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衝撃の一日が過ぎて、今日は楽しみにしていたパエオーニアの王都観光だ♪


私は持っている中で一番可愛いワンピースを着て、髪型も可愛くして、ウィルと並んで歩いている。


護衛のウィルも私服だ。

騎士服じゃ私が目立っちゃうからね!

騎士に連れられて、あの子なにしたの?って。


私服同士で王都観光。

これって普通にデートじゃない?


デートと違うのは、ウィルの他にも護衛騎士さんがついてくれているという事かな。

私を護衛しているとわからないように、離れて何人かいるはず。やっぱり私服で。


ウィルもだけど、仕事中なのでみなさん帯剣している。

日本だったら銃刀法違反だけど、ファンタジーなこの世界、定番の冒険者なんていう職業もあって、見えるところに武器をもっている人がいるなんて日常なんだよ。


ところで、仕事中なのにこんな感じでいいの?と思うでしょ?

私もそう思うけど、獣人の感覚ではありらしい。

自分が守れる位置にいるのに、恋人や伴侶を別の誰かに任せたり託すなんてありえない。

ついでに、仲睦まじくするのも当たり前らしい。

という訳で、こんな感じになっている。


目立たないように護衛してくれている騎士さん達も当たり前という顔をしていたし、ウィルも遠慮なく私と一緒に歩いている。

国の約半分が獣人のアケルでは、人族も感化されてるのかも。

そういえば、うちの両親もかなり仲が良かったなぁ。


獣人って、人族のようなツンデレのツンがないんだよ。

この人!と決めたら、ただ一途に想って、つくすのよ。

好きな子の気を引こうといじめちゃう、なんてありえない。好きな子は一番大事にして、言葉でも態度でも気持ちを伝える。


これ、両想いなら幸せだけど、()()()()()()()()にしたらうっとおしいよね。

だけど結局(ほだ)されて、結ばれる事が多いらしい。

生理的にムリ!って相手じゃなかったら、まぁいいかと。

うん…、結果幸せならOKか。


本当なら半分獣人の私たちもその傾向がある筈だけど、私は日本人の感覚がしっかり残ってるから、そこまで愛情表現は強くならないだろうなぁ。


ずっと私につき合っているウィルも、この世界の獣人の感覚とはちょっと違ってるかもしれない。私にはちょうどいいくらいだ。

もしかしたら合わせてくれてるのかもしれない。ありがとね、ウィル。


とりあえず、仲良く王都観光を楽しもうか♪




いやぁ!大陸一の大国の王都はすごいね!さすがだね!

滞在は十日ほどの予定だけど、十日で全部見きれるとは思えないわ!

有名どころだけ忙しく見て回るだけになりそうだよ。


せかせかと観光しまくって、異世界なのについ日本人気質が出てしまう!

だって綺麗なものや素晴らしいものって、できるだけたくさん見たいじゃない?

またこれも日本人の貧乏性なとこなんだけど!


それにしても人が多い!さすが大陸の中心!

ウィルは私の足元や、すれ違う人たちに気をつけてくれている。


今までもずっとそうだったけど、なんせアケルとは人の数が違うからねぇ。

私は少し足に踏ん張りがきかないからありがたい。


ウィルは何の不満も言わず、私の行きたい所や見たい所につき合ってくれる。

本当はデートじゃなくて護衛だから当たり前かもしれないけど。


だけどせっかくなら一緒に楽しみたいじゃない?宿屋さんで、どこに行こうか計画を立てる時に聞いてみた。


「ウィルにも行きたい所とか、食べたい物とかないの?」

「特にはないな。俺はサラと一緒にいられればいいんだ。こんなにずっと一日中一緒にいられるなんて子供の頃以来だもんな」


本当に本心からだとわかる笑顔で嬉しそうに言うから…、言葉が続かなくなってしまったよ。


ウィルと婚約して二年半。

婚約しようと言った時に、三年は仕事を頑張ろうと言った。その三年の間に私をその気にさせてねって。

就職したてで結婚とか舐めてると思われそうと言った理由のほかに、じつは言ってない理由がもう一つある。

ウィルの年齢的なものだ。


その秋に十四歳になったウィル。

三年たってもやっと十七歳だけど、この世界では結婚適齢期なんだよね。


十五歳で成人するアケルでは(というか、世界的にも十五歳成人の国が多い)十六~十七歳くらいで結婚する人が多いかな。

十七歳は私的にアウトなんだけどしょうがない。


で、その、()()()

なったような?まだのような?


私に合わせてくれてか、ウィルに獣人特有の熱烈な愛情表現はないけど、二人きりの時に見せるようになった態度や言葉は甘くて、私は少しずつ受け入れられるようになってきた。


今だって人の多さに手を繋いで歩いてるんだけど、小さい頃に繋いでいた心持ちとは違っている。

婚約して意識を変えてから、段々と二人の仲は(主に私)変わってきてると思う。


「サラ、ちょっと休もうか」


長く歩けない私のために、ウィルは頃合いをみて休憩も入れてくれる。

こういうのも子供の頃から変わらない優しさだけど、当たり前と思っちゃいけない。


「ありがとう。痛くなる前に休憩してくれるから、ウィルのおかげでムリなく観光ができてるよ。他の人じゃこうはいかないよね」

「当たり前だろ」


笑顔でお礼を言うと、ウィルも笑顔でそう言った。


「当たり前じゃないよ。何かをしてもらったり優しくしてもらったら感謝する方が当たり前だよ。だからウィル、いつもありがとね」

「そっか。 サラ、ありがとう」


ウィルは嬉しそうに笑った。

そのありがとうは、何のありがとうだろう?




さて!今日は優愛ゆあに会いに行こうと思ってる!めちゃ楽しみだ!


お昼ご飯に合わせて、教えられた優愛のお店に向かう。

正確には家族経営といってたから優愛と家族のお店だけど。


優愛のお店は、街中から少し外れたお金持ちの住宅街の中にあった。

大きな門をくぐってしばし歩く。

丁寧に手入れされているお庭は和み系でホッコリする。

お天気もいいし、さらに気分がよくなった♪


どうやらお店は個人宅(といっても大きなお屋敷だけど!)で、一階がレストランになっているようだ。

ウッドデッキのエントランスから、大きくてお洒落なドアを開けて中に入る。


店内に入ると、すでにたくさんのお客さんで賑わっていた。


「いらっしゃいま、、、ぁ!」


店員さんらしき綺麗な女の子が私を見て[歌姫]と、声を出さずに唇を動かした。

[はい]私も無言で笑いかけた。


家族経営っていってたから、この女の子は優愛の家族なんだろな。


女の子はキッチンの方に行って(あ、優愛だ)優愛と何やら話したと思ったら


「こちらにどうぞ」


と、私たちを入って来たばかりのドアから外に連れ出した。


「この前の歌、とても素晴らしかったです!今日はよく来てくださいました。中からユアが開けますので、ちょっとまっててくださいね!うちの方の食堂でゆっくり召し上がっていってください」


女の子はそう言うと、忙しそうにお店に戻って行く。


「ありがとう!」


女の子は振り返って笑顔で小さく手を振ると、お店の中に戻って行った。


綺麗なうえに可愛い!!


女の子を見送っていると、カチャリと音がしてドアが開いた。


「いらっしゃ~い!早速来てくれて嬉しい!どうぞどうぞ!!」


優愛が大歓迎で迎え入れてくれた。

さっきの女の子といい、こんなに歓迎されるとすごく嬉しくなるよ!


それから食堂まで案内してくれながら、優愛は早口に話した。


『ちょうど、前に言ってた転生者さんがいるよ。あっちもサラに会ってみたいって。お店の方は人が多いから、家の方の食堂でゆっくり食べていって』


『え!わぁ!緊張する~!』


『時間が大丈夫なら、ランチタイムが終わるまでいてほしいな。私も一緒に話したいわ』


『時間は大丈夫!でもお初の人と…、間が持つかな~』


優愛が言っていた転生者さん。

会ってみたいと思っていたけど、いきなりだな!


内心焦っているけど、大きなお屋敷といっても家の中、心の準備ができてないまま食堂についてしまった。


優愛はノックをしてさっさとドアを開けた。

ほんといきなりだよ!


「ジェニファー、こちらアケルの歌姫サラね。私たちと同じ歳だから普通に話して!サラ、こちらジェニファー。冒険者さんであちこち旅の途中だから、色んな話が聞けるよ!」


優愛がザックリ紹介してくれた。


紹介されたジェニファーはとんでもなく綺麗な子だった!

いや、子という感じではないな。

同じ歳と言ってたけど、年齢どころか、とても同じ生き物には思えない。前世と合わせても、今まで生きてきた中で一番綺麗な人だと思う!


可愛い子や綺麗な子が好きな私としては、心の準備なんてもんは彼方に吹っ飛び、めちゃくちゃテンションが上がった!


『優愛!こんな綺麗な子初めて見たよ!女同士なのに、何か興奮するわ~!!』


ヤバい!テンション上がりすぎた!

私のとんでも変態発言に、優愛は吹き出した。

そして日本語で話している私たちの会話がわからないみんなのために


「サラがジェニファーを綺麗だって。綺麗すぎて興奮するって言うから」


と暴露した! 優愛ったら!

あぁ!穴があったら入りたい!!


「じゃあ、サラたちの分もこっちに運ぶから!ちょっと待ってて!」


優愛は慌ただしくお店の方に戻って行ってしまった。


え!え!え~~!!


お昼時で忙しいのはわかるけど、この空気の中放置か!!




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