、そこで気が付いた。


「あれ、宝箱なら何個も予備を作っておきましたよね? というかガシャなら、今朝回したばかりなので、まだ魔力が回復していないのでは?」


「大丈夫です」


 そっか。多少なら回復しているか。

 あくまでも、運試しに開けるだけだし、九千も費やさないで済むってわけだ。

 自己完結した俺は、どのくらい回復しているのか、ステータスを見ることにした。


「……あの、フィオナ様?」


「なんですか? 今から、ガシャを回そうとしているのですが」


「なんで、魔力が全快しているんですか?」


「……黙秘します」


 もう、その時点で絶対悪いことしてるじゃん。

 プリミラか? プリミラの畑から、魔力の実を収穫して、魔力回復薬を勝手に作って飲んだのか?

 それとも、まさかまた、玉座の魔力を……。


「謝りましょう。プリミラには、俺も頭を下げますから」


「プ、プリミラには、悪いことをしていませんよ?」


 じゃあ、なんだというんだ。

 黙秘しようとした時点で、絶対悪事を働いているはずだ。

 他に可能性があるとすれば……。


「影冠樹?」


「ぎくっ!」


 余裕ありますね。わざわざ、そんな言葉を自分で言う程度には。


「う~ん……。たしかに、あれはある程度自由に使って良い魔力ですけど」


「で、ですよね! いやあ、私も悪いとは思っていたんですよ? でも、一人で暇だったのでついつい、影冠樹から魔力を吸い取ってしまいまして」


「それでも、遊び半分で魔力を吸っちゃ駄目ですよ」


「いやあ、面目ない」


 俺に怒られずにすんだためか、フィオナ様は安心したように微笑んだ。

 う~ん。こんな笑顔を見てしまったら、どの道、俺が怒るなんて不可能だったろうな。


「では、改めて宝箱を回しましょう」


 そう言って、再び宝箱と向き合うと、フィオナ様は魔力を注入し始めた。

 ってことは、今回もいつも通りの九千ガシャだな。

 何が出るんだろう。商店の在庫は、さっき補充してもらったし、今度は食料が良いな。


「さあ、開けてください」


「はい、それでは……」


 え?

 宝箱を開けた。開けたのはいいけれど、そこには薬が一つだけ。

 これが、万能薬とか、蘇生薬ならわかる。

 レアだから、その分数が少ないっていうのは、理解できる。

 だけど、今回入っていた薬は。


「……回復薬ですね。それも、普通の」


「な、なぜ……。ついに、私の運が、ここまでどん底に落ちましたか!?」


 いや、さすがにおかしいだろ。

 ……なんか、問題が起こっている気がする。

 これは、本格的に対処にあたるべきことかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生宰相のダンジョン魔改造録』第1巻 発売中!
▶シリーズページはこちら

6j3di8xzcku315svenm7h9h1dqae_1312_12f_1kw_b0ma.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ