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優愛たちがめちゃくちゃ楽しんで準備しているという事、それは友人の挙式披露宴をするというものだった!


この世界には挙式も披露宴もない。と思う。

大国にはあるのかもしれないけど、アケルにはない。


ん?大国にもないって。優愛が教えてくれた。


王族だとお披露目のパレードなんかはあるけどね。

貴族も個人的にパーティーとかはあるかもしれない。


だけど一般庶民には、日本であったような、あぁいう挙式披露宴はない。

食べていく事が精一杯の生活でそんな事はしてられないんだろうな。

この世界で結婚って、教会に届け出をするだけなんだよ。


優愛たちは友人の結婚を祝いたいと、この世界初になる(かもしれない)庶民の結婚パーティーをする事にした。


というか、優愛や私には特別な事じゃないもんね。

しない人もいるだろうけど、日本のブライダル産業は盛んだったと記憶している。


私も憧れたもんだ♪

いつかはウエディングドレスを着たいなぁ、なんて相手もいない頃から夢だけは見ていた。


「私も参加したい!私は歌を歌うわ!讃美歌とか歌えないけど、披露宴の定番曲なら任せといて!」


話を聞いている途中から食い気味にそう言うと


「ショーンさんたちの結婚式って、世界初にして伝説級のものすごいものになりそうだね!

これ、言ったら二人は緊張しちゃうからサプライズにしようか?」


と、優愛は悪い顔をした。


「のった!」


私もきっと悪い顔をしているだろう。(笑)


ちなみに、今の会話にあったショーンさんが新郎、新婦はソフィという。


結婚パーティーの話し合いや当日の移動費なんかは…、貯金が全部吹っ飛ぶだろうけど、また溜めればいいわ!と内心計算していると

ちょうどその場にいた



優愛さんや!あなたどんな繋がりでどんな人と知り合ってるのよ!!


なんでこれほどの方が優愛の自宅の食堂で優愛のご飯を食べてるのよ!!



この世界の魔法使いで知らない人はいない、稀代の大魔導師様を紹介されたよ!!!


聞けばジェニファー繋がりで知り合ったとか…。

ジェニファーか。彼女ならさもありなん。何故か妙に納得してしまった。


大魔導師様は「そういう事ならいつでも話せるほうが便利だろう」と、優愛のお店の厨房と、私の仕事場の簡易キッチンを繋いでくれた。


なんでキッチン? 

いや、それはいいとして!



転移魔法の固定化……。



それがどれくらい物凄い魔法か、依頼したらどれ程の、アケルなら国家予算以上の莫大な金額を払うものなのか、優愛、知らないんだろうなぁ…。


「エリックありがとう!すごく助かる!お礼にプリンつけちゃう!ちょっとまってて!」と、お店の厨房に走って行ってるし。


そんな優愛を見ているうちに、なんだかおかしくなってきた。


一度大きく息をつく。


まぁいいや!これで費用を気にしないでいつでもここにこられる!

いつでも優愛のご飯が食べられるし、結婚式の話し合いもできる!


おっと、結婚式の方がおまけになっちゃった☆




それから度々優愛の家にランチを食べにやって来て、準備の進行を聞きながら、私も当日を思ってワクワクして過ごしている。


お式はロートゥスという、大国の南にある港町で行う。ショーンさんたちが暮らしている町ね。

ショーンさんもレストランを経営している。

優愛とは師弟関係だそうだ。師匠が優愛で、弟子が年上のショーンさんとか。……うん?


ちなみに、ショーンさんのお店の厨房と優愛のお店の厨房も繋がっていて、これも転移魔法が固定されている。

国家予算がふたつ……。


話題を変えよう。

驚いた事に、優愛たちはロートゥスに家を買っていた。

そのためだけに買った訳じゃないそうだけど、当日は挙式披露パーティーの会場にするという。

人やお料理の制約を受けたくなかったんだそうな。


そのお式は、人前式からガーデンパーティーの予定だ♪


本当は当日の前にソフィやショーンさんとも会いたかったけど、私はサプライズだからね。

会った事のない二人だけど、みんなからたくさん話を聞いているから、すでに友人の気分だよ!祝う気持ちも大きいよ!


どこでどんなご縁があるか、人と人が繋がっていくかわからないね!




そんな風にみんなで楽しく準備をして、とうとうソフィとショーンさんの結婚パーティーの日になった。

朝から爽やかで、秋晴れのいい日になりそうだ。


私もみんなとお揃いのスタッフ衣装を着て、主役の二人に見つからないように個室に隠れている。


お式はお庭で、招待客の前で挙げられる。

お昼前に挙式、そのままガーデンパーティーを昼食に当てている。


そろそろ始まるよとウィルが迎えに来てくれて、こっそりお庭に出た。

お庭に出てひと際目を引いたのは


おおぉぉ!! 

司祭役のジェニファーの美しい事!!

神々しい!! 司祭じゃなくて女神様か!!


おっといけない!ジェニファー様は後からゆっくりよく見よう!

計画通り、新郎新婦が足を踏み出したタイミングで私は歌いだした。


ソフィ!

初めて見るけど、花嫁さんだから彼女がソフィだよね!

こっちもまた美しい!!花嫁さんはまた格別に美しいね!!


ソフィ自身も綺麗だけど、ドレスやベールやバラの花まで美しすぎる。

うっとり見惚れながらもしっかり歌うよ!


ここはやっぱり結婚行進曲だね♪

ゆったりとした曲調の方をハミングする。

(歌詞がないからね)


ハミングだけどなかなかいい出来だと思う。

空気が一変した。


主役二人が驚いているのも見える。

サプライズは成功だ♪


初めましてだけど、すでに友人の気になっている私は祝う気持ちを込めて歌う。

参列者の皆さんからも、お祝いの気持ちで会場内はいっぱいになったよ!


新郎新婦がバージンロードを戻る時は、披露宴で定番の幸せソングを明るく歌う♪

毎度皆さん日本語はわからないだろうけど、ますますお祝い感が盛り上がった。


その後の披露パーティーも素晴らしかった。

歌が終わった私は私服になって会場内に紛れ込む♪

新郎新婦のお手伝いをしてくれた、トーイ(優愛のお店で厨房で一緒に働いている男の子)の妹ちゃんと弟ちゃんの世話を焼きつつ、一緒に美味しいご馳走を食べる。


がんばったね!カッコよかったよと褒めると、二人は誇らし気で笑顔が輝いていた。

あらやだ!めっちゃ可愛い!!


そうして、楽しい時間はあっという間に過ぎ、お祝いムード冷めやらぬまま結婚パーティはお開きになった。


みなさん最後までお祝いの言葉や、お式やパーティーを褒める言葉を口にしながら、楽しそうにお帰りになって行った。

ほんとに、いいお式、いいパーティーだったよぉ!




さぁ!招待客を見送ったら、二次会の開催で~す!


私たちやジェニファーたちはそこそこ食べられたけど、主役の二人やスタッフのみんなは何も食べられていない。お疲れ様でした!


ご馳走をいっぱい並べて、みんなで楽しく食べながら、何度も色んな乾杯をする♪


みんな成人だからお酒を飲んでいる。

優愛と(日本人的に)トーイは未成年だからノンアルだけど。

それからアシュリーとソフィも果実水を飲んでいる。

この世界の女性ってあまり飲酒はしないのよ。


男子たちと変わらず飲んでいるのはジェニファーだ。さすが。

私もお祝いの席だからと少しだけ飲んでいる。

私はあっちでもこっちでも成人してるからね!


そんな、ちょっとお酒がまわってきて謎の盛り上がりになってきた頃に


「私も結婚したいわ~」


花嫁衣裳のソフィを見ながら、アシュリーが言った。目がキラキラしてるよ!


わかるよ!私も綺麗な花嫁さんになりたい!


「あらアシュリー、もう求婚されたの?」


ジェニファーの言葉に、ワイアットさんが飲んでいたワインを吹き出した!

ワイアットさん!!


「まだだけど。してくれないから私からしちゃおうかな」


見た目儚げな美少女のアシュリーは、実はなかなか男前な性格をしている。

結局アシュリーのプロポーズは阻止されて、しっかりワイアットさんがしたけどね!


そんな訳で、年明けの三月にアシュリーとワイアットさんの結婚式をする事になった。

アシュリーは三月で十七歳になる。


花嫁さんかぁ。いいなぁ。


そういえば私も来年の四月で十八歳だ。この世界ではやや遅れ気味になる。

まぁそれはかまわないけど、私の中で意識が変わってきていたんだよね。


あの、元の世界が吹っ切れて、この世界で生きていくと覚悟が出来たあの時から四ヶ月ほどが過ぎた。


この世界で生きていく覚悟。

結婚して、子供を産んで、旦那さんと一緒に老いていく幸せな人生。


そんな人生設計がすんなり受け入れられるようになっていた。


そうして、そうする相手には…。

私はウィルを見る。


「ウィル~、私春には十八なんだけど~。行き遅れにならないうちに決めてよね~」


相手はウィルがいい。

ゆる~くプロポーズしてみた♪


ウィルにはしっかり私の意図が伝わった。

ウィルの目に歓喜の色が広がる。


あぁでも。私にプロポーズ()()()()()()と気づいたら、ウィルの耳は半分折れてしまった。

自分が言いたかったんだね。


まぁしっぽは揺れているから大丈夫だろう♪

ちゃんとしたプロポーズは、またウィルがしてね!


私たちの横ではジェニファーも「こういうのもいいわね~」なんて言ってるし、何かあるんだろうけど、優愛はいきなり果実水をがぶ飲みし始めるし!


おめでたい空気はさらにおめでたくなっていって、ショーンさんとソフィの結婚式は、とてもとてもいい一日になった。




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